緋色の欠片
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昼下がり、図書館の真ん中で少女はゆっくりと本に目を通す。その時、ドアがゆっくり開くと、少年が入ってきたとおもったら、少女は本に目を通すのをやめ、少年に顔を向けず目だけを向ける
「(また来た……はぁ…カッコイイ……)」
「……」
少年は窓の外を見ながら少し微笑んだ。それを少女は見逃さなかった。はっとした少女は持っていた本と自分の目の前にある本の山を落としてしまった。
「あっ……」
「…」
「ごっごめんね孤邑くん!」
「いや…平気か?」
「大丈夫!やっちゃったな……傷ついてないかな…」
本を拾いながら傷がついてないか確かめていると、彼女の上に影が落ちるふと上を見あると、そこには祐一が立っていた。と思うと、しゃがみ込み瑠々が落とした本を一緒に拾ってくれる
「…ありがとう」
「構わない」
「……(はぁ…こんな近くにいるのにお礼しか言えない!それにしても……何を見て微笑んだんだろう……)あっ…」
「どうした?」
「ここ…少し傷ついてて…修復しなきゃ」
本が少し傷ついたのを見て瑠々はしょんぼりした顔をしながら眺める。自分が持っている本とまだ下にある本を見てみるともう一つ傷ついているものがあった。瑠々はため息をつきながら本をなでる。すると、図書室のドアが開き、誰かが入ってくる
「おーい祐一~居るか?」
「ちょっと真弘先輩!ここ図書室ですよ!もうちょっと静かにした方がいいですよ!」
「声だけはでかいからな先輩…」
真弘と二年生の拓磨、珠紀の三人だ。当やら祐一をさがしに来た様子。その時、瑠々はふと祐一を見てみると、ふわっと笑っているのを見て、ドキッとした。
「お?何してんだ?そんなとこで」
「本を落とした」
「え!?大丈夫ですか?!」
「ああ…だが二つだけ―――――……」
珠紀の質問に、答えようとしたときだった。瑠々がハッとして慌てて本を持ち立ち上がる
「あっ大丈夫!ありがとう!えっと私用事あるから!」
「おい!」
瑠々は祐一の呼び止める声も聴かず、本を持ち図書室を出た。先生に本の修復をすることを言い空き教室に入る
「よし…まず、色は……あの子見て笑ってたのかな…可愛かったし…優しそうな子だった…」
頭じゃ整理が付かず口に出ている。しかし手はしっかりと本を修復していく
「よし一個はよし!もう一個……ここ破けてる…一番修復むずいやつきた…お父さんにやり方聞かなきゃ…」
すると、学校の電話を借りに行った。
「もしもし?お母さん?お父さんいる?うん…ーーーーー…あッもしもし?あのさ、本の表紙が少し破けちゃっててこれってどう直せばい?―――ううん!表紙の――――そうそう!うん……うん……わかった!ありがとう!ん?…………大丈夫!ダメそうならまた連絡する!はーい」
電話を切り、また空き教室に歩き出すと、窓の外で祐一と真弘、珠紀と拓磨四人で歩いて帰る姿があった。一つため息をつくと、走って教室に向かう。席に着くと、息を整え父から教わった通り修復を始める。かなり時間はかかりそうだ。
「………」
集中している瑠々は周りの音も景色もすげて手元に集中する。しばらくたち、ようやく終わりを迎えた。
「ふう…よかった…きれいに戻った…え?やだ!真っ暗!何時!9時!先生なんで呼んでくれない…の………」
ちょっとパニックになるが、ふと自分の手元を見ると、紙が置いてあり、そこには、先生から『何度声をかけても聞こえてないようだから、とりあえず、気づいたら早く帰れよ。本は俺の机に置いておけ。机の上に懐中電灯置いとくからそれもってけよ!ご両親には連絡しておいた。職員の出口を開けておくから、そこから帰りなさい』
「あぁ…ありがとうございます先生…とりあえず、帰ろう」
本を先生の机の上に置くと、職員の出入り口から外に出る。学校内は防犯の為、明かりがついているが、学校から一歩外に出ると該当すらない。先生が置いて行ってくれた懐中電灯をつけ、家に向かう。
「長年住んでるけど…こんな暗い道を歩いて帰るのコワっ」
家まで歩いていると、森の中がかさかさ音が聞こえる。瑠々はびくっと肩を震わせ、おそるおそる音のする方へライトを当てる
「…‥‥」
「ここで何をしている」
「孤邑く…ん」
「祐一先輩!どうしまし…た…えっと…」
「!…あっ。私、本の修復してて…ごめんね!すぐ帰ら……なきゃ」
「あっ!」
瑠々は流れそうな涙を抑え込み、懐中電灯をその場に落としそのまま家の方へ走っていった。夜に二人きりで森の中にいる二人、瑠々の中で勘違いであってほしかったことが、現実かもしれない事実にあふれ出す涙を拭きながら一生懸命に走る。しかし、明かりもない森の中を走ってしまった瑠々は、自分がどこにいるかわからなくなってしまった
「はぁ…はぁ…っ………どこ…やっちゃったな………」
その場にしゃがみ込み、迷った事にも落ち込みが隠せない
「なにやってるんだろ…見てるだけでよかったのに…‥‥彼女がいて当たり前じゃない‥‥はぁ……しかも迷ったうえに圏外だし…まぁほとんど圏外だけど……まずここがどこなのか……」
