コネクト~真実と疑惑~
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暫く行くと、関所の様なものが見えて来た。
けれどその門は無残に壊された形跡があって。
「なんだこりゃ……」
「一体誰がこんな事を……」
壊れた門を見上げてククールとエイトが口々に呟く。
木製の門からはどこか焦げた様な匂いが漂っていて、まるで炎の呪文で無理矢理こじ開けた様な感じがした。
炎の呪文を巧みに使いこなす魔法使い……ゼシカの顔が脳裏を過る。
でも彼女がこんな事する筈がない。
確かにカッとなると呪文を使いそうになったりするけど、流石に破壊行為はしない。
関所を抜けてすぐの所にリブルアーチという町があった。
山を開拓して作られた町なのか、高低差があって石造りの建物がとても綺麗な場所なのだけど、何やら様子がおかしい。
町の人たちに話を聞いて行くと、さっき通った関所を破壊したのは女の人で、この町にやって来ているとの事だった。
関所を破壊した時にそこを護っていた人たちが何人も負傷したんだとか。
……うん、ゼシカはそんな事絶対にしない。
そうであってほしいと、私はどこか祈る様な気持ちで町の人の話を聞いていた。
町の高い所にある大きなお屋敷に関所を壊した女の人が奇襲をかけてきたとかで、結構な騒ぎになっていた。
人々が不安そうに見守る中、私達もお屋敷の中へ勝手にお邪魔させてもらう。
大きな扉の前に衛兵が倒れていた。
更に中を見渡すと、部屋の隅にこのお屋敷の使用人達が固まって身を縮めている。
ぱっと見た所、この衛兵以外は怪我は無さそう。
「む、無念だった……たった一撃で全身が麻痺してしまうとは……2階にはチェルスがいるがあいつに敵う相手ではない。頼む、助太刀してやってくれ!」
「急いだほうが良さそうだね」
取り敢えず手当は後回しにして、私達は二階へと通じている階段を駆け上がっていく。
一番奥にある部屋から何か物音が聴こえてきて、急いでそこへ向かった。
エイトが勢いよく部屋の扉を開けて、中へと駆け込む。
「……う、そ……」
私は絶句した。
それ以上言葉が何も浮かんでこなくなって、自分の口元を両手で覆う。
「あら、ルシア……久しぶりね?」
「……どう、して……?」
杖を手にしているゼシカの身体はまるで死人の様な血色をしていた。
額に浮かび上がった青筋を更に目立たせて、彼女は私を見据えて笑みを浮かべていた。
「もう来たの?思ったよりも早かったわね」
「……まさか……」
嫌な記憶が脳裏を過る。
その時、激しい頭痛に見舞われて私は思わずその場に蹲ってしまう。
「うふふ。結界が役に立ったわね。今の茶番が無ければとっくに死んでいた筈なのに」
ゼシカに追い詰められる様にして、中年の男性とちょっと頼りなさそうな青年が光で紡がれた魔法陣の中で彼女と対峙していた。
ゼシカはこの人達の命を奪おうとしていたんだと分かり、みんなに緊張が走る。
「今日のところは退散してあげるわ。この人たちを相手にしながらじゃ流石に私も分が悪いもの。今度来る時までにはもっと守りを万全にしておきなさい?……それじゃあね」
ふわりとゼシカの身体が宙に浮き、大気に解けていくように姿が消える。
魔法陣を展開していたらしい男性が魔法を止めて膝を着く。
どうやら相当無理をしていたみたい。
「ルシア、大丈夫か?」
なんとか立ち上がろうとしている私にククールが手を貸してくれた。
「ごめんなさい……なんだか急に頭痛が……」
「……後でちょっと話があるんだ。先に言っておくが、真面目な話だ」
「真面目な話……?」
「そう言っておかないと聞こうとしないだろ?」
「下らない話でも無視したりとかした事ないと思うのだけど……。」
ククールの真面目な話も気になるけど、今はゼシカに殺されそうになっていた二人組の安否を確認しないとね。
結界を張っていたみたいだから怪我は無さそうだけど。
この人たちはお屋敷の主と従者の様だった。
いかにも偉そうな中年男性がハワード、様?で、ちょっと頼りなさそうな青年が従者のチェルスさん。
主従関係なのは分かるけれど、ハワード……さんが、チェルスさんに辛く当たっているのがとても気になる。
彼に対する言動もキツイし、虐げている様にしか見えないのだけど……。
あんまり人様の事情に口を挟むのはよくないと思うけれど、なんだか放っておけない。
ハワードさんはゼシカに対抗する為に更に強い術を編み出す為に、クラン・スピネルって宝石が必要になるらしい。
それを持ってきてくれと依頼された。
ゼシカを元に戻したい私達と目的は合致しているし、一応引き受けはしたのだけど。
「……ねぇ、エイト」
お屋敷を出ながら私はエイトに声を掛ける。
「私……ここに残ってて良いかな?宝石を手に入れるまでの間にまたゼシカが来るかもしれないし。私がいれば時間稼ぎくらいは出来ると思うの」
「でも、なんだか最近具合悪そうだし……大丈夫?」
「ルシアはチェルスの事が気になるんだろ?やめとけって。あんたがいくら憐れみを掛けた所で何の救いにもならないよ」
「……そう、だけど……」
中途半端に手を差し伸べたら、もっと状況が悪くなってしまうかもしれない。
それでも、裏でもっと酷い事をされているのだとしたら……。
そう思うとどうしても後ろ髪を引かれてしまう。
「それよりルシア、さっきの真面目な話なんだが……」
「うん?」
クラン・スピネルを所持しているというクランバートル家を目指している最中、ククールが先程の話を持ち掛けて来た。
「……魔力を共有した時、一瞬だが変な物を見た」
「変なものって?」
「……返り血をベッタリ被って俺達の亡骸を見下ろしてるルシアの姿があった。あれは……なんだ?」
まさかの言葉に思わず私は足を止める。
話の一部始終を聴いていたと思われるエイトとヤンガスも立ち止まって此方に視線を向けていた。