駆け引き




「お帰りなさ」

風呂上がりのユウは部屋に戻って扉を開けるなり、リオンが裸エプロン姿でベッドの上で正座をしては両腕を広げてるのが見えて、咄嗟に扉を閉めた。

近くを通りかかったフォックスは、タオルで頭を拭きながら、己の部屋の前で頭を抱えてるユウを見ては小首を傾げて。

「何してるんだ?」
「いや。……いい。気にしないでくれ」

今日は自慰をしながら待っていなかっただけマシだ。そう言い聞かせて、ユウは片手を挙げると部屋の中へ。

「お前もよく飽きないな」

未だににこにこと笑いながらベッドの上で正座をしては待っていたリオンを見て、ユウは大きな溜め息を吐き出して。

「その冷ややかな視線! 好きだっ!」

枕をバシバシと叩いてははしゃいでいるリオン。ユウは早足で歩み寄ると、ベッドの上に蹴倒し、ぐりぐりと踏みつけながら。

「いい加減にしろ! しつこい!」
「あっ……もっとやっ」
「そして気色悪い!」

いつもと何ら変わりのない風景だった。
 
 
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