コネクト~真実と疑惑~
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「じゃあ、私は……」
心を操られた私はエイト達を手にかけて、この世界を崩壊へ誘おうとしていた……?
もしもあのまま時が流れていたのなら、今頃は……。
考えただけで恐ろしくなる。
大切な仲間だけじゃなくて、世界まで……。
と、先程まで白い部屋の中にいた筈なのに、いつの間にか私はドルマゲスと戦ったあの場所にいた。
足元にはエイトやゼシカ、ヤンガス、ククールの亡骸が無造作に倒れていた。
真っ赤な鮮血に染まった私の指先からは、赤い雫が滴り落ちている。
「や、やめて……私は、こんなの望んでいないっ……」
恐怖で身体が震える。
「あの杖を持ったから、こんな結果になってしまっただけで……私の意志じゃないの……!」
「貴女の力は知らなかった、気付かなかった、で済ませられる程弱くない。その力は使い方次第でいつでもこの状況を引き起こせる」
「じゃあ……私は、どうすれば……。この世界が私を怖れているのなら、元の世界に還してくれればそれで済む……」
元々異世界への転移なんて望んでいなかった。
敵陣へ乗り込む隙を待っているという大切な時に、他所の世界へ行きたいだなんて誰が望むものか……。
「ドルマゲスがあの杖を手にしてトロデーンに呪いをかけた時に、巨大な魔力が発生した。その時、僅かにだけど世界と世界の境界を歪めてしまったのね。そして……貴女もまた、異空間への扉を開いてしまった」
「異空間って……魔法の鍵の事?確かに使ったけど……でも、どうして……」
魔法の鍵なんて幾度も使っている。
……そう言えば、異界の人が来て世界を助ける手助けをしてくれ、みたいな依頼が時々あった気がする。
その世界に適応した能力値が割り振られて、その中で敵を倒す、という事は何度かやったけれど。
これはもしかして、その延長?
それにしては長いし時間が経ちすぎている。
最も、アストルティアで今どれくらいの時間が経過したのかは分からないけれど。
いざとなったら時渡りの力をどうにかこうにか使ってあの待ち合わせの日に戻れば……なんて考えてみるけれど、そんな事私に出来るのかな……。
「……貴女はそうやって、いつも自分の事しか考えていない」
「え……?」
相手の声色が少し低くなった。
「この惨劇の中で、よく自分の世界の事を考えられたものだわ。さっきまであんなに怯えていたのにね」
「私は……彼等の事も勿論大切だけど、それよりもやらなくてはいけない事があるの。こんな所で足踏みしているわけにはいかなくて……」
「そうね。貴女にこの世界の事情なんて何も関係ない。だから彼らがどうなろうと……どうでもいいのよね?」
「そんな、事は……」
否定しかけて初めて気付く。
この人の言う通り、私はエイト達の世界の事をどこか他人事のように思っていたのかもしれない。
「姉を取り戻すという事が貴女の全て。けれど、大切な人がいないこの世界でその意志は通らない。だから少しの事で惑わされて、自分を見失う。今回言の葉を失くしたのもそのせい。貴女が弱かったから、ただそれだけ」
「……お姉ちゃんがいない世界なんて……意味が、ない……?」
「そう、それこそが貴女の本音であり、行動理念。貴女のその盲目的な意思を世界は怖れたの。それで今回の事が起きた」
「私は……。」
話をしているうちに、なんだか頭がぼんやりとしてきている事に気付いた。
自己を否定的に見れば見る程、自分が少しずつ失われていくような感覚。
ハワードさんの言っていた呑まれたら最後って、この事なの……?
足元が覚束なくなってきて、私はその場に座り込む。
これじゃダメ。
そう思っても身体に力が入らない。
「……そろそろ時間のようね」
空間が歪に歪んだかと思いきや、元居た白い部屋に戻される。
と、首元に冷たいものが当たった。
目だけを動かして上を見てみると、あの人が私に刃を向けていた。
「貴女はここで終わるの。自ら最後の瞬間に飛び込んでしまうなんて、ね。」
「そ、んな……」
「でも安心して?これからは私がルシアとして生きてあげるから」
パサリ、と音を立ててローブが床に落ちる。
目の前の人物は私と瓜二つだった。
鋭い眼差しが私を捉えている。
このままでは殺される、そう思った。
「……さようなら、憐れなお人形さん」
お人形さん……?
聞き捨てられない言葉に指先が微かに動く。
確かに今まで散々都合の良いように動かされてきたよ?
あれが必要とか、これをしてほしい、とか。
腑に落ちない事とか、嫌な思いをする事だって沢山あった。
だけど……
それ以上に、私が得たものは大きかった。
そしてそれら全ては、今この瞬間へと繋がっている。
ずっと追い求めて来たものまであと一歩。