コネクト~真実と疑惑~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『私の名前はリーザス……。はるか遠き昔にこの世界を生き、この像を生み出した者です』
「像が喋ったでげす……!?」
「大丈夫よ、像が喋るなんて時々ある事だから」
「心霊現象かよ……」
「みんな、静かに」
種族神の像だって語り掛けてくるんだもの、よくある事……だよね?
ヤンガスやククールの反応を見る限り、そんなでもないのかな。
多分、見るのが初めてだからびっくりしてるだけだと思うけれど。
エイトの牽制が入り、私を含めた三人が口を閉ざして像に向き直る。
すると、像の中から金色の髪を腰まで伸ばした美しい女性が姿を見せた。
この像と同じ姿をしているから、この人がリーザスさん?
身体は透けているからきっとこの像に残った魂とか、そんな所かな。
『あなた達にお教えしましょう。長き歴史の狭間に忘れられた賢者の血の話を……』
そう言って、リーザスさんはクランバートル家と賢者の血筋の事を話して聞かせてくれた。
リーザスさんがアルバート家に嫁いだ為、クランバートル家は賢者の血筋を途絶えさせてしまった。
以降アルバート家が賢者の血を繋いで来たのだけれど、継承者のサーベルトさんという方が魔の力によって討たれてしまい、賢者の血は絶たれた。
あれ……サーベルトさん?
「サーベルト……ゼシカのお兄さんの名前……?」
私が問いかける様にリーザスさんの顔を見ると、彼女は小さく頷いた。
『像に埋められたクラン・スピネルを持ってお行きなさい。きっと助けとなるでしょう。……アルバート家の血を持つ最後の一人……ゼシカの事を、よろしく頼みましたよ……』
僅かに微笑み、リーザスさんは姿を消した。
それとほぼ同時に、像に埋まっていた紅い宝石が自然とはずれ、硬い音を立てて床に落ちた。
エイトがそれを拾って大切に道具袋にしまう。
「頼まれたものは手に入ったし、リブルアーチへ戻ろう」
エイトのリレミトで塔を後にして、すぐさまルーラでリブルアーチへと飛ぶ。
町に着くと、私達は急ぎ足でハワードさんのお屋敷を目指した。
お屋敷の門を通ってすぐの広い庭に、チェルスさんとハワードさんの姿があった。
声を掛けようと思ったけれど、何やら取り込み中みたいで。
ハワードさんの横には真っ黒くて大きな犬が座っていた。
チェルスさんはどうやらその犬のご飯を用意したみたいなのだけど、ハワードさんはそのご飯に毒が入っているとか言い掛かりをつけていて。
暫くやり取りを見守っていたのだけれど、あまりにも理不尽で腹が立った私はついに二人の間に割って入ってしまった。
「ここまでさせるなんて……いくらなんでも酷過ぎじゃないですか?」
毒味をしろと言われ、地面に蹲ったままのチェルスさんを起こしながら私はハワードさんを睨む。
「チェルスさん、向こうへ行きましょう?ね?」
クラン・スピネルの事はエイト達に任せて、私はチェルスさんと一緒に庭の端にあった噴水の方へと移動した。
「あはは、恥ずかしい所を見られてしまいましたね……」
「チェルスさん……大丈夫ですか?」
「ハワード様、なんだか虫の居所が悪かったみたいです。なのに、僕がヘマをしちゃって……」
ヘマって、どうせ些細な失敗だよね?
失敗なんて誰でもする事だし、あそこまで責め立てられる事じゃない。
それなのに、チェルスさんはどこか楽しそうに笑っていた。
「僕、このお屋敷もハワード様も大好きだから、クビにされないように気をつけなくちゃな……」
チェルスさんの様子からして、その言葉に嘘はないんだと思う。
この人は本当に、心の底からハワードさんを尊敬していて……。
「どうして、そんなに……?」
「……上手くは言えないんですけど、このお屋敷に仕える事に運命的なものを感じているんです」
「運命、ですか?」
「貴女にも役割があるでしょう?僕は、ハワード様にお仕えして、お役に立つ事こそが自分の役割だと、そう思うんです」
自分の役割、か。
そうだよね。役割なんて必ずしもいいことばかりじゃない。
綺麗な事ばかりじゃない。
役割と言ってしまえば聞こえは良いけど、その内容は様々で。
「これくらいなんともありません!……僕、いつかきっとハワード様に認めて貰えるその日まで、頑張っていきます」
「チェルスさん……」
本人がそこまで言うのなら、私からはもう何も言う事はない。
貴方が信じた道を応援していきたいと思う。
「それじゃあ、僕は仕事に……あ、あれは!!」
「えっ……?」
噴水の上空の空間に切れ目が入ったかと思いきや、そこから杖を携えたゼシカが姿を見せた。
「あら、ルシア……居たのね」
「ゼシカ……お願いだから、もう止めて……」
「出たぞ!杖使い女だ!」
屋敷の警備を固めていた衛兵達が一斉に庭に集まって来る。
私達を一瞥したゼシカが杖を一振りすると、衝撃派のようなものが巻き起こり、周辺を吹き飛ばした。