紅色の空
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バレンタイン・デイ それは世紀の乙女の祭典
屈指の富豪の桜蘭令嬢も やはり乙女
意中の殿方への贈り物はと 話題に花を咲かせます
しかし、ここにもう1人 誰よりその日を待ち望む人物がおりました
「ハニーくん今年はどんなチョコレートを御所望かしら?」
「ムース?ボンボン?リボンは何色がお好み?」
「んとねー どれでも幸せチョコもみんなも大好きだもんっね――――っ」
『きゃ~~~』
埴之塚 光邦(17)桜蘭学院高等部3-A&ホスト部在籍 好きなものは、ケーキにチョコにうさぎさん&お花畑
3年生にあるまじきラブリーさで、無敵を誇り、前世は、うさぎか蜂蜜かという桜蘭きってのシュガー☆ボーイ(死語)なのでありました
「すさまじくご機嫌ですね、ハニー先輩チョコなんて四六時中際限なく食べているのに今更…」
「違うのよハルヒ、バレンタインに貰うチョコは、いつも食べているものとは違うんですって」
「そう!日本の製菓メーカーの策略なのは、百も承知!!それでも、便乗したいかわいらしい乙女心!!ハルヒには聞こえないか?多くの不安とほんの少しの期待をチョコに詰める、いじらしい乙女達の心の声が!!ほお~ら、耳をすませば…」
素晴らしき日本文化に浸っている環に、ハルヒは顔色一つ変えずに言葉を返す
「ああ!!知ってます。そういうの電波系っていうんですよね!!瑠々先輩」
「え?あーそうとも言えるかもね」
「ちなみに俺は、どんなチョコでも大好き!!手作りならなお嬉しい!!」
「へー」
「そうなの」
あまりに反応が薄い二人に、環はもう一度行ってみるが、玉砕。
「え…えっとあの…瑠々から愛のこもったチョコと、ハルちゃんから。おとーさんにチョコはないのかなー…なんちゃって…」
「…あ。そうか、用意しなきゃ」
「そうね!私も用意しなきゃいけなかったわ!」
二人の言葉に環はドキッと期待を高めたが、次の瞬間落石のように崩れ去っていく
「実の父にひとつ」
「お父様に」
落ち込んでいる環に、光と馨と鏡夜が追い打ちをかける
「アホだねー殿も…瑠々がたった一人の為に持ってくるわけもないし、ハルヒがバレンタインって柄かよ」
「殿のがよっぽど乙女だよな」
「瑠々から愛のこもったチョコをもらうなんて考えるからだ。まぁ、その図々しさは買うがな」
追い打ちトリオは、そう言い放った。瑠々はハニーに近づき、話しかける
「ハニー先輩?今回ケーキ召し上がりすぎでは?虫歯になってしまいますよ?」
「だいじょーぶ!!ちゃんと歯磨きしてるもん…」
ハニーがそう言いかけた時、瑠々は何やら嫌な予感が走った。
「…ハニー先輩…?まさか」
「…なんれもない…」
「もしかしなくてもこれは…ハニー先輩、口開けてください!」
「なんでもないなんでもないーーーイヤーーッ」
何かを隠すように口を押え、口内を見せようとしない双子も、ハルヒもみんな騒ぎ始めた。その時、ドアが開き、モリが入ってくる。それに気づいた瑠々がが声を上げる
「モリ先輩!ハニー先輩がっ!」
「なんでもない――っ」
口を抑え、何でもないと言い張るハニーの姿に、モリは目を見開き近づくと、腕をつかみ、あごに手を添えると壁にハニーを押し付けた。その姿に、一部の女子たちが顔を赤らめながら、叫び声をあげる。
そんなこと気にもせず、モリはハニーの口を開け調べる。結果⇒虫歯
「…環………」
「ああ…はい。わかりました」
「?」
モリと、環のやり取りのわけがわからず、頭の上にはてなマークを浮かべるハニー。二人のやり取りの意味が分かるのはその数秒後だった
「えー…ハニー先輩は虫歯が治るまで、甘いもの禁止!!なお、部全体でも協力体制として、今年のバレンタインは全面的に自粛とする!!」