むやみに動くわけにもいかず、一応周りを見渡す。何か一つでも場所の手がかりをさがすため。しかしここには何もなさそうだ。瑠々はため息を一つつくと、上を見上げた
「今日に限って月は出てないし星も見えない……どうしろって言うのよ…」
もう何もかもがめちゃくちゃで、このままでいいかと思ったその時、どこからともなく声が聞こえる
「今日は異変なさそうだし帰ろうぜ」
「こんな時間だし帰るか」
この声に聞き覚えがあった。一人は間違いなく真弘だ。瑠々は声のする方に走る
「鴉取くん!」
「!?誰だ!」
「中峰だよ!」
「中峰?お前!こんなところで何してんだ!」
「本の修復してて、帰り遅くなっちゃって…ぅ…そして…ひっく……まよっちゃった…‥ふぇ……」
「っ…」
知り合いに合えたことで安心した瑠々は涙を流しながら、話す。真弘は、その姿に、ドキッとする。瑠々に近づき、手を取る
「安心しろ…家まで送ってやる」
「ありがとう…鴉取くん……」
「へぇ…先輩も隅に置けないっすね」
「うるせぇよ!ほら、手がやだったら、服でもつかんでろ」
「……手でいい…はぐれたら怖い…」
「おっおう///」
真弘に手を引かれながら、森の出口に着く、瑠々は見知った道に出てほっと胸をなでおろす。しばらく歩くと、また声がする
「拓磨!真弘先輩!」
「珠紀達か…お前らのところも何もなかったようだな」
「はい!あれ…」
「っ!?」
「おい、聞けよ珠紀。真弘先輩、この先輩にめちゃくちゃ優しいんだぜ」
「え?!そうなんですか!」
「うっうっせぇな!なんだよ!迷子だったんだから仕方ないだろ!放置する方が鬼だろ!」
「またまたぁ!手なんてずっと離さないじゃねぇか」
くくっと拓篤が笑うと、真弘は真っ赤な顔をするが、手はどうやら離さないようだ
「あっあのっここからなら一人でも「ダメだ!送ってく」
「ひゅー!」
「やりますね!先輩!」
「お前らマジうるさい!」
拓篤と珠紀に冷やかされ、どうしようもない真弘。その時、瑠々の手を真弘が握っている反対側から引っ張られる
「わっ」
「おっと…ん?何やってんだ祐一…」
「手を…離せ」
「なっ!お前が離せよ!」
「え?なに?何事!?」
何故か祐一と真弘が瑠々の両手をつないでいる。二人は何かを張りやっているし、その中瑠々は何が何だかわかっていない
「なんで祐一が出しゃばってくるんだよ!」
「お前もいつまで手を握ってる」
「おい…あの二人何やってるんだ?」
「あれは…先輩を取り合ってるんだね」
「……オレ腹減った」
「私も」
二人のやり取りに、拓磨も珠紀もそんなことよりお腹がすいてきたみたいだ。
「俺は中峰が好きだ!」
「え!」
「いや…////正確にはさっきだけど…」
「…なぜ?」
「可愛いって…思ったんだ…」
「え…」
急な告白に少し戸惑いが隠せない瑠々に、祐一が口を開く
「俺もだ」
「へっ!」
「なにぃ!」
「どこで!」
瑠々は無我夢中で祐一の服を引っ張る
「中峰っ!」
「いつから!」
「……図書室で……前にもお前が本を一冊落としたことがあっただろ」
「え!それって二年の時じゃん!」
「っ!中峰への気持ちが長いからって!俺に勝った気でいんのか!」
「そういう…こともあるかもしれない」
「なにぃ!許さん!」
「ちょっと!私抜きに話さないで!」
二人の間に挟まってる瑠々は、声をあげる。その声に二人は黙った
「まず整理させて…えっと、二人は私を好いてくれている…でいいの?本当にいいの?」
「ああ!もちろんだ!」
「ああ…」
「っ…ふぅ…えっと………ありがとう…すごくその気持ちがうれしい…鴉取くん」
「おっおう!」
「ごめんなさい。私…ずっと好きな人がいるの。鴉取君が、私を好きって言ってくれてすごくうれしかった。ありがとう」
「っ…あぁ……」
瑠々は真弘に深々と頭を下げた。真弘も、その態度に本気で好きな相手がいるのだと確信して、悔しかったが笑顔で返事をする。そして、今度は祐一の方に振り向く
「えっと…はぁ……私も、孤邑くんが…好き!実は……私もあの時、ひとめぼれしたのっ」
「……中峰」
「なっ……なにっ」
「顔をあげろ」
「はいっ」
カチコチの瑠々をそのあとそっと自分の方へ引き寄せ、抱きしめる。その光景を誰もが目にしていた
「おまっ今振られた俺の前でそんなことするか!?」
「まぁまぁ…先輩は振られたんすから」
「そうそう!下がった下がった!」
「おい!お前ら放せっ」
引きずられながら三人は帰っていった。祐一はぎゅっと瑠々を抱きしめたまま、離さない
「あのっ///////そろそろ////」
「嫌だ」
「えっ//////」
「好きだ」
「っ/////私も好き」
その言葉に、二人はそっとキスを交わした。その後、祐一は瑠々を家まで送り届けた。そして、二人ははれてつきあう事となった。これから、二人の時間をゆっくりと過ごしていく。
~おまけ~
「祐一」
「?」
「聞きたいことがあったんだけど、なんで二回目の本を落とした時に、窓の外を見て微笑んでたの?」
「あぁ…お前が窓に映ってた…」
「っ/////////もぅ…好きっ//////」
~END~