冷たい瞳に恋をする
ユウは後ろを付けてくるリオンを引き離そうと、廊下を早足で歩いていた。
角を曲がり、階段の影に隠れる。ゆっくり覗き込んでみると、ユウを見失ったらしいリオンは一旦立ち止まり、キョロキョロと辺りを見回していて。
――頼むからどっかに行ってくれ!
早く立ち去れと暗示を送っていると、暫くしてリオンは階段を上っていき。
ユウはほっと胸を撫で下ろし、壁に凭れ掛かる。そして何気なく顔を上げると。
「ユウ!」
「ぎゃああ!」
器用にも階段の端に爪先を掛けて、逆さ吊りになったリオンの顔がそこにあった。
思わず情けない声を上げたユウはその場にへなへなと座り込み、ばっと顔を背けては胸に手を当て、バクバクと高鳴る心臓に落ち着けと言い聞かせ、深呼吸。
……一種のホラーだ。