「やっ やっやだ!!崇!!僕のケーキ!!僕、痛くない!!痛くないからっ!!」
「禁止だ」
ハニーの言葉もむなしく、モリの決意は固いようだ。
かくして無情にも、ハニー先輩の地獄の日々は、はじまったのでありました
2/11 ※お菓子断ち1日目
ハニーは、白い布で痛いほほを冷やしながら登校。ぷくっと頬が膨れている
「まあ…ハニーくんお労しい…」
「ホスト部はバレンタイン自粛ですって」
「さぞかしショックでしょうね。ハニーくん… でも…不謹慎ですけれど、あのお姿はまるで…」
『(うさぎさん…ラブリー)』
そんなことを思っている女子がいるとは知らず、モリがハニーに声をかける
「光邦、鞄…」
「自分で持てる」
「そうじゃない、見せてみろ」
そういわれ、渋々鞄を渡すと、モリは遠慮なしに鞄を開けひっくり返す。すると、中から大量のお菓子が流れ出てくる。ハニーは、少し焦り交じりで言う
「み…見るだけだもん 食べないもん」
「そうか 見るだけなら、これをやろう」
そういうと、ハルヒからもらった広告のチラシを手渡した。モリはそれに言葉を付け加える「本物は預かる」というと、ハニーはチラシを見ながら涙がにじむ。そんなハニーに追い打ちがかかる
「残念ですわ…ハニーくんの為に、沢山チョコを用意してましたのに…」
「あっよかったら、僕が!!甘いもの好きだし!!義理でもオッケー」
「そう?それなら…」
「(ふえ~~~~~~ん!!!!!)」
「「あーあ。こりゃキッツイわ かわいそーに」」
「やはり、こうなってしまうのね…」
心配になって見に来た1年ズと、瑠々は、ハニーの姿を見て、心配が的中したことにため息をつく。馨は、ため息をつきながら言う
「しかしモリ先輩があそこまで押しが強かったとはね。ハニー先輩の困ることなんて、しない主義だと思ってたけど」
そんな二人に、ハルヒが問いかける
「光ると馨もバレンタイン無くなると困るんじゃないの?」
「じょーだん。ハニー先輩差しおいてチョコもらう方が、命知らずだろ」
「そうね…ハニー先輩かなり落ち込んでらしたものね…そんな中一個でも貰おうものなら……怖いわねふふっ」
その瑠々の言葉に双子は、そうそうとうなずく
「「そそ!つーか元々面倒じゃん?お返しとかさ――毎年チョコ持ち帰んのに車、余分に呼ばなきゃなんないしネ―――」」
モテ男の理屈を並べると、瑠々が少し寂しそうな顔をしながら言う
「そうなの?そっか…面倒よね…」
「瑠々先輩?」
「あっううん!何でもない!でも、たぶんすごくがっかりしてるとしたら…環と……」
「?」
そして、部室にて、接客中のメンバー
「環様、残念ですわ…ぜひうちのパティシエ特製のチョコを召しあがって頂きたかったのに…自粛だなんて…」
「悲しまないで姫…きっとこれでよかったんだ…どんな高級なチョコも、僕らの愛の熱さのまえには溶けて消えてしまっていただろう…元より、僕らの間に形ある約束などいらないのだから…!!」
「環様…!!」
「「とりあえずこっちは心配ゾン…と」」
心配していた双子は、環のふるまいを見て、ため息をつく。そして、姫がいる席から立ち上がり、双子のいる方へ歩いてくる。ハイタッチを交わしながら双子は言う
「「さっすが殿。ナイス小芝居」」
「ふん。ぬかせ!!いかなる時も優先すべきはお客様の笑顔だろーが!!誰が小芝居か」
「「切り替えはやー」」
環はキラキラしながら話を続ける
「そもそも女性に、ものを遅らせるなど紳士失格!!俺も、フランス貴族の名に恥じぬよう、なんだらかんたら」
「「うわー、気持ちいいほど支署と言ってる事違うね!!マネできないや!!」」
「案外、瑠々にチョコも貰えない事を正当化したいだけだったりしてな ははは」
鏡夜の言葉に、環は膝を抱え床に座り込んでしまった。それを見て、光は憐みの目線を送る
