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幼い頃からずっと一緒だった三人。
泣き虫だった雪男も、すぐ喧嘩する燐も、いつもその間に立って笑っていた瑠々は二人にとって特別な存在だった。
そして今――祓魔師候補生として共に戦う日々の中でも、その想いは変わらない。
むしろ強くなる一方だった。
夜。訓練を終えて、誰もいない学園の庭に腰を下ろす三人。
「……はぁ、疲れた~! なぁ瑠々、オレのこと褒めてくれよ!」
燐が寝転がりながら子どものように笑う。
「燐はほんと、体力おばけだね。よくあんなに動けるなぁ」
瑠々が笑えば、燐は耳まで赤くしてそっぽを向いた。
その横で雪男は眼鏡を外し、静かに拭いながら小さく息をつく。
「……無茶ばかりする兄さんを心配して、結局瑠々が助ける。いつもそうだ」
「いーじゃん別に。瑠々がいてくれるから俺、頑張れるんだし!」
燐が即答すると、瑠々は照れて笑う。
雪男の視線が鋭くなる。
「……兄さん。瑠々に甘えすぎだ」
「はぁ? 雪男だってだろ! いつも“瑠々、危ないから僕の後ろに”ってさ!」
「それは当然だ。僕は、瑠々を守りたい」
二人の間に火花が散る。
瑠々は慌てて両手を広げて止めた。
「ちょっと、喧嘩しないでよ! ……二人とも、私にとってすごく大事なんだから」
その一言に、燐と雪男は同時に息をのむ。
互いを睨みながらも、揃って瑠々を見つめるその瞳は、まるで子どもの頃のままだ。
ふいに燐が立ち上がり、瑠々の肩をがしっと掴む。
「……なぁ、瑠々。オレ、子どもの頃からずっと、瑠々のことが好きだ。もう隠すのやめる」
驚く瑠々の頬に、熱のこもった唇が触れた。
短いけれど、真っ直ぐで熱いキス。
「っ……燐……////////」
その瞬間、雪男も迷いを捨てたように瑠々を抱き寄せる。
「兄さんに先を越されたけど……僕も同じ気持ちだ。瑠々、ずっと君が好きだよ」
冷たい夜風の中、雪男の口づけは驚くほど甘く、優しかった。
瑠々は胸の鼓動を抑えきれず、ただ二人を見つめる。
燐は不器用に笑い、雪男は切なげに目を細め――
それでも二人の想いは、まっすぐに瑠々に注がれていた。
「……ずるいよ、二人とも」
瑠々は涙をこぼしながら微笑む。
「でも……私も、二人のこと、大好きだから」
三人の距離が重なり合い、幼馴染だった日々が、恋へと変わっていく――。
翌日、学園の外れで、突如として強力な悪魔が現れた。
燐と雪男はすぐに戦闘態勢に入るが――相手はこれまでにないほどの力を持っていた。
「くっ……兄さん、無茶しないで!」
「言われなくてもわかってる!」
燐の剣が火花を散らし、雪男の銃弾が闇を裂く。
だが悪魔はびくともしない。
瑠々は二人の後ろで拳を握りしめた。
――幼い頃から、二人を守れる自分でいたいと願ってきた。
その想いが、今こそ胸に燃え上がる。
「……二人共…少し退いてて…」
瑠々の周囲に淡い光が立ちのぼる。
空気が震え、悪魔が一瞬ひるむ。
次の瞬間、瑠々は両手を広げて祈るように声を放った。
「――退け!」
強烈な光の奔流が迸り、悪魔を一瞬で吹き飛ばす。
轟音と共に影は消え、辺りには静寂だけが残った。
「……瑠々……」
燐が呆然と瑠々を見つめる。
その顔は驚きと、そして誇らしさでいっぱいだった。
雪男は駆け寄って、瑠々の肩を支える。
「無茶するなよ……大丈夫?」
「うん……ちょっと疲れただけ」
瑠々は息を整えながら微笑んだ。
燐は拳を握りしめ、瑠々の手を掴む。
「やっぱ瑠々、すげぇよ……オレなんかよりずっと強い」
「そんなことないよ。私は、二人がいたから戦えたんだもん」
その言葉に、雪男も燐も胸を熱くする。
「……やっぱり、君は僕らにとって特別だ」
雪男が真剣に言えば、燐も真っ直ぐに頷いた。
「オレだって、ずっと特別だって思ってる」
二人の視線を受け、瑠々は少しだけ涙ぐむ。
そして、燐が強引に抱きしめ、雪男がその背中に手を添える。
「もう離したくねぇ……絶対守る」
「僕もだ。何があっても、君を守る」
瑠々は二人の胸の中で小さく笑い、そっと目を閉じる。
「……ありがとう。私も、二人を守るよ」
三人の想いが重なった夜、幼馴染の絆はさらに深く結ばれていく――。戦闘から数日後。
学園の中庭、瑠々は同級生に呼ばれて魔法の相談を受けていた。
瑠々が丁寧に説明して笑顔を見せると――その光景を、遠くから二つの視線がじっと見つめていた。
「……なんであんなに楽しそうなんだよ」
燐がむすっと頬をふくらませる。
雪男も冷ややかな目を向ける。
「……正直、落ち着かないですね。あんなに近づかれると」
二人は同時に顔を見合わせ、火花を散らした。
「お前こそ、余計に心配しすぎなんだよ!瑠々はもう子どもじゃねぇ!」
「兄さんに言われたくないね。兄さんこそ、すぐ抱きついたりして……非常識なんだよ」
「はぁ!?瑠々は喜んでるし!」
「いいえ、困ってるよ」
「困ってねぇ!」
「困ってる!」
バチバチと睨み合う二人。
その間に瑠々が戻ってきて、きょとんと首をかしげた。
「二人とも……何してるの?」
燐と雪男は同時に振り返り、慌てて声を揃える。
「「瑠々はオレ(僕)の隣にいるのが一番似合ってるんだ!!」」
沈黙。
……そして、瑠々は思わず吹き出してしまった。
「ふふっ……もう、なんでそんなことで張り合うの」
笑いながら二人の手をとる。
「燐も雪男も……どっちも、私にとって大事だよ」
その一言に、二人の頬が一気に赤く染まる。
「……瑠々/////」
燐が照れ隠しのように唇を近づけ、瑠々の頬に軽くキスを落とす。
「っ! 兄さん!」
雪男が焦って声を上げるが、次の瞬間、彼も迷いを捨てたように瑠々の手を引き寄せた。
「……僕だって」
真剣な眼差しで瑠々の唇に触れる。
「~~っ/////////」
瑠々は真っ赤になって両手で顔を覆う。
燐と雪男は互いを睨み合いながらも、結局は瑠々の反応に頬をゆるめた。
「……瑠々の笑顔、やっぱ一番可愛い///」
「同感ですね///……だから、譲れません」
二人に挟まれて、瑠々はもう逃げ場がない。
けれどその心は、不思議なほど温かかった。
戦いも少し落ち着いた頃。
夜の屋上で、瑠々は燐と雪男、それぞれと向き合った。
ずっと幼馴染だった三人。
でも、これからは――きっと形を変えていく。
燐 END
雪男 END
ハーレム END
