ブラックチョコレート
「理由をお聞かせ願います」
やっぱりか。
早速キッチンに向かい、丁度そこにいたダークファルコに料理を教えろと迫ってみたが、案の定理由を訊ねられた。
「関係ないだろ」
「おや。でしたら俺にも関係ないですね」
ぷいとそっぽを向けば、こうだ。
にこやかに返し、台所と向き合って淡々と料理を作る。クレイジーは左手で頭の後ろを掻きながら、溜め息を吐き出して。
「……バレンタインだよ」
ぴたり、とダークファルコの手が止まる。
「誰にですか?」
「いちいち言わせんな。察しろ」
「神のお心など俺には分かりかねます」
そう言って、ダークファルコは調理を再開する。切りがない……クレイジーはいい加減諦めたのか、肩を落として。
「兄さんに決まってるだろ」