偽りの夜明け
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「クロウズが私達を救出してくれたけど、貴女だけは戻らなかった……私は絶望したのよ?私があんなところで捕まらなければ……貴女を死なせなかったのにって」
「私……わ、たし……」
「ルシアが私を追いかけてくれるのはとても嬉しい。だけど……もう二度とあんなの見たくない」
「お姉ちゃん……」
「貴女はもう十分頑張ってる。だから、自分を責める事はしないで?そんなの誰も望んでいないわ」
##NAME3##の胸の中でルシアはひたすら泣いていた。
これは##NAME3##にとっても辛い記憶なのだろう、彼女の瞳からも涙が溢れ出す。
「……エイト、もうすぐ記憶の一部を持ってルシアが目を醒ますわ。後は……お願いね……私はこの子の傍にいられないから……」
泣きじゃくるルシアを宥めながら悲しそうに笑う##NAME3##を最後に、視界が真っ白になった。
「……あれ……」
エイトが目を醒ますと、隣で眠っていた筈のルシアの姿が見当たらない。
室内を探してみると、彼女は窓辺で外を眺めていた。
「ルシア……」
「おはようエイト!……見て、朝日がとっても綺麗……」
「……そうだね」
ルシアの隣に立って、一緒に日の光を浴びる。
暫しの沈黙の後、ルシアがゆっくりと此方を振り返る。
「ずっと、傍に居てくれたのね……ありがとう……とても嬉しかった」
「ルシア、記憶が戻ったの……?」
「少しだけど思い出せたみたい。お姉ちゃんの事や、自分の故郷の事。それからエイト達の事も。でも……夢で見た以上の事はまだ分からないの……」
「そっか……」
ルシアは少し俯いた後、意を決したように顔を上げる。
真摯な瞳でエイトを見上げてきた。
「お願い。大変かもしれないけど……私に力を貸して!私、独りじゃ何も出来ないから……」
「断ると思う?……最初からずっとそのつもりだし、今更お願いされてもね?」
「エイト……ありがとう」
嬉しそうににっこり笑うルシアに釣られるように、エイトも笑みを浮かべる。
彼女のここまでの笑顔をみるのは久しぶりで、少しだけ肩の荷が下りた気がした。
「……さて!休暇申請してくるね」
「え?……大丈夫なの?近衛隊長なんでしょう?」
「暫くこれといって大きな任務は無かった筈だし、平気だよ」
「本当に?私の事は仕事の合間でいいよ?」
折角彼が努力をして手に入れた地位なのに、それを自分のせいで台無しにしたくないとルシアは訴える。
エイトは困った様に頭を掻いたあと、ルシアを抱き寄せた。
「ルシアの事の方が大切だから。君をそこまで追いやったのは何なのか早く突き留めて、その根源をボッコボコにしないといけないでしょう?」
「ボッコボコって……」
エイトの背中に腕を回し、少しだけ力を込める。
彼の心音が身体を通して伝わってきて、とても心地よかった。
「じゃあ、行ってくるね」
「はい、ちゃんと待ってます」
部屋を出て行くエイトを見送り、ルシアはお城の人から借りていたワンピースを脱ぎ捨てる。
チェストの奥にしまわれていた自分の服に袖を通し、鏡の前へ向かう。
「やっぱり、こっちの方が良い……かも」
見慣れた自分の姿を確認すると、漸く深い霧を抜けた様な、少しだけ晴れやかな気持ちになれた。
程なくして長期休暇を勝ち取ったらしいエイトが部屋に戻ってきた。
「これで暫くは自由の身だし、ルシアに専念できるよ」
「ありがとうエイト!……宜しくお願いします」
エイトに一礼すると、二人揃って部屋を後にする。
そのまま城を出て、久しぶりに大地へ足を踏み入れた。
柔らかな風が新たな旅の始まりを告げた。
fin.
あとがき↓
実はずーーーーっと書いてみたかった話なのですが、4.5ショック事件(?)があって漸く形にできるかも!と思い立ち、書き出してみました。
スッキリ収まっている様ですが、これはあくまで始まりです。
地獄の始まりです!(特に8主にとっては)
愛を育んでいく為の一歩ですね!(多分)
お読み頂きありがとうございました!
この続きも上げていきますので
そちらもお付き合い頂けると嬉しいです~!