コネクト~真実と疑惑~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宿の人がゼシカが出ていくのを目撃した様で、旅立つ準備もそこそこに私達はサザンビークを後にした。
「馬車で休んでいなくて大丈夫なのか?」
「うん、もう平気だから。……ありがとう」
隣を歩いていたククールが心配して声をかけてくれた。
いつもはゼシカとお話しながら歩いている事が多いから、なんだか少し寂しい。
宿でも同室だし、彼女との会話を私はどこか楽しみにしていたんだなぁとしみじみ感じていた。
「今夜一人で寂しいだろ?一緒に寝てやろうか?」
「謹んでご遠慮させて頂きます」
ゼシカがいない事に一抹の寂しさを感じているのは事実だけど、ククールと一緒に寝るなんて……何されるか分かったものじゃない。
キッパリお断りさせて頂いたのにも関わらず、ククールは口説き文句をたらたらと述べてきた。
「やっぱりエイトと一緒が良いのか」
「私一人の為に部屋とるのも何か勿体ないし……みんな一緒で良いよ」
「みんな一緒か。それはそれで良いな……」
「……ククール、ちょっと位置代わろうか」
この人は何の話をしているんだろう?って思っていたら、エイトが来てくれた。
腕組をしてククールを見据えているエイトはいつも通りの穏やかな表情なのだけれど、心なしか少しだけ怒っている様な気がした。
「ったく、そんなヤキモチ妬かなくても……」
「ヤキモチ……?」
そう言えばドルマゲスの事があったからすっかり忘れていたけれど……エイトとは想いを伝え合った仲なワケで。
途端に恥ずかしくなって、私はエイトから顔を逸らした。
「なんだよルシア、照れてるのか?」
「そ、そうじゃなくて!……もう、からかわないでよ……」
尚もおちょくってくるククールをエイトがしっしと追い払う。
するとククールはどこか不満そうな様子で私達に背中を向けて、先頭の方へと移動していった。
「ククールの相手して余計に疲れちゃったりしてない?」
エイトにそう訊かれて私は首を左右に振った。
「そっか。それなら良かった」
「ゼシカがいなくてつまらないなぁ、って思ってたのは事実だし。ククールなりに気遣ってくれたのも分かってるから」
「ゼシカと仲良しだもんね。……早く見つけて、戻ってきてくれると良いんだけど」
「うん……」
ゼシカは元々お兄さんの仇を討つのを目的としてこのパーティーに加入していた。
その目的が果たされた今、今度は呪いを解く為の旅に着いてきてくれるのかな。
実際ゼシカに抜けられると戦力的にも大分困ってしまうし、何より私が寂しいから……。
また一緒に居られたらと、切に願ってしまう。
「兄貴!魔物でげす!」
前方からヤンガスの声が聴こえてくる。
「ルシアはここに居て。大丈夫、この辺りの魔物なら僕達だけでなんとかできるから」
「ううん、私も一緒に行く。ゼシカの穴を埋めなきゃね!……呪文は使えないけど、武技ならなんとかなるから」
回復手段は何も呪文が全てじゃない。
最悪アイテムが尽きた場合はちょっと効率悪いかもしれないけど、祝福の杖でどうにか出来る。
まぁ、回復に関してはククールがいるし大丈夫だとは思うけれど。
剣を手にした私はエイトと一緒に戦場へと駆けて行った。
程なくして戦闘は終わったものの、やっぱりククールの回復の負担が増えてしまっている様に感じた。
こちらの人数は減っているけれど、魔物は数を減らして来てはくれない。
エイトが回復の補助に回ってしまうと攻撃がヤンガスと私だけになってしまう。
何よりベホマラーは範囲呪文なだけあって、なかなかの魔力を消費する。
私も連続でベホマラーを唱えていて、気づいたら魔力が半分以下になっていた、なんてことはザラにある。
その後も何度も魔物と遭遇し、明らかにククールの魔力の消耗が見て取れた。
「……そうだ、良い事思いついたかも」
呪文が使えないのもあって魔力が有り余っている私は、自分の魔力とククールの魔力を共有してしまおうと考えた。
丁度魔物に遭遇していたから、早速試してみようとククールに近づく。
自分の魔力の回路とククールのそれを繋げる。
初めての感覚に戸惑っているククールがなんだか可笑しくて、私は少しだけ笑った。
「これで呪文使い放題だよ!……多分」
「……そ、そうか……悪いな」
「ククール?」
一瞬、ククールの表情が硬直した事に気付いた私は思わず名前を呼んでいた。
……もしかして、嫌だったとか……?
だとしたらちょっとショックだけど、問題があるなら向こうから切って貰えれば良いし。
特に問題もなく戦闘が終了したので、私はリンクを断ち切った。
「ルシアの世界にはそんな技まであるんだね」
「向こうではあんまり使う事ないんだけどね。まさかこんな所で役に立つなんて意外だったかも」
感心したようにエイトが頷いている横で、ククールはどこか表情を曇らせていた。
「……ごめんなさい、嫌だった……?」
居たたまれなくなって、堪らずそう訊いてしまう。
ククールは少し顔を上げて私を見た後、首を横に振った。
「そうじゃなくて……なんだ、初めての感覚だったから少し動揺しちゃってな」
「それなら、良いんだけど……」
ククールの様子が少し気になるけれど、私達はゼシカが向かったという北の方角へとひたすら進んで行った。