コネクト~真実と疑惑~
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「エイト、まだ着かないのか?」
「僕に言われても……もう大分上の方まで来てると思うけど」
塔の入り口付近で手に入れた地図を広げながらエイトが辺りを見渡す。
気がつくと、周辺の山々の頂と同じくらいの高さまで登っていた。
「少し休憩しようぜ?サザンビークを出てからずっと動きっぱなしじゃないか?」
「言われてみればそうだね。少し休んで行こうか」
周囲の安全を確認すると、みんな待ってましたと言わんばかりにその場に座り込んだ。
私も少し遅れて腰を降ろすと、近くにいたエイトと視線が交わる。
「ルシア、体調はどう?無理してない?」
「大丈夫。……ごめんね、色々心配させちゃって」
「何かあったらちゃんと言ってね?ルシアは全部一人で抱え込んじゃうから。……少しは僕を頼って?」
「もう十分頼りにしてるよ?……エイトが私を連れて行ってくれなかったら、今頃どうなっていたか……」
ドルマゲスを倒して終わると思っていた旅はこうして今も続いている。
此方に来てから大分経つけど、故郷へ帰る為の手掛かりは何一つ掴めていない。
ほぼ成り行きでエイト達に同行する事になったわけだけど、本当に彼らが居てくれて良かったと心底思う。
……良かったと思う一方で迷惑ばかりかけてしまっているのもまた事実で。
最初のうちは私が彼らを助けるつもりでいたのに。
気が付いたら私の方が沢山助けられてた。
「……本当に、ありがとう……」
お礼を言うくらいなら何か役に立たないとって思うけれど、それでも今の私にはこれが精一杯だった。
そんな私の言葉を聴いたエイトはただただ優しく微笑んでいた。
「おいおい、イチャつくんだったら余所でやってくれよ」
「別にそういうつもりじゃないよ」
茶々を入れられてエイトが少しムっとした顔をククールに向ける。
「兄貴、ククールはゼシカがいないから荒んでるんでがすよ」
「ゼシカがいないとどうも調子が出なくてな」
「そういうの、八つ当たりって言うんだよ?」
「……そんな訳だから、クラン・スピネルとやらを手に入れてこんな所はさっさとおさらばしようぜ?」
ひらひらを手を振るククールにエイトは小さく息を吐く。
「ククールさ、休みたいって言ったり先へ進もうって言ったり……我儘じゃない?」
「女とイチャついてる所に水差されたからって怒るなよ」
……なんだか段々険悪なムードになってきた。
いつもはあまり怒らないエイトがなんだか苛々してる?
そりゃエイトだって人間なんだからストレスを感じて当たり前なんだけれど。
「あんまり時間もない事だし……もう行こう?ね?」
このままだと取っ組み合いの喧嘩でも始まりそうな雰囲気だったから、取り敢えず二人の間に入る。
ヤンガスはエイトの怒りオーラに圧倒されちゃってるらしく、沈黙していた。
一旦この場は落ち着いたと思われたのだけど、再び搭を登り始めた私達の前に魔物が現れてそこからが地獄だった。
「おいエイト、さっきから回復被りすぎじゃないか?」
「回復が追い付いていないように見えたからそうしただけだよ」
「……俺のタイミングが遅いって言いたいのか?」
「自分でやった方が早いって思って。待ってたらやられちゃうし」
エイトとククールが些細な事をキッカケに言い合いを始めてしまった。
いつもはこんな事起きないのに。
パーティーメンバーが一人居なかったり、私が呪文を用いた補佐に回れなくなって連携にズレが生じてしまったのだと思う。
こういういざこざはよくある事と言えばそうなのだけど……。
「大体お前の殲滅が遅いから無駄に魔力を消費するんじゃないのか?」
「行動丸被りな回復魔法かけてるくらいなら攻撃に回って貰いたいんだけど?」
「二人とも!喧嘩は……よく、ないよ……」
今すぐ仲直りをして!とは思わないけれど、それでも戦闘に差し支えてしまうのは全滅に繋がってしまう。
そう思って再度仲裁に入ろうと思ったのだけど、二人の気迫に発した声は段々と小さくなっていった。
きっと語尾の方は殆ど聴こえていないと思う。
全員無言のまま再び塔を登り出す。
ククールがパーティーを離脱するって言い出したらどうしようって内心不安で仕方なかったけれど、塔の頂へ着いてもその言葉は出てこなかった。
……エイトと些細な口喧嘩はしていたけれど。
喧嘩になっても今の状況をちゃんと分かってるんだね。
まだまだ塔を増設中のライドンさんはクラン・スピネルを所持していないらしい。
それどころか、その行先はずっと昔から分かっていない。
しかもライドンさんのご先祖様がその宝石を像に用いたとかなんだとかで。
そのご先祖様の名前はリーザス、という所まで分かった。