任務が続き、高専の寮に帰ることもままならず実家の持ち家という名のほぼ私の家に帰る日が続いたある夏の日
うだるような暑さと容赦なく照りつける日差しに参ってはいるが、久しぶりの2連休。
他の1年メンバーも出払っており授業にならないからという理由で休みになった。

冷房の効いた部屋のベッドの上でゴロゴロしていると、スマホが鳴った。
画面を見ると例の婚約者(仮)からだった。

[明日明後日ヒマならデートしない？]
[別にいいケド。残念な事に両日とも空いてる]
[じゃあ決まり!!10時半に渋谷ね!!]
[わかった。遅刻にならない遅刻しないでよね]
[大丈夫。雪江との約束の時はしない。おやすみ。]
呆気なく予定が埋まった。
中々休みが合わない者同士の久しぶりのお出かけ。
できるだけのボディケアはした。

朝、日課のランニング等済ませて出かける用意をする
ボディケアをして、日焼け止めを全身に塗る。
薄めのメイクをし、髪はゆるいポニーテールにして、いつもの香水をふる
薄いインディゴのスキニーデニムを履き、しろのVネックTシャツを着る。
プラチナ台の小さい1粒石のネックレスをして、小さめの黒革のショルダーをもち、黒のダブルのライダースを肩から羽織る。
レイバンのサングラスをかけ、黒のポンプフューリーを履き、黒のシンプルな日傘を持てば完璧だ。
10時に家を出れば問題なく渋谷に着く。

待ち合わせの15分前に着き、少しでも日差しを避けるために日陰で彼を待った 。
あー早く着きすぎたなぁ…なんて思っていると、敵意はないが好意とも言い難い奇妙な視線を感じ、サングラス越しにチラッと見渡すとこちらを見ながら何かを話している男性3人組が近づいてきた

(あぁ…ナンパか。)
なんて思っていると、男達が勝手にペラペラと話し始めた。
「sorry.I can't speak Japanese. Can you speak Russian or France?」
と申し訳なさそうに話したら、タジタジしだしたナンパ男共。この見た目で日本語で声掛けてくる人すごいと思う。
色々見計らったかのようにジョガーパンツに白いTシャツをきてオープンカラーシャツを羽織り、ラウンドサングラスをかけ、パンツのポケットに手を突っ込んで人を探す彼。
「Hey!Satoru!!Ah Quand même!」
「Je suis en retard.」
なんてフランス語で話せばフランス語で返してくれる。そしてさりげなく腰を引き寄せチークキスをする。
ナンパ男を無視して腕を組み歩き始めれば2人だけの世界。

「ほーんと、五条先生はできたオトコだよねー。超crazy guyだけど」
「惚れくれてもいいのよ。あと、2人きりの時は名前で呼ぶって言わなかったっけ？」
「はいはい、悟さん。んで、どこ行くの？」
「適当に買い物かな。欲しいものあったら買ってあげるよ」
「資産的には私の方が持ってますけど??」
「確かに」

周りの目を気にせず買い物をし、お昼を食べに入った話題のカフェ
食後、私はブラックコーヒーを、前の人はあの歯が溶けそうになるくらい砂糖を入れた、店員ドン引きコーヒーを飲みながら休んでいた

「あーあと、水着買わなきゃね!!とびきり可愛くて、セクシーなやつ」
「は??私海もプールも入れないけど??日焼けしたらほんと痛いんだけど」
「ノンノン」
と言いながらたてた人差し指を横に振る彼。
キザなセリフやダサい動きもさまになるからムカつく
「ナイトプールだよ。ナイトプールなら日焼けの心配もないデショ」
「いや、そうだけど…基本ナイトプールって18歳からでしょ?? 木之本家が経営してるホテルもそうよ？」
「じゃーん!!こんなもの用意してみましたー!!」と言われて見せられた偽装された顔写真付き身分証明書(犯罪です。)
「なにやってんの!?高専ってなんでもありなの?？つかぶっ飛びすぎてて空いた口が塞がらないわ。」
「まあとりあえず水着買いに行こ？浮き輪は用意してあるからさー。」
「用意周到だな!!まあこの体質のせいでプールや海なんてほっとんど行ったことないからね。ちょっと楽しみ。」
「そうと決まれば早く見に行こ!!僕が選んであげる!!」
「結構です!!」

あーでもないこーでもないをやりながら決めた水着はアンダーとパンツのサイドがクロスしたビキニタイプの水着に決まった。
ほぼ五条の趣味である。