コネクト~真実と疑惑~
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「魔力の回路は想いとか、記憶に通じてるって話を聞いたことがある。あれがルシアの望みだとは全く思っていないんだが……だとすると、あれは記憶?ルシアが見た夢、なのか?」
「ククール、どういう事?」
話の詳細を求める様にエイトがククールに詰め寄る。
「ルシアが俺達を皆殺しにする光景が視えたんだよ。……怖い夢を見たくらいで呪文が使えなくなる程のショックを受けるとは思えない。あれはつまり……現実に起こった事なのか?」
「ルシアがそんな事するわけ……」
「エイト」
私を庇おうとしてくれるエイトの言葉を止めて、小さく息を吐いた。
動揺したようなエイトの眼差しが此方に向けられる。
「あれは……きっと夢じゃない。本当に起きた事……だと思う」
「じゃあ、どうして僕達は生きてるの?……ククールもヤンガスも、この通り無事でいるよ?」
「それは……時間が、戻ったから……」
本当のところ私には何も分からない。
でも、そうとしか考えられなかった。
「……ドルマゲスと戦いに入って直ぐ、茨が飛び掛かってきたでしょう?私、最初はそれを避けられなかったの。そのまま捕まっちゃって、みんなが戦っているのをずっと見てた。でもその後……瀕死になったドルマゲスが私の所にやってきて……そこから記憶が曖昧になってるんだけど……自分が無くなっていくっていうか、そういう感覚に陥って……気付いた時にはみんなの事を……」
「ドルマゲスに何かされたって事?」
「ううん、そうじゃなくて……ドルマゲスが持ってたあの杖に何かあると思うの。ゼシカもあの杖を持っていたでしょう?……きっと、私も……。」
記憶の言うものは時間が経つに連れて少しずつ薄まっていくものだと思っていた。
けれど、あの残虐な光景や意識、自我を取り戻して縺れていく感情。
その全てを鮮明に覚えていて。
記憶している、というよりまるで魂に刻まれてしまっているみたいに色濃く私の中に残っている。
本当は今、みんなとこうして一緒にいるのもどこか後ろめたく感じてしまう私がいる。
「……とにかく今はゼシカを止めないといけないから、この話はまた後でいい?」
エイトにそう訊かれて私は小さく頷く。
ククールも同意したのか、再び歩みを進めだした。
ハワードさんに言われた通りにクランバートル家を訪ねてみたけれど、目当てのものは此処には無かった。
ライドンさんという人がクラン・スピネルについて何か知っている様なのだけど、今は不在でこの町の北側で搭を造っているらしい。
塔って一人で造れるものなのね……。
変な所で感心している私の横で、ククールが些か面倒くさそうに溜息を吐いていた。
「なんでよりによって塔なんか造ってるんだかな」
「遠回りはいつもの事でげす」
「……ヤンガスに宥められるとなんか変な感じがするな」
「いつもはゼシカがツッコミを入れてたからね」
若干不満げにしているククールにエイトが苦笑していた。
やっぱりゼシカがいないと寂しいよね。
何だかんだ言ってククールとゼシカは良いコンビだと思うし。
外で待機していたトロデ王達にも事情を説明すると、リブルアーチを出て私達はそこから北にあるという塔を目指す。
ゼシカがいつ襲撃してくるか分からないからあまりゆっくりはしていられない。
みんな同じ気持ちなのか、いつもより早いペースで進んでいた。
その甲斐あってか、目的の場所には直ぐにたどり着いた。
「これが……ライドンさんが造っているっていう塔なの?」
もっとこじんまりとしたものを想像していた私は絶句した。
人一人で造っている塔だから、精々港の展望台くらいの高さくらいだろうと思っていたのに。
高々と空を貫く搭を見上げていると、エイトがライドンさんの息子さんから預かった石の剣を使って閉ざされていた扉を開けた。
「開いたよ、行ってみよう」
4人で綺麗な石造りの塔を登っていく。
彫刻家が造っているというだけあって、丁寧な細工や拘りがその内装から感じ取れた。
こんな大掛かりなものをたった一人で造っているなんて、ライドンさんって何者なの?
デフェル荒野にある魔塔も実はこの人が造っていたりして?……なんてね。
「結構な高さでげすな」
「落ちたらひとたまりもないね」
遠ざかっていく地上を眺めながらヤンガスとエイトが苦笑している。
私は正直、高い所がちょっと苦手だったりする。
だって、いつも落ちるんだもん……。
レイダメテスから脱出した時や、冥王の心臓から脱出した時も毎回自由落下してるし……。
そして身体のどこかしらをぶつけたりして、ああ、今度こそ死んだなって何度も思う。
それでもこうして生きている辺り、私のしぶとさは筋金入りだとしみじみ実感する。
ただ単に運が良かっただけなんだと思うけどね……。