ブラックチョコレート
すると、ダークファルコは振り向いて。
「そうでしたか。これは失礼。ならば日頃の感謝の意味も込め、お教えしましょう」
気持ち悪っ!
こうやって似合わない言葉を吐き捨てるということは、何か裏がある。ここで作ったチョコレートは渡さないようにしよう。
まずはダークファルコと並び、ぱちんと指を鳴らす。ぽんっ、と音を立てて幾つかのチョコレートが台所の上に並んだ。
「用意周到ですね」
「面倒臭いことは嫌いだし」
「同感です」
いちいち勘に障る奴だ。
こうなったら毒入りのチョコレートでもプレゼントしてやろうか、なんて物騒な考えも、今は心の内に仕舞っておく。
「ちなみに、料理経験は如何ほどで?」
「皆無ですが何か」
自分で言ってやることに抵抗もない。
普段はマスターが作っているのだ。それを聞いたダークファルコは、呆れ気味に。
「神にも阿呆はいるんですね……」