コネクト~真実と疑惑~
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それからどれ程の時間が経ったのか、私がまた目を覚ました時にはもう日が昇っていた。
少しだけ眠気の残る瞳を擦りながら身じろいでいる私に気が付いたエイトが、ふわりと柔らかな笑みを向ける。
「あ、起きた?……おはよう」
「……おはよう。ゼシカは?」
「……まだ」
「そう……」
ゼシカの傍らではトロデ王がベッドの端に突っ伏して眠っていた。
……やっぱり、無理してたのね。
エイトが起きたから交代したのかもしれないけれど。
部屋の中を見渡してみると、ヤンガスとククールの姿が無かった。
買い出しにでも出掛けてるのだろうと自己解釈し、顔を洗いに行こうと洗面所へ向かう。
冷たい水を両の手で掬い取り、パシャパシャと顔に浴びせる。
大分スッキリしてきた所で備え付けのタオルで水気を拭き取り、髪を軽く整えて部屋に戻った。
「あ、ルシア!丁度いい時に!今呼びに行こうと思ってた」
「……ゼシカ!」
エイトの肩越しに、上体を起こしているゼシカの姿を捉えて思わず其方へ駆け寄る。
「ルシア……」
まだどこかぼんやりとしている様子でゼシカが私の顔を見返す。
そんなに長い間離れ離れになっていた訳じゃないのに、なんだか随分久しぶりに彼女の声を聴いた気がして
じわりと目頭が熱くなる。
「もう……何泣いてるのよ、ルシア」
「だって、だってっ……嬉しいから……本当に、良かったって……」
心底安心したからか何だかうまく言葉を紡げなくて、私が涙を拭っているとゼシカはどこか困った様に笑っていた。
「ちょっとエイト、ルシアが泣いてるわ。ボサっとしてないで慰めてあげなさいよ」
「ん……大丈夫、ごめんなさい……」
いつもの調子で話してくれるゼシカがどこか懐かしくて。
彼女の手を握って私は精一杯笑って見せると、ゼシカも私の手を握り返して笑み返してくれた。
「……ルシア、みんなも聴いて?私……あの杖を手にした時から自分の意志で話をすることが出来なかったから……」
「ゼシカ……これまであった事、憶えてるの?」
エイトが私の隣にやってきてゼシカにそう訊ねると、彼女は目を閉じて記憶を手繰り寄せている様だった。
「……ええ、憶えているわ……だけど、ひょっとしたらあれは夢だったのかと思って……」
ゼシカが話始めようとすると、ククールとヤンガスが食料品の入った紙袋を抱えて部屋へ入ってきた。
「お、目が覚めたのか?」
紙袋をテーブルに降ろしながらククールがゼシカに声を掛ける。
その表情からは安心が見て取れた。
ククールって、普段は何考えてるのかよく分からないから、ちょっと珍しいかも。
ゼシカは一瞬ククールへ視線を送ると少しだけ表情を綻ばせて、再び語り出す。
「私、禍々しい魔の力に身も心も支配されてた。……ドルマゲスと同じように……。」
禍々しい魔の力……私にも少しだけど身に覚えがある。
でも、時間が経つに連れてそれは私の中で段々と曖昧になっていく。
まさしく夢でも見ていたかのような感覚で。
支配されていた時の感覚を辿っていく様に、ゼシカは言葉を紡いでいく。
「私を支配した強大な魔の力の持ち主の名前は……暗黒神、ラプソーン……。」
「暗黒神……?」
「だけど、そのおかげで色んなことが分かったわ。聞いて!話したい事が沢山あるの!」
そこからゼシカが自分の身に起きた事を話してくれた。
暗黒神ラプソーンは世界に散った七賢者の末裔を殺して、封印を解く様にゼシカに命令した。
七賢者はかつて地上を荒らしたラプソーンの魂を封印した存在で、完全に滅する事が出来なかったラプソーンを杖に閉じ込めて自分たちの血で封じたらしい。
「暗黒神ラプソーンの呪いがその七賢者を狙っていて……マスター・ライラス、サーベルト兄さん、オディロ院長、それからベルガラックのオーナーも……今までに殺された人たちはみんな賢者の末裔だったのよ……」
「ふ~む……ややこしい話になってきたのう」
いつの間にか目を覚ましていたらしいトロデ王も話に加わってきた。
「つまり、わしとミーティアが人間に戻れなかったのもその暗黒神と関係があるという事か?」
「それは分からないけど……。でも、残る賢者はあと三人よ。私が狙ったチェルスと……他にもう二人。七賢者の血筋が全て絶たれると杖にかけられた封印が解けてラプソーンの魂があの杖から……」
言いかけて、ゼシカがはっとしたように顔を上げる。
「杖は!?私が持ってたあの杖はどこ!?あの杖は持った者が暗黒神に心を支配されてしまうの!このままだと、チェルスが危ないわ!」
そう言えばあの杖、どこに行ったんだろう?
ハワードさんの結界が発動して……次に目を開けた時にはゼシカが気を失って倒れていて。
その時にはもう杖は無くなっていたと思う。
とにかくこうしちゃいられないと、私達は杖を探しにお屋敷を目指した。
ゼシカが結界を受けた時に手放したのだとしたらそんなに遠くには飛んで行ってはいない筈。