冷たい瞳に恋をする



「……ぁ」

小さく声を洩らすリオン。恐怖で思ったように声が出せないのか……それはそれで好都合、とユウは内心ほくそ笑んで。

――次の瞬間、ユウの両手は握られた。

「い、今の」

リオンはずいと顔を近付けると、微かに頬を赤らめながら潤んだ瞳で見つめて。

「もう一度……」

ユウは何となく悟った。目の前の男が、自分の言動のお陰で発情したのだと。

その願いを叶えてやればより付き纏ってくることは明白なので、ユウは短く息を吐き出すと、呆れたように目を細めながら。

「断る。私にそんな趣味は」
「今のもっ!」

リオンは恍惚とした表情で。さすがに気味が悪くなってきたので、ユウは手を振り解く。しかし、抱きつかれてしまい。

「離せ! 気色悪い!」

内心青ざめながら、ユウはリオンの両肩に手を置いて引き離そうと試みる。

すると、リオンはばっと顔を上げて。

「好きだっ!」
 
 
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