戦隊ごっこ



「あっあれは!」

トゥーンが目を見開き、声を上げた。

「まさか……デッドナイト……!」

すると今度はピチカが空を見つめながら、人差し指を立てては何やら説明を始める。

「説明しよう。デッドナイトは、事有るごとに助けに現れる謎の騎士。一説では、もう死んでいて顔が腐敗しているから仮面で顔を隠しているのだとか……」
「意外におっかねえ設定だなおい!」

すかさずマリオは突っ込んで。

とにもかくにも子供組の五人が並んで構えたその時、エックス邸の扉が開いて。

現れたのはリンク。着用しているエプロンと、漂う甘い香りに子供組は揃って瞳をキラキラさせながら駆け寄る。

「兄ちゃん! 何焼いたんだ?」
「クッキーかなぁ?」
「俺、チョコケーキ希望!」

大はしゃぎする子供組を前に、リンクは思わずくすくすと笑みを溢しながら。

「マドレーヌですよ。ほら、手を洗って」

リンクが手を叩いて告げると、子供組は一目散にエックス邸の中へ。

戦隊ごっこ中断。……やんちゃな子供も、甘いお菓子の匂いには敵わない。


「……今回の僕の扱い、酷くない……?」

腹を抱えて蹲るルイージに、マリオが思い出したようにぽんと肩に手を置いた。



end.
 
 
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