緋色の欠片
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この地は、あらゆる見えてはいけないモノがいる
その見えてはいけないモノ…瑠々はそれが見えてしまう。前は、東京にいたが、体が弱く、祖父母が住んでいるこの季封村に幼いころ引っ越してきたのだ。高校2年になった今はすっかり体も治り、元気に過ごしているが、幼いころ生死をさまよったせいか、幽霊や妖など、普通の人には見えないモノが見えるようになっていた
「はぁ…またか………ねぇ…あなたはここにいるべきではないわ…えぇ……光の道を見つけて」
瑠々は何かに話しかけているようだ。その何かは、納得したのか歩き出し、空へ歩いていった。
「まったく…こんな森に居たら食べられちゃうよ…」
「お優しいのですね」
背後から誰かに話しかけられ、びくっと肩を震わすと、後ろをそっと振り向く
「あのっこれはっ」
「ふふっ大丈夫ですよ。私も見えますから」
「あ…そうなんですね…あれ?………もしかして…大蛇さん?」
「えぇ、覚えていまいたか」
「勿論です!ふふっ」
瑠々は嬉しそうに笑った。なぜ、瑠々が卓を知っているのかといと、瑠々の祖父母家は茶屋をしているため、小さいころから店の看板娘としてお店に入り浸っていたため、卓とは幼いころよく顔を合わせていた。
「あれ以来ですね」
「私が倒れて以来お店に通えなかったので…本当にお久しぶりですね」
「ええ。大きくなられましたね」
「へへっうれしいです!」
「……」
卓は瑠々を見つめた。その瞳は愛おしいものを見るような目だった。そんなことにも気づかずに、瑠々はにっこりと卓とみると、ハッとした顔をする
「そうだ!早く帰らなきゃいけなかったんだ!おばあちゃんが腰痛めてしまったらしくて!」
「それは大変ですね!ご一緒しましょうか?」
「え?いいんですか?」
「ええ。あなたおひとりじゃ大変でしょう?おじい様もお腰が悪いでしょうから」
「おじいちゃんも腰悪いの知ってるんですね!まだ通って下さってるんだ!」
「っ…」
瑠々の不意な満面の笑みに、ドキッと胸が弾む。ぐっと胸を抑えながら二人は瑠々の祖父母の茶屋に向かった
「あらやだ!卓君も来たの?恥ずかしいわ」
「大変そうなので、お手伝いに」
「ごめんなぁ…わしもばあさんを持ち上げられんで…」
「いいんですよ」
「じいさんよりイケメンじゃて…私はうれしいですよ」
「おばあちゃん!おじいちゃん、気にしちゃだめよ!おじいちゃんイケメンよ!」
「ほっほ!大丈夫じゃ!ばあさんはわしが大好きじゃからな!」
自身満々におじいちゃんは言う。それに対し、卓も瑠々も笑い出す。卓はおばあちゃんを持ち上げると、寝室へ連れて行った。瑠々はおばあちゃんのために、湿布と医師に電話を掛けに行った。
「大丈夫ですか?」
「ああすまなかったね卓君」
「いえ」
「ふふっ」
「?」
「早くひ孫の顔が見たいのぉ」
「!?」
「見ていればわかりますよ!あなた達よりも長く生きていますからね」
「……お恥ずかしい…こんな年上じゃ…見向きもされないでしょう」
「そんなことはないじゃろ」
後ろから、おじいちゃんの声が聞こえ、卓ははっと振り向く
「ほっほ!忘れたかい?瑠々は昔、卓君と結婚するんだって言っておっただろう」
「!そっそれは幼かったからっ」
「どうかのぉ」
「どうですかねぇ」
「/////」
二人は嬉しそうに微笑んだ。卓は顔を真っ赤にして顔を隠した。その時、瑠々が部屋に入ってくる
「今お医者様に電話してきたよ!10分くらいで来るって」
「ありがとうね瑠々」
「いいよ!おじいちゃん、お医者様来るまで私ここで待ってるからね」
「そんなに心配せんでも、それくらいわしにもできるわい。もう外も暗くなってきたからのお帰り」
「でも…」