「(うわあ…図星かよ)」
「ハルヒはどうした?」
「ハルヒなら、図書室によるそうよ」
「そうか。まあ、とにかく。お前たちも気を抜くなよ?『どんな手を使っても、ハニー先輩に菓子類をあたえないように』ちなみにこれは、モリ先輩の指示だけどね?」
そういい放つと、瑠々の頭を一なでして、楽しそうにその場から離れる
「ずいぶん楽しそうね…」
「ハニー先輩の菓子代浮いて、喜んでんだよ」
「ふふっ絶対そうね」
2/12 お菓子断ち 2日目
ハニーおねだり作戦 その1
「かわいくアピール」
「たーかしっ僕、虫歯治ったみたい!!」
「…そうか」
「腫れも引いたし!!ねっ」
「…そうか」
「だからね~~いっこだけ~~おねがい~~」
「…光邦」
名前を呼ぶと、どこから出したかわからないアイスを、ハニーの開いてる口に突っ込む。ハニーは瞬発的に、ガリッとアイスを噛む。すると、虫歯の歯に響き、言葉にならない声を上げる。すると、モリは、アイスを片手にスタスタ歩き出しながら、ハニーに言葉を発する
「完治には遠そうだな」
「…あらあら、これは大変ね……」
泣き顔のまま、お客様の方をちらっと振り向く。
その2
「遠まわし戦法」
「何飲んでるの?」
「ダ…ダージリンですわハニーくん」
「ふぅん…何食べてるの?」
「サ…サンドイッチを少々…」
「ふぅん…僕はねぇ~~お茶には甘~~いお菓子が合うと思うなっね~~」
「え…ええ…そうですわね…」
「ホントに…」
ニコニコしながら言うハニーに、お客様たちは耐えられなくなってきた。涙をこぼしながらその場から走り去る
「「わあ~ん!!ごめんなさいッ失礼します~~~~!!」」
「!!」
ハニーは、お客様たちの後ろ姿を泣きながら見送るしかなかった。そして、いつの間にか部室についていて、ハニーの近くを通りかかったハルヒにの服をつかみながら言う
「………ハルちゃん…僕って悪い子…?」
「ハニー先輩…」
「僕…」
その3
「泣きおとし」
「神様に嫌われるような事したかなあ…?」
「…」
そんなハニーの姿に、ハルヒは、心打たれたのであろう、ポケットをあさりながら言う
「…少しだけですよ?」
「「あッバカ!!ハルヒ!!」」
「ハルヒは優しい子」
「ハイ。チョコに少し似てるでしょう?(色が)」
ハルヒがハニーに差し出したのは、酢こんぶだった
ハニー人選ミス
2/13 お菓子断ち 3日目
イライラがたまり始めたハニーは、少々、ブラックハニー化していらっしゃるご様子
「…誰か話しかけろよ…コワイよ」
「素でダークモードが拝めるとは思わなかったネ…れんげ姫呼んでくる?」
「…おかわいそうだけれど、虫歯が治るまでですよ…先輩…」
「「あっお菓子の棚に!!」」
「問題ないよ、私が鏡夜に頼まれて、棚の中のお菓子は片づけたから」
カラの棚の中には、くまちゃんが入っていたそれをハニーはつかみ上げると、思いっきり床に叩きつけた
「ああッ俺のくまちゃんが!!!」
「「とのガマン!!」」
「あら」
瑠々の上げた声に、皆が瑠々が見ている目線の先には、息絶え倒れこむハニーの姿
「あっ息絶えた!!」
「3日でギブか…意外ともったな」
「鬼のようね鏡夜……」
息絶えたハニーにおそるおそる近寄る環
「ハ…ハニー先輩…?」
「あっ!」
また、瑠々声を上げた。環の腕を、ガブウっと噛みつくハニーの姿。キャーキャーと叫び泣きじゃくる環。そんな二人にモリは立ち上がり話しかける
「…光邦。人や物にあたるな。見苦しい」
「崇の…ばかあっ」
ハニーはそう叫びながら、モリを背負い投げする。その行動に、誰もが息をのんだ
「ちょっとくらいいーじゃん!!けちんぼ!!石頭!!ハゲ!!」
「ハ…ハゲってあんた…」
「崇なんか…っ崇なんか大っキライ!!」
そういい放つと、ハニーはその場から泣きながら走り去っていく。そのあとを、環が追いかける。背負い投げされたモリに、瑠々が話しかける
