萌えって何ですか



「リーダー?」

帰りたい。寧ろ死にたい。

「大丈夫、ですか?」

肝心のこいつは萌えって何ですか状態だし。もう何なんだよあのリオンとか言う奴。

三回回って死ねばいいのに。

「あの……」

恥ずかしさのあまり顔も上げられず、ダークウルフの服の裾を掴み、ふるふると首を横に振っては腰に顔を埋めるスピカ。

「帰る……」

ぽつりと呟く。こうなれば自棄というか、とりあえず“あれ”言って帰ろう。

「かっ」

おずおずと顔を上げて。

「帰る……にゃあ……っ」


潤んだ瞳で。上目遣いで。

震えた声で、真っ赤な顔を晒しながら……


にゃあ?


「わっ分かりました……帰りましょう」

ダークウルフ、微かに頬を赤らめて口元を片手で覆いながら、肩を震わせて。

「どうだ、ダークウルフ殿!」

威張るリオンに。

「っ……はあ、動悸が……その、凄く……萌え……最高の、萌えです……!」
「総じて死ねぇえ!」

溜め込んだスピカの雷が、放たれた。



end.
 
 
10/10ページ
スキ