駆け引き



「昨日のことを気にしてるのか?」

酷く言い過ぎたかと思ってユウは訊ねてみるも、リオンは再び窓の外へ視線を向けて。……もしかして、拗ねている?

「わっ私は善かれと思ってだな」

決して自分の否は認めずに、窓のすぐ横の壁に背中を預けては、腕を組んで一人そうだと納得するように頷いては告げる。

しかし、リオンは黙っていた。ユウはちらりと横目で見遣ると、気まずそうに。

「だから……その、な」

視線を下に落として。

「おっお前がそんな調子じゃ……私もその、やる気が削がれるというか」

徐々に頬を赤く染めながら。

「わっ私は……いつものリオンの方が、その、愛嬌があって嫌いじゃないというか」

ユウは意を決して壁から離れると、真っ直ぐリオンを見つめては顔を真っ赤にして。

「寧ろ好きというかっ!」
「あっ」

リオンが窓の外を見ながら、声を上げた。
 
 
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