「モリ先輩…大丈夫ですか?」
「……」
モリは無言で立ち上がると、ふらふらしながら歩き出し、椅子や机にぶつかり、この場に座り込んだ。どうやら、ハニーが言った大キライが脳裏を埋め尽くしているようだ。
「モリ先輩、大ダメージじゃん。けど仕方ないっつーか…自爆っつーか」
「んなヘコむんなら、最初からあんな嫌われるよーな行動ばっかとらなきゃいーのに いくらハニー先輩のためとはいえ」
「…そうね…でも、モリ先輩はわざとハニー先輩に嫌われようとしてたんですよね?」
「瑠々、それはないでしょ。ハニー先輩に嫌われるなんて、モリ先輩にとっちゃ、この世の終わりみたいなもんなのに」
馨に言われ、瑠々は笑顔で答える
「それは、きっとハニー先輩の虫歯は、自分のせいだとお思いでは?」
「俺のせいだ。光邦の虫歯は、俺の不注意だ。」
「モリ先輩…」
「…昼寝の前に、歯磨きさせるのを二度ほど忘れた…この前…」
「えッ!?そんなの、モリ先輩の責任じゃ…ないんじゃ…」
「……」
みんなの言葉が耳に入ってないのか落ち込みが激しく寝る
「総入れ歯になったりしたら…」
「意外にネガティブだなオイ」
「光邦に投げ飛ばされるくらいじゃないと、俺の気が済まない」
そんなモリに、ハルヒが話しかける
「…あの女の子の申し出を断ったのも?」
「女の子の申し出を断った?……モリ先輩…自分自身に罰を与えるためにですか…」
「…」
虫歯になった次の日、瑠々が言った言葉を思い出す。
「でも、たぶんすごくがっかりしてるとしたら…環と……モリ先輩のファンの子かしらね…」
「モリ先輩の?」
ハルヒの問いかけに、馨が答える
「そうそう、モリ先輩ファンは、内気な子が多いからネ。しかも相当本気になっちゃうケースがおおくてさ—――いつもなら、チョコを受け取ってせめてもの気持ちを汲んでやるのが、モリ先輩流の断り方ってわけ」
「モリ先輩は、とてもお優しいから…女の子のそんな気持ちを無下にはなさらない」
「今回は、あえて女の子に冷たくお断りをすることで、女の子が傷つき、もっと自分を傷つけようとした。ハニー先輩のお菓子断ちも、バレンタイン中止も。全部、モリ先輩が自分に与えた罰なのね」
「つーか、それってハニー先輩と女の子はとんだとばっちりなんじゃ…一瞬いい話っぽいけど、虫歯ひとつでそんな…もうちょっと、やり方ってもんが」
「不器用この上ないっていうか…ハタ迷惑っていうか」
そんな会話をしている瑠々たちの後ろのドアから、くすっと笑い声が聞こえたかと思うと、ハニーが泣きながら飛び出してきた
「わああん!!!!ごめんね崇~~~!!!僕もう、歯みがき忘れないよォ~~!!」
「??」
「「ひょっとして、殿も気づいてたワケ?」」
「ハイハイ では、皆の衆。至急、明日のバレンタインの準備を!!」
「ふふっ」
パンパンと手をたたきながら環は言う。でも、その言葉に、双子が何言ってんの?と環のことを見る
「「今からじゃ誰もチョコなんて…」」
「言わなかったか?俺はフランス紳士だぞ?ふふん!!とすれば、無論!!これが今年のホスト部竜バレンタイン…!!」
お客様には 愛を
お返しには 飛び切りの笑顔を
そして
その思いには 答えられなくても
せめて 一輪の 薔薇の花を
~~~後日~~~
虫歯の治ったハニーの周りには、沢山のチョコの山がありました
「どうぞ、自分もお祝いに作ってきました。チョコです。あっ瑠々先輩にもです!」
「ありがとうハルヒ!私からもハルヒにどーぞ!ハニー先輩、治ってよかったですね!私からも、手作りチョコです!」
「わぁ!ありがとう」
「ええ!?なんでなんで?おれのは!?」
こうして、虫歯とバレンタイン騒動は過ぎていきましたとさ
~ To be continued. ~