テニスの王子様
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氷帝学園昼、跡部は樺地も連れず、一人になれる秘密の場所に向かっている。
今日は、いろいろありすぎて一人になりたい気分なのだ。
跡部が皆(樺地は知っている)には内緒にしている隠れ家、木が茂り屋根付きのベランダみたいになっている。
着いたその場所には、先客がいた
「あん?誰だあれ」
風に吹かれ髪の毛が舞う少女、制服からして、高校生らしい
本を片手にコーヒーを飲んでいるようだ
「一人になりたかったのによぉ。おい、そこの女」
「?なにか?」
「悪いがそこは俺の場所でなぁ、どっかに行ってくれないか」
「無理。そもそもあなたの場所っていう証拠がない」
強気で少女に告げると、眉も顰めず少女はズバッと言葉を返す。だが、そんな言葉にもひるまないのが跡部様なのだ
「あ~ん?誰に物言ってるのかわかってんのか?」
「……跡部景吾、中学三年、テニス部部長。あとは別に知る必要のない情報。で?それがなに?」
「っ…はぁ…まぁいい。ここ座るぞ」
普通の女子生徒なら目の色を変えて話すことを、顔色も変えずに話すその少女に何を言ってもダメだと思った跡部は、少女の座っているベンチの隣に腰掛ける
そのことに対し、少女は何も言わずに本に目を戻し、ページをめくる
「……」
「……(不思議な女…こんな奴初めてだな)」
「ぁ」
「?」
いままで何の反応も示さなかった少女が急に、小さく声を上げる
それに跡部は頭にはてなを浮かべながら少女を見ると、少女は本ではなく、高等部の方を見ている
「(なんだ?)」
「~~~!!瑠々~~~!!!!」
「あ~ぁ見つかっちゃったか…」
「瑠々!見つけたぞ!やっぱりここにいたのか…」
「疾風…」
「まったく。お前は俺が付いてないとどっかいっちゃうんだよなぁ~…ってあれ?そっちは…どっかで見たこと…あーー!中3のテニス部部長跡部!」
「あーん?誰だ」
眉間にしわを寄せながら、少女の隣に立つその男をにらむ
「おっと。先輩に向かってその口の利き方はないんじゃないのか?がきんちょ」
「あーん?」
「あーはいはい。疾風も十分子供だから。寧ろ、二十分子供だから。ごめんなさいね跡部くん。失礼するわ」
「ちょっ!待てよ瑠々!」
「……」
2人の背を見送りながら、もやもやする胸を抑える跡部。この感情が何なのかわからない。
「なんなんだこの気持ちは…チッ」
舌打ちをすると、その場から立ち去る。その日は頭から少女のことが離れなかった。部活もあまり手につかずであった。
次の日、もやもやしながらも少女のことが気になった跡部は昼休み、あの場所に行ってみた。すると、昨日と同じ場所に少女…瑠々はいた。少しづつではあるが、瑠々と話をするようになる。毎日秘密の場所に行き、瑠々と話をする。
瑠々はいつもその場所で本を読みながら跡部と会話をする。だんだん慣れてきたのか、笑顔が見れるようになってきたことに跡部は喜びを感じていた。
そんなある日の昼休み、テニス部員で昼食をとっていた跡部は、ふと表を見ると、瑠々が本を片手に秘密の場所がある方向へ歩いていくのが見えた
「あれは…瑠々先輩」
「どないしたん、跡部?」
「あん?なんでもねぇよ」
「なんでもなくないだろ~!俺たちの話まったく聞いてなかったろ!くそくそ!」
「うるせぇよ」
静かに怒ったような口調で言うと、昼食を一気に食べあげ、席から立ち上がった
「そろそろ行く。続きは部活の時に話し合う」
「珍しいですね、あんな急いで…用事でしょうか?」
「気にするな長太郎」
「せやけど、気になるわ…なぁ、追いかけてみぃひん?」
いたずらに笑う忍足に、テニス部員は、やはり気になるのであろう、追いかけることを決意する。
そんな噂をされていることなど知らない跡部はあの秘密の場所に小走りで向かっていた。そのベンチにはいつものようにが瑠々が座っているが、何か様子が違う
「?寝てんのか?」
「……クシュッ」
「!!」
本を片手に眠っていた瑠々は、小さくくしゃみをする。それを見た跡部は、自分の来ていたブレザーを脱ぎ、瑠々にかける。
「ん…これ……」
「風邪をひきます」
「跡部君…ありがとう。もう大丈夫」
「いい、寒いだろうから羽織ってて下さい」
「ありがとう」
ニッコリ笑う瑠々はきれいで、輝いていた。そこで跡部は、確信をした。瑠々のことが好きなのだと。
胸を抑える跡部に、瑠々は下から覗き込みいう
