決断
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夜の屋上。
燐と雪男は互いに譲らず、けれど最後に視線を交わして小さく笑った。
「……オレ、やっぱ雪男に負けたくねぇ」
「僕もです。兄さんにだけは、渡したくない」
二人同時に瑠々を振り返り、真剣な瞳で見つめる。
「「だから……一緒にいてくれ」」
「えっ……?」
瑠々は目を瞬かせた。
雪男が言葉を選ぶように続ける。
「形なんてどうでもいい。ただ……僕と兄さんは、どちらも君を失いたくない」
「瑠々が笑ってくれるなら……オレはそれでいい」
燐の声は不器用だけど、胸の奥からの叫びのように熱い。
瑠々は震える唇を押さえ、涙をこぼした。
「……二人とも……ずるいよ……そんなこと言われたら、選べない…」
燐は優しくその頬を拭い、雪男はそっと手を重ねる。
「選ばなくていい」
「僕たちが、君を一番に想ってる。それだけわかってくれれば」
そして――燐が額にキスを落とし、雪男が唇に触れる。
「瑠々、大好きだ////」
「君しかいない////」
挟まれるように抱きしめられ、瑠々は小さく笑った。
「……ありがとう。私も、二人が大好き。ずっと一緒にいたい///////」
月明かりの下、三人の影が重なる。
幼馴染の絆は、誰にも壊せない特別な愛へと変わっていった。時は流れ――。
幾多の戦いを共に乗り越えた瑠々と燐、雪男は、誰もが驚く形で幸せを掴んでいた。
「瑠々は、オレと雪男、両方の隣にいる。それが一番自然だろ」
燐は少し照れながらも、堂々と胸を張る。
雪男も静かに頷き、瑠々の手を取った。
「ええ。僕らは幼い頃からずっと一緒でしたから。……これからも、三人で」
そして迎えた結婚式の日。
白いドレスに身を包んだ瑠々の両手を、それぞれ左右から燐と雪男が握る。
「「誓います」」
二人の声が重なり合い、祝福の鐘が鳴り響いた。
季節が巡り――瑠々は母となった。
燐にそっくりで元気いっぱいの男の子。
雪男に似ておとなしいけれど賢そうな女の子。
「……オレの子、めっちゃ可愛いな!」
燐は息子を高く抱き上げ、嬉しそうに笑う。
「落とさないよ。それに、僕の娘も同じくらい可愛いいから」
雪男は娘を腕に抱き、優しく頬を寄せた。
瑠々はそんな二人と子供たちを見て、胸がいっぱいになる。
「……夢みたい。ずっと一緒に笑っていられるなんて」
燐は瑠々の肩に手を回し、雪男は反対側から寄り添う。
「夢じゃねぇよ。現実だ」
「これからもずっと、僕たちは家族です」
瑠々は涙をこぼしながら微笑む。
「うん……私の一番の幸せは、ここにある」
瑠々の手に二人の小さな手と暖かい大きな二つの手が重なり合い、笑い声があふれる家。
――それは誰よりも強く、優しい“家族の物語”。
年月は流れ、ある休日。
瑠々と燐と雪男、そして二人の子供たちは揃って街へ出かけることにした。
「わー! アイス! アイス食べたい!」
燐似の元気な息子が駆け出す。
「……ちゃんと順番に並ばないとダメだよ」
雪男似の娘が眉をひそめて兄の袖を引く。
「そ、そうそう! ほら二人とも、迷子になるなよ!」
燐は子供たちを追いかけて慌てふためく。
そんな様子を見ながら、瑠々は雪男の腕にそっと自分の腕を絡めた。
「ふふ……燐はすっかり子供と同じだね」
「昔から落ち着きませんからね。でも……そういう兄さんが、子供たちにとっては一番楽しいんでしょう」
雪男は穏やかに笑い、瑠々の手をぎゅっと握り返す。
アイスを食べ、遊園地の観覧車に乗り、賑やかな一日。
夕暮れ、帰り道。
「ママ~、今日楽しかった!」
「燐パパも雪男パパも、ずっと一緒にいられるといいね」
子供たちの無邪気な声に、燐と雪男は同時に目を細めた。
「……なぁ瑠々。オレ、本当に幸せだよ」
燐が瑠々の肩を抱き寄せ、堂々と口づけを落とす。
「ちょ、ちょっと兄さん! 人前で……//////」
雪男は真っ赤になりながらも、結局は反対側から瑠々の頬にキスをした。
「……僕だって、負けませんから」
「えぇ~~! ママ、パパたちにキスされてる!」
「ずるぅ~~い!」
子供たちが大はしゃぎし、周囲からも笑いが漏れる。
瑠々は顔を覆いながらも、幸せでたまらなかった。
「もう……二人とも、本当に恥ずかしいんだから」
それでも――この賑やかな日常こそが、瑠々にとって一番の宝物だった。
~END~
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