「何かあったらおじいさんに電話してもらいますからね。腰だけなんだからそんなに心配しないのよ」
「…うん……じゃぁお医者様帰ったら電話してね!」
「わかったわい!しつこいのぉ!卓君連れてってくれ」
「ふふっわかりました。さっ行きましょう」
「はい」
卓に連れられて家に向かって歩き出した
「……なぜ、あれ以来来なかったのですか?」
「あぁ…休日とか何気に行ってたんですけど…両親に一人で行くなって怒られてて。でも、今日は両親仕事でいないから代わりに行ってくれって」
「そうだったんですね。……」
夕日に照られてた瑠々を見つめる
「おきれいになられましたね」
「?あぁ!夕日綺麗ですね!」
「……いえ…瑠々さんがですよ」
「え?ぁっ…////////ありがとうございます///」
夕日のせいなのか、言葉のせいなのか瑠々の頬は真っ赤に染まっていた。その時だった後ろから話しかけられる
「卓さん?」
「お?ほんとだ」
「何してるんすか?」
「おや、皆さんお揃いで」
「ん~?おっめっちゃ美少女!胸もデカイ…」
「真弘先輩!」
「最低だな…」
「ごめんね瑠々ちゃん!」
「ううん!知り合いの先輩?」
「まぁ…そうね…」
その知り合いが友達に対して、美少女はいいが胸もデカイという言葉が脳裏に残り、いやそうな顔をする珠紀
「ふふっ珠紀顔w」
「えっ変な顔してた!?」
「少しね」
「お前大蛇さんと知り合いなのか?」
「鬼崎君だ…うん!小さいころからウチの祖父母の茶屋をごひいきにしてくれててね!」
「へぇー」
やはり年の近い者同士だからなのか、卓の目には、まぶしかった。
「……」
「いけないそろそろ行かなきゃ!」
「帰るの?」
「犬たちが待ってるし、ごはんも作らなきゃ!」
「お前って料理作れの?」
「鬼崎君ひどくない?作れるよ」
「わりっ/////その顔反則だろっ」
「ん?」
「っ」
ぷくっと膨らんだ頬で拓篤を睨みつける。その顔が可愛くて、拓磨や真弘の頬が染まるのを見て、卓の胸がズキッと痛みを発した。
珠紀はそんな姿にプルプル震えた後、瑠々に抱き着いた
「わっ」
「もぅ!かわいいかわいい!」
「たまっ・・・珠紀の方が可愛いよ!」
「「「いや、それはない」」」
「えっ揃いすぎじゃない‥‥?あっこんなことをしている場合ではなかった!いけないいけない!卓さん!行きましょう!」
「え?」
卓の手を握ると、三人に手を振りその場から去っていった。卓は急なことで、握られた手が少しジンジンする
「あっあの」
「あっ!ごめんなさい!急に!」
「ぁっ!」
「え」
離そうとした手を卓は握りなおし、自分の方へ引き寄せてしまった
「えっと/////」
「すみません…でも…このまま……」
「すぐる…さん?」
「好きです…あなたが……」
「へっ?」
「ずっと…言えないままでした‥‥」
そういう卓の握られた手が少し震えているのを感じた
「……私……」
「すぐには返事は求めません…ただ…耐えきれなかった…あなたが他の男と楽しそうにすることに…実は…少し前から見ていたんです…あなたがあの学校で友達と楽しそうにしている姿」
「え」
「気持ち悪いですね…10才近く年上のヤツに好かれたり見られたりするのなんか…」
「そんなっ」
「時間がかかってもいいです…考えてください。どんな返事も受け止めます。さぁ帰りましょうか」
「すぐ………るさん……」
その後はひと言も話すこともなく家に着く。卓は昔のようににっこりとほほ笑むと帰っていった。瑠々は、料理をするときも、お風呂に入る時も、ご飯を食べた後も、卓の事で頭がいっぱいだった。
ベッドにダイブすると枕に顔を埋めうぅ~と声を上げた
「はぁ…考えたこともなかったかもしれない……卓さんはすごくカッコよくて…優しくて、いつも誰かのために何かを考えてくれてて……そんな卓さんが小さいときから好きだったけど…それが恋心なのかわからない……」
