萌えって何ですか
「リーダー?」
帰りたい。寧ろ死にたい。
「大丈夫、ですか?」
肝心のこいつは萌えって何ですか状態だし。もう何なんだよあのリオンとか言う奴。
三回回って死ねばいいのに。
「あの……」
恥ずかしさのあまり顔も上げられず、ダークウルフの服の裾を掴み、ふるふると首を横に振っては腰に顔を埋めるスピカ。
「帰る……」
ぽつりと呟く。こうなれば自棄というか、とりあえず“あれ”言って帰ろう。
「かっ」
おずおずと顔を上げて。
「帰る……にゃあ……っ」
潤んだ瞳で。上目遣いで。
震えた声で、真っ赤な顔を晒しながら……
にゃあ?
「わっ分かりました……帰りましょう」
ダークウルフ、微かに頬を赤らめて口元を片手で覆いながら、肩を震わせて。
「どうだ、ダークウルフ殿!」
威張るリオンに。
「っ……はあ、動悸が……その、凄く……萌え……最高の、萌えです……!」
「総じて死ねぇえ!」
溜め込んだスピカの雷が、放たれた。
end.
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