睦言のためのまくら辺
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ジェイド・カーティスの朝はいつも早い。
どれほど早いのかと問われれば……正直なところ、よく分からない。
ただ確かなのは、必ず私より先に起きているということ。そして、その顔は起き抜けではなく、眼鏡をかけた普段通りの、よく知る姿。
私より遅く寝て、私より早く起きている。それがジェイド・カーティスなのだった。
私の一日はいつも彼の腕の中から始まるのだけれど、目覚めた時には抱き締められているか、胸元に私を抱えながら読書をしているか。
私が目を覚まして最初に捉える彼の姿は大体このどちらかだった。
──そう、今朝までは。
「…………」
物音一つしない室内は薄闇に沈んでいた。
カーテンの隙間から漏れる朝日も弱々しく、小鳥の囀りも聞こえてこない。
世界はまだ、微睡みの底から抜けきれていないようだった。
目を数度瞬かせると、輪郭を持たない視界は次第に色彩を帯びてくる。
私の体を抱え込むように回された腕の感触と、和やかな息遣い。
緩慢な動作で顔だけを上向かせると、私を映す柔らかな赤い瞳は、瞼の奥に潜んでいた。
「え、初めてかも……」
初めて大佐より先に起きたかも。
寝顔を見ること自体は初めてではない。執務室で休息する彼を数度見たが、こんなふうに深い眠りに落ちた姿は初めてだった。
なんだかとても貴重なものを見ている気がする。そして、そんな彼の姿を知るのは私だけだと知り、自然と口元が綻ぶ。
相変わらず大佐は綺麗な顔をしていた。
淡雪のような白い肌、形のいい眉、すっと通った鼻筋。安らかな寝息を溢す薄い唇。
以前にも、彼の顔はまるで彫刻みたいだ……なんて思ったものだが、やはり今回も同じことを思ってしまった。
代わり映えのない感想だけれど、それしか浮かばないのだから仕方がない。
普段は眼鏡をしているせいで失念しがちだが、私の旦那様はとても美しい男性なのだ。
「……やっぱり、私なんかじゃ釣り合わないや」
無意識に溢れた言葉だったからこそ、嘘偽りのない本音だったろう。
誰にも届くことのない呟きは、室内を包む静寂に解けた。
おもむろに伸ばした指先で頬に触れる。
とても三十代半ばを越えた男性の素肌とは到底思えないほどに滑らかだ。
そのまま輪郭を這うように指先を滑らせると、ふと形のいい唇に目が留まる。
「……、……」
上体を起こし、キョロキョロと辺りを見回す。
夫婦の寝室なのだから、この空間には私達だけしか存在していないのにどこか落ち着かない。
それは言葉にするまでもなく、これから私が人目を憚る行為に及ぼうとしているからで……。
上体を屈めると、衣擦れの音を引き連れてベッドが僅かに軋む。
掠めた鼻先と、交わる吐息──。
早鐘を打つ心臓が、一際大きな音を立てて跳ねる。
普段、私からキスなんてとてもできないけれど、眠っている大佐相手なら。
ドクン、ドクン……と、もはや自分の心音しか聞こえなくなって、唇が触れ合う──まさにその瞬間。
「っ、!」
触れたか触れないか、僅かに掠めるだけのキスとはお世辞にも呼べない接触だ。
その程度で限界に達した私は、慌てて顔を逸らす。
(む、無理無理無理無理……! やっぱ無理ー!!)
いくら眠っていようと、二人きりの空間であろうと、自分からキスをするだなんて無理難題だったようだ。
そもそも先程のあれは、果たしてキスと呼べるのだろうか?
一瞬触れたかどうかも危ういあれは、四捨五入すれば切り捨て判定で未遂では?
