似合わない買い物袋を持っている彼の隣を歩く
今もサングラスをしているが、普段は目隠しをしているらしい。
恵曰く、休載が多いあの漫画のあの主人公みたいになるらしい。よく分からない。


家に着き、買ってきたものをしまいノンカフェインコーヒーを入れる。
部屋にコーヒーの香りが広がる。
冷蔵庫からケーキを取り出し、箱を開けると中にはショートケーキが入っていた。

彼に手伝ってもらいコーヒーとケーキを運ぶ
いちごは先か後か。例のチョコ菓子みたいに派閥があると思うが、私は途中で食べるから美味しいものだと思う。
いちごの甘酸っぱさとクリームの甘みと滑らかな口当たりがとてもいい。余韻が残っている中にコーヒーを飲むとサッパリする。

「あぁ、今日の現場で行方不明者見つかって無事だったってさ。興味無いと思うけど。」
「へー。興味無いね。そもそもそういう所にいく馬鹿なんだから死んでても生きてても変わらないし、呪術師以外はどうでもいい。」
「あー。雪江のお父さんから聞いてたけど、やっぱりそうなんだね。」
「そりゃそうでしょ。私とって非呪術師はそこら辺に生えてる草みたいなもん。それに元々擬態して暮らそうとしてたんだから。呪術師はクソだし。まあ、こうなったからにはもう私は私で通すから。この仕事は遊び程度でお願いしたい。」
「あはは。こりゃすごいねぇ。まあ雪江は呪霊処理より、呪詛師処理の方が好きでしょ？」
「…尋問付きでお願い。」
「そういうのがあったら積極的にお願いするよ。」
流石、学年一イカれてる子やね。なん言われているがスルーする

食べ終わったお皿を片付けつつ、お風呂を沸かす。
ボタンひとつで風呂が湧く。日本最高。
「私もうお風呂入るから。ほら帰った帰った。」
帰るよう促すが、彼の様子がおかしい。
「え？帰らないよ。泊まるけど。言わなかったっけ？」

Oh my gosh.
この目の前の男は何を言っているのだろうか。
一瞬思考が停止した。

「やるやらない関係なく僕達一応婚約者だからね。一緒に寝る事くらい別にいいんじゃない？」
目の前の男が喋っているのは日本語なのだろうか。日本語なのは間違いないのだが…
ソファーにすわっている彼は反り返ってこちらを見ている。

言葉が思いつかない。
どうしたものか…