また枕に顔を埋めながらうぅーとうなる。その時、ドアをノックする音にびくっとすると、外から母親が話しかける
「瑠々?いい?」
「あ…お母さんか…いいよ」
「なんかずっと考えてるようだったから…」
「う……さすがお母さんだね…鋭い……」
「ふふっあなたの母親をやってもう長いですからね!おばあちゃんの事?おじいちゃん?」
「ううん!あの二人はどうやら大丈夫みたいだったから…むしろ元気すぎてお医者さんがびっくりしてたくらいだって言ってた‥‥」
「まぁ!さすがね!ん~じゃぁ異性かしら?」
その言葉に肩がびくっと震えた。母はそれを見逃すはずもなく、面白そうにニカっと笑った
「そう!そうなのね!なに?どんな感じ?好きなの?告白されたの?どっち!」
「ワクワクしすぎ…告白…された」
「そう!あなたは自分の気持ちがわからなくて、悩んでいたのね!」
「うん……」
「ん~じゃぁ、その人の事を考えると、胸がぎゅーってなる?」
「んー……笑顔を見るとなるかな」
「じゃぁーその人がもし、知らない女の人と楽しそうに話していたらどう?」
「?友達かなって思う?」
「そっかぁ…瑠々はまだ初恋をしたことがないな?」
「え?言われてみればそうかも……なんかこの人がいい!みたいなのないかも…」
母は、ははんとにやつき、瑠々を抱きしめた
「なに?」
「うちの子可愛いなって!病弱だったあのころから比べてとても元気になって、恋もできなかったもんね!もうちょっと時間が立たないとわからないかな!」
「お子様扱いされてる気がする………」
「おこちゃまじゃない」
「むむっ」
それから母は、嬉しそうに抱きしめながら瑠々を撫でまわした。それを、ただ通りすがった兄が見つけ、なぜか兄にも同じことをされ、父も騒ぎを聞きつけたのか入ってくるなり頭をなでてはにやにやしていった。
「もう!みんなでやめてよ!」
「あん!かわいい娘が初恋かもしれないのよ!」
「なに!初恋だと!だれだその幸運の持ち主は!許せん!」
「俺の妹をたぶらかすとは…いい度胸だ…」
「もおおおお!いいから出てって!」
瑠々に怒られ、皆は部屋の外に追い出された。瑠々は皆を外に出すと、ぷんぷんしながらベットに潜り込む。スマホを開き初恋について夜中まで調べていた。いつの間にか寝ていたらしく、朝を迎えた。いつも通り朝をすごし、学校へ向かい授業を受ける。その日の帰り、少しいつもより遅くなってしまって、廊下を歩きながら夕日を見た。すると、廊下の向こう側から聞き覚えのある声が聞こえる
「そうでしたか。またお話を聞きたいですね」
「ええ!もちろんまた来てください!」
密室の部屋から出てきたのは、卓と最近入ったばかりの新任の英語教師、女の先生だ。フィオナ先生がいなくなり、新しく就任してきた先生。若く、フィオナ先生くらい美人だ。瑠々はその姿に思わず身を隠してしまった。
「……あれ………思わず隠れちゃった…なんでだろう‥‥…胸がチクチクする…苦しい…‥‥」
その場にしゃがみ込んでいると、瑠々の上に影が落ちる。しかし胸が苦しい瑠々は顔をあげることができない。すると、ふわっと体が宙に浮く。びっくりした瑠々はパッと見てみると、そこには一人の男子生徒が瑠々の事をお姫様抱っこしていた。
「…お前…大丈夫か」
「……狗谷…くん…」
「……」
狗谷と呼ばれる少年は瑠々を見つめる。そういえば、最近やたらと瑠々の周りをうろちょろしていた。そして、瑠々を抱えたまま、廊下に出る。その姿を卓も英語の先生も見ていた
「瑠々…さん…」
「あれ?瑠々どうしたの!?」
「くせぇ……」
「え?」
「香水くせえから寄るな。こいつは俺が連れていく」
「あのっ狗谷くん!大丈夫!大丈夫だから!」
「顔真っ青にして何言ってんだ」
「いや!ホントただの貧血かも!ね!おろしてっ」
「暴れんじゃねぇよ」