未遂ということは、即ち何もなかったも同義。
何もなかったのだから、それこそ何も知らないふりをして二度寝を決め込めばいい。
そして、いつも通り大佐に見守られながら朝を迎える。
ため息をひとつ溢した、まさに一瞬の出来事だった──逃がすまいと手首を掴まれ、もう片方の手は私の後頭部に回って強引に引き寄せられる。
「──っ、んむ!?」
突然のことで何が起こったのか分からず、思考が追いつかない。
唇に重なる熱がじわりと溶けだして、全身に回っていくようだ。
押し当てるだけだったキスは唇を食み、次第に啄むようなそれに変化してゆく。
「ちょ、……ふ、ぅ……っ、んん」
しまいにはずるりと舌が唇を割り入って、無遠慮に口内を荒らす。
手を掴まれ、後頭部を押さえ込まれているせいで、抵抗らしい抵抗は何もできない。
ただただ震えて、頬を染め、深いキスに溺れる。
ようやく解放された時には体の力が抜けてしまって、脱力したまま大佐の胸元へくたりと倒れ込んだ。
「ひ、卑怯ですよ……! 起きてたなんて!」
「さて、何のことやら。あなたが勝手に寝ていると勘違いしたのでしょう?」
悪びれる様子もなく言ってのける大佐を潤んだ瞳で睨み付ける。
けれど、大佐はそれすらも気にせず、愉悦に塗れた赤い瞳を柔和に細めた。
「なんだか前にも似たようなことがあったような……」
「そうですね。以前はキスにすら至らなかったのですから、あなたにしては進歩した方なのでは?」
言われてみれば、そうかもしれない。
私から大佐にキス(ほぼ未遂)なんて以前では考えられなかった。それを思えば進歩も進歩、大進歩だ。
それだけで満足してしまった私に、大佐も気が付いたらしい。
「──ぬわっ!?」
突然体が反転し、ベッドに沈む。
視界いっぱいに広がるのは、白い天井を背負った大佐の姿だった。
「まったく……色気の欠片も感じられない声ですね」
「悪かったですね! 生まれつきなんですぅー!」
瞬きひとつの間に組み敷かれてしまったらしい。
それに加え、大佐は少し苛立っているような気がする……。
気がするだけで終わればいいけれど、きっと私の予感は正しい。
私は知っている。嫌というほど思い知った。大佐は機嫌が悪い時ほど、上辺だけの笑みが濃くなることを。
「ええっと……なんだかご機嫌斜めですか?」
「さあ、どうでしょうか? あなたがそう感じるのなら、そうなのでは?」
うん、機嫌を損ねていることは分かった。
ただ、なにが原因で機嫌を損ねているのかが分からない。
「寝込みを襲ったから……ですか?」
「未遂ですけどねぇ」
「うーん……あ、勝手に触ったから?」
「今さらですねぇ」
「ええー……あとは……」
正直、なにも思い当たらない。
私が目を覚ましてから大佐にしたことなんて、その程度だ。
これ以外待っていても時間の無駄だと思ったのだろう。大佐は「はぁ…」と呆れたようにため息を吐いて、首筋に顔を埋める。
熱い吐息が肌に触れたかと思うと、ざらついた舌の感触が首筋をねっとりと這う。
「んぅ……ぁ──っ、!」
唇の柔らかな感触の後きつく吸い上げられて、焼けるような痛みが走った。
「大佐、なにを……」
「これでも、あなたには言葉を砕いて伝えてきたつもり……だったのですが」
「え……?」
赤い瞳が鋭さを増す。まるで、差し貫かれるような錯覚を覚えた。
じんじんと痛む首筋が熱を増し、体に教え込まれるようだと思った。
「まだ、“私なんて”といった言葉が出るとは……残念でなりませんよ」
「あ……それは、その……」
無意識に口を衝いて出たとはいえ、彼にしては珍しく機嫌を損ねるほどの言葉だった。
それがなんだか意外で、信じられなくて、戸惑ってしまう。
