コネクト~わだかまり~
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「私は……えっとね、村に……エテーネの村というところで姉と暮らしていたのだけど……」
周りには何もない普通の田舎だったせいもあって、それはもう平凡だった。
錬金が大好きな姉が持って帰ってくるややこしい問題を片付けさせられるのはそれなりに大変だった。
外には魔物がいるから一応鍛錬はしていたけれど、村を護る巫女様の結界によって、村人は平穏な生活を送れていた。
けれど、ある日。
突如現れた冥王によって、村は無残に焼き払われてしまった。
「そこで姉とは生き別れて……それから私は村のみんなの仇を討つ為と姉を探すためにずっと旅をしてきたの」
「そう、だったの……」
聞いてはいけない事を聞いてしまったと、ゼシカが目を伏せた。
私は場の空気を元に戻そうと少し慌てる。
「で、でもっ!仇はもう打ち取れたし、姉も生きてるって事がわかったから!……だから、もう大丈夫」
「ルシアも若いのに苦労してるんでげすな……」
「ちょっ、大袈裟だって!……今はみんなの方が大変でしょう?だから、私の事はもういいの!それよりこれからの事を考えないとね!」
正直、あまり思い出したくなかった。
死んでいく時の孤独と悔しさ、痛み。
今考えるだけでも恐怖で体が震えてしまう。
だからこれ以上、自分の事を語りたくなどなくて私はなんとか話題をすり替えようとした。
「私も絶対、サーベルト兄さんの仇を討って見せるわ!早くドルマゲスを探し出さないとね!」
「……ちゃんとトロデ王とミーティア姫の解呪をさせてから倒してね?」
やる気に満ち溢れているゼシカにエイトが一言付け加える。
彼女は少しムッとしたような顔をした後に、わかってるわよ!とだけ言ってそのまま立ち去ってしまった。
「僕もトロデ王とミーティア姫の様子を見てくるね」
「アッシもお供するでげす!」
君はどうする?そう言いたげなエイトの視線に私は首を横に振った。
「私はもう少しここにいるね。酔っちゃったのか、なんだか気分が優れなくて……」
「確かに、なんだか顔色がよくないでげす」
「大丈夫?無理しないでね?」
心配してくれてる二人に笑顔を見せると私はぼんやりと海を眺めた。
久しぶりに嫌な事思い出しちゃったから……
今まではあまり考えないようにしていたのだけど。
気分転換に何かしよう。
そう思って道具袋の中を漁る。
たまたま手にあたった歪な形の笛を取り出して、もう一度あの旋律を奏でてみる。
(……やっぱり、来ないか……)
飛竜は来なかったけれど、船と一緒に空を飛んでいたカモメが一羽目の前に降りてきてくれた。
それがなんだかとても微笑ましく感じて私は思わず笑みを浮かべる。