ぎゅっと抱きしめられ、身動きが取れなくなった瑠々はどうしようと困っていると、反対側から手が差し伸べられた
「狗谷くん。瑠々さんをこちらへ」
「あぁ?」
「卓…さん」
「大丈夫です。私は、彼女の事を小さいころから知っていますから。また発作が起きてしまったんでしょう」
「発作?」
「さぁ、瑠々さん」
差し伸べられた手に、瑠々はほっとした気がした。そして手を伸ばした。狗谷から解放されたと思ったとたん、卓の胸の中にすっぽり入っていた。
「っ//////////すっ卓さんっ/////」
「帰りましょう」
「っ/////はい……」
「それでは、失礼します」
瑠々をお姫様抱っこしまま卓は瑠々の家に歩き出した。瑠々は胸を抑えながら卓の事を見た
「そんなに見つめられると、すごく照れます」
「/////////ごっごめんなさい///」
「いえ。……どうして…いえ…」
「……私…女の人と話す卓さんを見て、すごく胸が苦しくなって…今も、病気の時みたいに胸がドキドキしてて…」
「瑠々…さん」
「まだ…恋とかわからないけど‥‥卓さんが他の女性と話してるだけで…ぅ…‥」
話している途中で感情が抑えられなくなった瑠々は、ぽろぽろと涙を流す。卓はそれを見て足を止めると瑠々をおろした
「瑠々さん…」
「やなんですっわがままかもしれないけどっ……」
「…瑠々さん?では、こういう事をされたらいやですか?」
「へっ」
ぎゅっと抱きしめらた。瑠々はそのぬくもりにドキドキが止まらない。顔が熱くなっていくのがわかる
「嫌じゃないですっ///////」
「それでは、これは?」
次に卓は、瑠々の頬に手を添えると、おでこ同士をくっつけあった。瑠々は、涙が流れだす
「嫌ではないけど、ドキドキして死んじゃいそう…///////」
「くすっ瑠々さん…キスしてもいいですか?」
「キッキスっ///////////」
「いや…ですか?」
「っ///////何ですかその顔/////反則ですっ/////」
「……」
「あっ」
イイと言わない瑠々に、卓はそっと顔を離した。すると、自分から離れてしまう寂しさから、瑠々は卓の頬に手を当てると、自分の唇を卓の唇に重ね合わせた。チュッと可愛い音をならし、そっと離れた
「……不意打ちですね…////」
「ぁっの…/////嫌じゃないっキスしたい///」
「……可愛いですね…瑠々さん…」
「ん……」
卓は瑠々を自分の方へ引くとその勢いでキスを交わす。さっきよりも長く深く。しばらくすると、瑠々は息ができずに、頬を染め、少し涙目になりながら息を整えようとする
「はぁ・・・・/////すぐ…るさ‥‥くるひ…///」
「はぁ…すみません…あまりにも……可愛くてつい…好きです…誰にも負けないくらい」
「…私…私も……好きですっ」
「ん…瑠々……」
何回もキスを交わし、瑠々が限界を迎えたため、離れるが、卓はぎゅっと瑠々を抱きしめたまま嬉しそうに笑った
「すごくうれしいです…」
「私も…この気持ちに気づいてよかった……大好きです」
「歩けますか?」
「あっはい……」
「ふふっこれは報告しなければなりませんね」
「え?」
「いいえこちらの話です」
卓は嬉しそうに瑠々の手を握り家に向かって歩いた。家に着くと、手をつないでいる二人を見た母親はものすごく喜び、家に入れた。家に入ると、父と兄に根掘り葉掘りいろいろな質問をされ、それをタ淡々とにっこりと答え、二人は負けを認め、瑠々との交際を認めた。その後はすごく二人共打ち解け、楽しい夕飯になった。そして、卓が言っていた報告とは、休日になり、祖父母の家に向かい、交際の報告をした。祖母も祖父もにやにやしながら、やっとかと卓の肩をたたいた。
卓は、その後も瑠々を激愛し続けた。学校の帰りは必ず迎えに来て、休日はデートをし、とても仲のいいカップルになった。
~END~