普段表立って現れることのない彼の隠された愛情の深さを改めて思い知った。
否定しなければ。別にあなたから離れようだなんて少しも思っていないって、伝えなければ。
確かな感情は迫り上がってくるのに、切なげな影を落とした瞳を前にして、肝心な言葉は喉に張り付いたまま出てこない。
「あなたはもう、どこにも行けないと言ったはずです。残念ながら──鳥籠の鍵はもう開きませんよ」
──“鳥籠”。
大佐の傍らが鳥籠だなんて思ったことも、感じたこともない。
以前の私なら感じたかもしれないけれど、今はそれすらも心地いい。
大佐は私を鳥籠に閉じ込めたと言う。けれど、私に言わせれば望んで籠の中に入ったのだ。
大佐の首に腕を回して引き寄せる。
不意をついたからか、大佐は私に引き寄せられるがまま上体を傾けた。
「私が望んだんですよ」
「!」
悔しいけれど、その重苦しい愛情が心地いいと感じてしまった時点で私の負けだ。
よく“惚れた方の負け”なんて言うけれど、だったら初めから勝負はついていた。
なにせ、毎日貢ぎ物と共に求婚していたのだから。
白い頬を包み込むように両手を添えて、今度こそ何の躊躇いもなく、自ら唇を重ねる。
ロマンチックなシチュエーションでも、蕩けるようなキスでもない。
けれど、それが私らしさだ。驚いて双眸を見開く彼に、勝ち気な笑顔を向けて告げた。
「大佐って、意外と心配性なんですね」
ポカンと呆気に取られた後、大佐はクツクツと喉を鳴らして笑う。
「あなたに関してだけですよ。前科があるだけに」
「う……それを言われると……で、でも今は!」
「ええ、分かっていますよ。あなたは私の妻ですから」
『それに、逃げ出すようなことがあれば必ず捕らえる』
大佐は、言外に不穏な台詞を滲ませながら体重をかける。
ベッドに沈む二人分の体重を受けて、スプリングが音を立てた。
夜明けまで、あと少し。
愛しの旦那様をなだめるには丁度いい。
20260907
どれほど早いのかと問われれば……正直なところ、よく分からない。
ただ確かなのは、必ず私より先に起きているということ。そして、その顔は起き抜けではなく、眼鏡をかけた普段通りの、よく知る姿。
私より遅く寝て、私より早く起きている。それがジェイド・カーティスなのだった。
私の一日はいつも彼の腕の中から始まるのだけれど、目覚めた時には抱き締められているか、胸元に私を抱えながら読書をしているか。
私が目を覚まして最初に捉える彼の姿は大体このどちらかだった。
──そう、今朝までは。
「…………」
物音一つしない室内は薄闇に沈んでいた。
カーテンの隙間から漏れる朝日も弱々しく、小鳥の囀りも聞こえてこない。
世界はまだ、微睡みの底から抜けきれていないようだった。
目を数度瞬かせると、輪郭を持たない視界は次第に色彩を帯びてくる。
私の体を抱え込むように回された腕の感触と、和やかな息遣い。
緩慢な動作で顔だけを上向かせると、私を映す柔らかな赤い瞳は、瞼の奥に潜んでいた。
「え、初めてかも……」
初めて大佐より先に起きたかも。
寝顔を見ること自体は初めてではない。執務室で休息する彼を数度見たが、こんなふうに深い眠りに落ちた姿は初めてだった。
なんだかとても貴重なものを見ている気がする。そして、そんな彼の姿を知るのは私だけだと知り、自然と口元が綻ぶ。
相変わらず大佐は綺麗な顔をしていた。
淡雪のような白い肌、形のいい眉、すっと通った鼻筋。安らかな寝息を溢す薄い唇。
以前にも、彼の顔はまるで彫刻みたいだ……なんて思ったものだが、やはり今回も同じことを思ってしまった。
代わり映えのない感想だけれど、それしか浮かばないのだから仕方がない。