「大丈夫?少しお話でもしましょう」
「はい。一つ質問したいことがあるんですが」
「?なに?私でわかる範囲なら」
「………この前のあの男は誰なんです?」
「え?ぁー疾風のことね、アイツは私の「瑠々~!やっぱりここにいたか…っとと…およ跡部君じゃないか…なに瑠々の隣に座ってんだお前…舐めてんの?」
笑顔だけれど、キレた様子で跡部に近づく疾風を瑠々が立ち上がり、止める
「いい加減にしなさい疾風…すぐに戻るから、先に戻っていて…」
「なっなんだよ!む~くっそ…」
瑠々には逆らえないのだろう。膨れっ面でその場をあとにする。疾風が高等部の方へ戻るのを見送った瑠々は跡部の方へと向き直す
「ごめんなさいね…まったくどうしてあーなのかしら」
「さっきの質問に答えて下さい」
「え?あぁ、そうだった。疾風は私の「いや、ちょっと待ってください…すみません。少しだけ」
「…わかった。では、私から質問いい?」
「なんです?」
ベンチに座りなおす瑠々は木々を見る目ながら跡部に質問する
「なぜあなたは敬語を使うの?聞いたわ、年上だろうとなかなか敬語なんか使わないって、それに、敬語じゃなくてもいいって私は言ったわ」
「それは…自分の整理がついてないから…しっかりとした答えが出たら、やめますよ」
「そっか」
横に並んで二人は少し沈黙の時を過ごす。すると瑠々が口を開いた
「疾風は、私の兄よ」
「……は?」
「だから、疾風は私の兄なの。」
「いや待て!おかしいだろう、自分の兄貴を名前で呼ぶなんて!」
「そうね…普通ならそうね。でも、私の兄弟は皆名前で呼び合っているの」
「なっ……はぁ…俺様が悩んでたのは何だったんだ…」
がっくりと肩を下す跡部だったが、瑠々の方を向くと、肩に手を置き真剣に話し始める
「瑠々…」
「え?急に呼び捨てって…まぁいいわ。何かしら跡部君」
「俺はお前が好きだ、お前の気持ちが知りたい」
「ふふっそうね…なんて返してほしい?」
満面の笑みを浮かべながら、瑠々は言う。すると跡部は悔しそうな顔をして、手の力を強める
「決まってんだろ?あ~ん?」
「そうね、私は…」
そういうと跡部ではなく木々が生えているほうを向く。それがじれったくて、跡部は少しむっとする
「じれってぇな…早くしてくれ」
「ふふふっ好きよ、ここで会うずっと前から私はあなたが好き」
「ここで会う……ずっと前?」
「そう、あなたとはここで会うの初めてじゃないの、あなたが中学1年のとき、先輩に大口たたいたでしょ?しかも体育館の舞台の上で…あの時に一目ぼれだった。」
「そんな前からかよ…」
「そうよ、そんな前からあなたのことを見ていたの。ふふっ今思うと少し気持ちが悪いわね」
ふふっと笑顔で言った瑠々に跡部は、やっぱりこの少女に心から惚れていることを確信する。そう思った跡部は誰も見たことがない優しい笑顔で答える
「気持ち悪くなんかねぇよ。俺様が惚れてんだ、誰にもそんな事言わせねぇよ」
「/////そう、ありがとう跡部君。」
「景吾だ、そう呼べ」
「そうね、私のことも名前で急に呼び捨てですものね景吾」
嬉しそうにでも恥ずかしそうな笑顔で瑠々は、跡部にそう告げると、跡部はふっと笑うと瑠々の頬へと手を伸ばし自分の顔を近づける
「いいよな?」
「うん。」
2人の唇が重なった一回目はぎこちなく、でも甘い甘いキスになる
跡部派の瑠々の唇から少し離れると、もう一回と言うと瑠々は何度でもと返し、2人は何度も何度もキスを繰り返す。甘い甘い時間
――――おまけ――――
跡部の後をついてきた輩は
「付いてきたは、いいけど…まさか」
「こんなシーン見せつけられるとは、思わなかったCー」
「クソクソ跡部」
「……///」
「宍戸さん!大丈夫ですか!鼻血が」
そんな2人のラブラブシーンを見せられたその日の部活、跡部は上機嫌で部室に入ってくる
「よぉてめぇら、しっかりと練習してるだろうなぁ?あ~ん?」
「「「「「…ノロケの顔(や)だ」」」」」
あとをつけてきた皆ににらまれながら言われた跡部は、ふっと上機嫌な笑顔でこう告げる
「良い体験できたろ?」
「「「「わざとか!!!!!」」」」」
その後の跡部の話によると、つけられてたことに気づいていたから、キスをしまくったらしい(跡部は自分がしたかったとは言わない)。見せつけだ。
その日の部活は、上機嫌な跡部と、ラブラブシーンを見せられやる気が全く見えないレギュラーたちの姿がコートにあった
~完~