コネクト~希望の光~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
エイトとヤンガスがドルマゲスへ斬りかかっていくと、背中の羽根が針の様に降り注いでくる。
「……イオラっ!」
ゼシカが呪文で羽根の一部を相殺して事なきを得たけれど、二人は僅かながらも傷を負ってしまった。
本当は、私もゼシカと一緒に呪文を唱えられたら良かったのに。
杖を握りしめる手が震える。
やっぱり、ダメ……。今の私に攻撃呪文は唱えられそうにない。
呪文を撃たないのなら、杖を持っていても仕方がない。
仕方がないので私は弓に持ち替えて、後方支援を行う事にした。
前線で戦うエイト達に状態異常がかからなくなる様に耐性を施し、ダメージを緩和させる為にきせきの雨を降らせる。
ククールがベホマラーを習得していたらしく、回復は順調に回せていた。
それなら、私が攻撃に回ってもきっと問題はない。
と、呪文を詠唱していたゼシカがドルマゲスの放った攻撃に当たってしまったのが目に入った。
ククールはヤンガスの支援をしているから、此方には来れそうにない。
「ゼシカ、今回復を……」
「……ルシア?」
「あ……えっと……」
傷口に手を翳してみたものの、癒しの光が発現しない。
どうして……?
「……ごめんね、なんか魔力切れてたみたい!これで……」
持参していた回復アイテムを使って、なんとか傷を癒す。
「ルシアが魔力切らすなんて、珍しいわね……」
「うーん、道中調子に乗りすぎちゃったかな?」
その場を笑って誤魔化して、私は弓を構える。
ドルマゲスの頭部に狙いを定めて、一気に矢を引き放った。
「……!!」
その刹那、ドルマゲスの姿にあの時のエイトの影が重なる。
彼は少しだけ首を傾げると、微かに笑みを浮かべた。
『ねぇ……どうして、みんなを殺したの……?』
「……違う……違うの……!私は……何もっ……」
『じゃあ……その手は何?』
「……あれは、夢……悪い夢だった……そうに、決まってる……」
こんな幻に惑わされてどうするの?
そう自分を叱咤するけれど、それでも身体は恐怖に慄いてしまう。
「ルシア!」
ゼシカの呼ぶ声で我に返る。
先ほど放った矢はドルマゲスに命中していたらしく、怯んだ隙を突いてエイト達が深手を負わせる事に成功した様だ。
「大丈夫?何かされたの?」
「……ううん、大丈夫。それより止めを!」
ゼシカに引き続き呪文での攻撃をお願いしてから、動きが大分鈍くなったドルマゲスに駆け寄り、両の手を胸の前で結び合わせる。
「貴方の罪を、その身に刻んで!」
青鈍色のオーラを纏った両手を地面に立てると、ドルマゲスの足元に魔法陣が展開される。
守備力を大幅にダウンさせ、敵を死へと追いやる災禍の陣。
――これで終わる。
「さぁ、今のうちに……!」
そう合図を示すと、真っ先にゼシカのメラゾーマがドルマゲスの身体を包み込んだ。
今までの旅路で積み重なったそれぞれの想いが一太刀へ強く込められているのを感じた。
程なくしてドルマゲスが崩れ落ちる。
それを見届けた私もその場に膝を着いた。
なんだか身体が鉛の様に重い。
どうしちゃったんだろう……?
ヤンガスの歓声が上がる。
みんなの勝利の雄叫びをどこか遠くで聴きながら私は意識を手放してしまった。
「……。」
次に目を開けた時はベッドの上に居た。
気絶してしまった私をみんなが運んでくれたみたい。
また迷惑かけちゃったな、謝らないと……。
そんな事を思いながらゆっくりと身体を起こす。
「あ、ルシア!気が付いたんだね」
「……エイト」
なんだか最近似たような事があった気がする。
まさか、また時が戻ったんじゃ……?
そんな不安に駆られつつ、私はまだぼんやりとしたままエイトの方へ顔を向けた。
「起きたばっかりで悪いんだけど……これから先の事、少し話してもいいかな」
先の事?これからどうするかって話かな。
それも大切な事だけれど、私は何より気になっていた事をエイトに訊ねる。
「王様やミーティア姫様は元に戻れた……?」
「……それが……」
どこか悔しそうに顔を伏せるエイトを見て、二人の呪いはまだ解けていないのだと察した。
ドルマゲスを倒したのに、どういう事?
「……じゃあ、これから呪いを解く方法を探しに行くのね?」
私がそう訊ねると、エイトは深く頷いた。
漸く目的を達成できたと思ったのに、この仕打ちはちょっと辛いよね……。
王様達もさぞかし落胆しているんだろうな……。
「それで……ルシアは、一緒に来てくれる?」
「えっと……」
エイトの問いかけに私は言葉を詰まらせた。
一緒に行きたいのは山々なのだけど、今の私がみんなの力になれるか、と聞かれたら答えはノーだ。
今もまだあの時見た光景が頭を焼き付いて離れない。
みんなを傷付けてしまう事の恐怖がずっと纏わりついていて。
どうしたものかと考えていると、エイトが少しだけ間を空けて再び口を開く。
「あと……ゼシカがいなくなっちゃって」
「えっ……ゼシカが?どうして?」
ドルマゲスを倒したらお兄さんのお墓に報告に行くと言っていたし、自分の故郷へ戻っただけなんじゃないかと思ったけれど、どうやら違うみたい。
ゼシカは誰にも何も言わず、忽然と姿を消してしまったらしい。
ドルマゲスが手にしていたあの杖と一緒に。