普段は眼鏡をしているせいで失念しがちだが、私の旦那様はとても美しい男性なのだ。
「……やっぱり、私なんかじゃ釣り合わないや」
無意識に溢れた言葉だったからこそ、嘘偽りのない本音だったろう。
誰にも届くことのない呟きは、室内を包む静寂に解けた。
おもむろに伸ばした指先で頬に触れる。
とても三十代半ばを越えた男性の素肌とは到底思えないほどに滑らかだ。
そのまま輪郭を這うように指先を滑らせると、ふと形のいい唇に目が留まる。
「……、……」
上体を起こし、キョロキョロと辺りを見回す。
夫婦の寝室なのだから、この空間には私達だけしか存在していないのにどこか落ち着かない。
それは言葉にするまでもなく、これから私が人目を憚る行為に及ぼうとしているからで……。
上体を屈めると、衣擦れの音を引き連れてベッドが僅かに軋む。
掠めた鼻先と、交わる吐息──。
早鐘を打つ心臓が、一際大きな音を立てて跳ねる。
普段、私からキスなんてとてもできないけれど、眠っている大佐相手なら。
ドクン、ドクン……と、もはや自分の心音しか聞こえなくなって、唇が触れ合う──まさにその瞬間。
「っ、!」
触れたか触れないか、僅かに掠めるだけのキスとはお世辞にも呼べない接触だ。
その程度で限界に達した私は、慌てて顔を逸らす。
(む、無理無理無理無理……! やっぱ無理ー!!)
いくら眠っていようと、二人きりの空間であろうと、自分からキスをするだなんて無理難題だったようだ。
そもそも先程のあれは、果たしてキスと呼べるのだろうか?
一瞬触れたかどうかも危ういあれは、四捨五入すれば切り捨て判定で未遂では?
未遂ということは、即ち何もなかったも同義。
何もなかったのだから、それこそ何も知らないふりをして二度寝を決め込めばいい。
そして、いつも通り大佐に見守られながら朝を迎える。
ため息をひとつ溢した、まさに一瞬の出来事だった──逃がすまいと手首を掴まれ、もう片方の手は私の後頭部に回って強引に引き寄せられる。
「──っ、んむ!?」
突然のことで何が起こったのか分からず、思考が追いつかない。
唇に重なる熱がじわりと溶けだして、全身に回っていくようだ。
押し当てるだけだったキスは唇を食み、次第に啄むようなそれに変化してゆく。
「ちょ、……ふ、ぅ……っ、んん」
しまいにはずるりと舌が唇を割り入って、無遠慮に口内を荒らす。
手を掴まれ、後頭部を押さえ込まれているせいで、抵抗らしい抵抗は何もできない。
ただただ震えて、頬を染め、深いキスに溺れる。
ようやく解放された時には体の力が抜けてしまって、脱力したまま大佐の胸元へくたりと倒れ込んだ。
「ひ、卑怯ですよ……! 起きてたなんて!」
「さて、何のことやら。あなたが勝手に寝ていると勘違いしたのでしょう?」
悪びれる様子もなく言ってのける大佐を潤んだ瞳で睨み付ける。
けれど、大佐はそれすらも気にせず、愉悦に塗れた赤い瞳を柔和に細めた。
「なんだか前にも似たようなことがあったような……」
「そうですね。以前はキスにすら至らなかったのですから、あなたにしては進歩した方なのでは?」
言われてみれば、そうかもしれない。
私から大佐にキス(ほぼ未遂)なんて以前では考えられなかった。それを思えば進歩も進歩、大進歩だ。
それだけで満足してしまった私に、大佐も気が付いたらしい。
「──ぬわっ!?」
突然体が反転し、ベッドに沈む。
視界いっぱいに広がるのは、白い天井を背負った大佐の姿だった。
「まったく……色気の欠片も感じられない声ですね」
「悪かったですね! 生まれつきなんですぅー!」
瞬きひとつの間に組み敷かれてしまったらしい。
それに加え、大佐は少し苛立っているような気がする……。
