お店から出てすぐ。ちょっとしたスロープみたいな先にシャンデリアが見える。
腕を組み近くに寄る。

「おぉ…きれい…」
大きく、点灯していたが日光が当たってキラキラと輝いていた。
「でしょ？前に見たいって言ってたからさ。」
彼に言ったか？なんて考えているとスマホのシャッターが切られる音がした。
隣にいるはずの彼の方を見るとしたり顔の彼がいた。絵になるのであれば被写体になるのは構わない。だが一言言って欲しいとは思うが、
シャンデリアを見ている彼の横顔を何となく撮った。サングラスとのあいだに見える瞳が輝いて見えたから。

日も傾きかけている。シャンデリアに灯されている光の存在が大きくなってゆく。
夜になるとまた顔を変えるのだろう。周りの商業施設から漏れる明かりとシャンデリアに灯されている明かりが交わってさぞかし綺麗だろう。
「あ、そうだ。悟さん？ディナーの内容は？あと場所。」
「んー。内容は秘密かなぁ。場所は渋谷エリアになるのかな？雪江の家から近いよ。」
「ふーん…」
クリスマスらしいディナーってなんだろうか…わかんない。
近くのデパートに入りフラフラしているとあっという間に時間が過ぎる。

渋谷にもどり、彼が予約したレストランへと向かう。
「そーいやさ、フランスじゃ24日の夜家族集まってご飯食べて、深夜のクリスマスミサに行くんでしょ？」
「んー。普段ミサに参加しない人も行く特別な日だから…」
「ふーん。まあミサには行けないけどそんな感じの雰囲気を味わってもらえればいいとは思ってるよ。」
「ありがと。」
「んでフランスではクリスマス何食べるの？」
「生牡蠣とか？プラトー ドゥ フルイ ドゥ メールっていう生牡蠣中心の海鮮の盛り合わせ食べたり、フォアグラ食べたり…あー。ブッシュドノエルは外せないね。」
「まあ、1部は無理だけど…そんな話を聞いてここ予約したんだよね。」
彼が指さす方にはオイスターバーがあった。
まさかクリスマスイブに牡蠣を食べることが出来るなんて思わなかった。と伝えると。
「故郷を1人離れて暮らして、クリスマスも帰れないなんて申し訳なくてね。とりあえず入ろうか。」
彼にエスコートされて店内に入る。
小洒落たお店でそれなりに混んでいた。

牡蠣尽くしのコース。
生牡蠣、焼き牡蠣、蒸し牡蠣…カキフライもあった。
性格悪くてしょっちゅうイラッとすること多いけど、喜ばすのが上手だ。
まあ遊び慣れてるんでしょうけど。

残すはデザートだけという状態になった。
ウェイターがお皿を下げ、奥へと消えた。
プレゼントを取り出し渡す。
「無いのも寂しいと思って…気に入ってくれると嬉しいけどね」
「おー！開けていい？」
開けていい？と聞いておきながら開け始める彼。子供っぽい。

「おー！香水じゃん！ありがたく使わせてもらうよ。じゃあ俺も…これ、クリスマスプレゼント。」
思っていなかったプレゼント。
それは有名ジュエリーブランドのネックレス。
1粒のダイヤのみで使いやすいデザイン。

「わぉ…ありがとう。まさか貰えるとは思わなかった…」
「帰ったらつけてあげようか？」
「いや、明日迎えに来てくれるんでしょ？その時付けてよ。」
わかった。と微笑む彼。

今までで味わったことのないクリスマスだ…

その後家に帰ってその後は流れである。
性の6時間を自分で体験するとは数日前の私は思わなかっただろう…