暗い檻の中で
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ごめんね、心配かけて……」
木陰で休んでいたルシアにエイトが声を掛けると、彼女ははにかむように笑ったあと視線を落とした。
ここ最近ルシアはずっと体調を崩しがちだった。
回復呪文をかけてみたり、アイテムを使ってみたりもしたがどれも望みの効力は発揮してくれなかった。
「本当に大丈夫?……無理しないでね」
「迷惑かけちゃって……ごめんね」
「もう!謝ってないでちゃんと安静にしてるのよ?」
二人のやり取りを見ていたゼシカも強い口調だけれど、ルシアを心配している様でその言葉とは裏腹に表情はとても不安そうだった。
(私は一体何をやってるの……)
しっかりと休まないといけないという思いと、仲間を心配させてはいけないという想いが交差してルシアの体調はますます悪化していくばかりだった。
そんな状態が続いたある日、とうとうルシアは目を覚まさなくなった。
意識がない、というだけで呼吸はしっかりとしている。
この事態に焦ったエイト達は急いで近くの町にルーラで飛び、彼女を宿へと運び込んだ。
教会から神父を呼んでみたり、医者にかかってみたりしてみたが原因は至って不明のままだ。
「なぁ、エイト……最悪このままルシアを置いていかないといけなくなる……」
「……分かってる」
エイト達はまだまだ旅の途中。
これ以上の犠牲を出さない為にものんびりと足を止めている時間はない。
ククールに決断を迫られたエイトはただただ眠っているルシアを眺めていた。
ククールと今日一日で答えを出すと約束した。
ヤンガスとゼシカにルシアの事を任せてエイトは一人、願いの丘へと向かう。
もう神にでもなんでも縋りたい気持ちだった。
頭の中で今までの旅路を振り返りながら、エイトは時が来るのをただじっと待っていた。
(どうか……開いて……)
月影の窓は謂わば奇跡のようなもので、必ずそこに在るとは限らない。
これは賭けだ。
もしもこの賭けに負けてしまったその時には……。
考えたくない、そんな事。
どんな困難もみんなで乗り越えて来たんだ。
だから、今度もきっと……。
段々と日が傾いて行き、夜になった。
けれど、待てども待てども窓は出現しなかった。
「そんな……嘘だろ……」
もうどうする事もできないのか?
彼女が目を醒まさなかったら、彼女の使命はどうなる……?
日頃からルシアが焦りや不安を感じている事は分かっていた。
いつも明るく振舞っていたけれど、本当は故郷の事をずっと心配していて……。
「どうして……なんでこんな事にっ……」
地面に拳を叩きつけて、きつく目を閉じる。
このまま彼女を置いて旅を続けて、ミーティア姫とトロデ王を救えたとしても
そこにルシアがいないなんて……。
1/6ページ