気がするだけで終わればいいけれど、きっと私の予感は正しい。
私は知っている。嫌というほど思い知った。大佐は機嫌が悪い時ほど、上辺だけの笑みが濃くなることを。
「ええっと……なんだかご機嫌斜めですか?」
「さあ、どうでしょうか? あなたがそう感じるのなら、そうなのでは?」
うん、機嫌を損ねていることは分かった。
ただ、なにが原因で機嫌を損ねているのかが分からない。
「寝込みを襲ったから……ですか?」
「未遂ですけどねぇ」
「うーん……あ、勝手に触ったから?」
「今さらですねぇ」
「ええー……あとは……」
正直、なにも思い当たらない。
私が目を覚ましてから大佐にしたことなんて、その程度だ。
これ以外待っていても時間の無駄だと思ったのだろう。大佐は「はぁ…」と呆れたようにため息を吐いて、首筋に顔を埋める。
熱い吐息が肌に触れたかと思うと、ざらついた舌の感触が首筋をねっとりと這う。
「んぅ……ぁ──っ、!」
唇の柔らかな感触の後きつく吸い上げられて、焼けるような痛みが走った。
「大佐、なにを……」
「これでも、あなたには言葉を砕いて伝えてきたつもり……だったのですが」
「え……?」
赤い瞳が鋭さを増す。まるで、差し貫かれるような錯覚を覚えた。
じんじんと痛む首筋が熱を増し、体に教え込まれるようだと思った。
「まだ、“私なんて”といった言葉が出るとは……残念でなりませんよ」
「あ……それは、その……」
無意識に口を衝いて出たとはいえ、彼にしては珍しく機嫌を損ねるほどの言葉だった。
それがなんだか意外で、信じられなくて、戸惑ってしまう。
普段表立って現れることのない彼の隠された愛情の深さを改めて思い知った。
否定しなければ。別にあなたから離れようだなんて少しも思っていないって、伝えなければ。
確かな感情は迫り上がってくるのに、切なげな影を落とした瞳を前にして、肝心な言葉は喉に張り付いたまま出てこない。
「あなたはもう、どこにも行けないと言ったはずです。残念ながら──鳥籠の鍵はもう開きませんよ」
──“鳥籠”。
大佐の傍らが鳥籠だなんて思ったことも、感じたこともない。
以前の私なら感じたかもしれないけれど、今はそれすらも心地いい。
大佐は私を鳥籠に閉じ込めたと言う。けれど、私に言わせれば望んで籠の中に入ったのだ。
大佐の首に腕を回して引き寄せる。
不意をついたからか、大佐は私に引き寄せられるがまま上体を傾けた。
「私が望んだんですよ」
「!」
悔しいけれど、その重苦しい愛情が心地いいと感じてしまった時点で私の負けだ。
よく“惚れた方の負け”なんて言うけれど、だったら初めから勝負はついていた。
なにせ、毎日貢ぎ物と共に求婚していたのだから。
白い頬を包み込むように両手を添えて、今度こそ何の躊躇いもなく、自ら唇を重ねる。
ロマンチックなシチュエーションでも、蕩けるようなキスでもない。
けれど、それが私らしさだ。驚いて双眸を見開く彼に、勝ち気な笑顔を向けて告げた。
「大佐って、意外と心配性なんですね」
ポカンと呆気に取られた後、大佐はクツクツと喉を鳴らして笑う。
「あなたに関してだけですよ。前科があるだけに」
「う……それを言われると……で、でも今は!」
「ええ、分かっていますよ。あなたは私の妻ですから」
『それに、逃げ出すようなことがあれば必ず捕らえる』
大佐は、言外に不穏な台詞を滲ませながら体重をかける。
ベッドに沈む二人分の体重を受けて、スプリングが音を立てた。
夜明けまで、あと少し。
愛しの旦那様をなだめるには丁度いい。
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