コネクト~希望の光~
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ドルマゲスの身体が石と化し、砕け散っていく。
「……ついにドルマゲスを倒したんでげすな!」
ヤンガスの歓声が上がる。
みんなが私の元へ駆け寄って来る。
お願い……来ないで!来ちゃダメ!
そう願っても、私はもう自由に声を発する事も出来なかった。
「ルシア、大丈夫?」
「……ぃっ……お……」
「え?何?」
手を差し伸べてくれるエイトにそっと手を翳す。
彼は不思議そうな顔をしてそれを見ていた。
「イオグランデ」
無慈悲に言霊が紡がれる。
私を中心に閃光が解き放たれ、爆発を起こした。
「……ルシア?どうして……?何でエイトを……!!」
地面に伏せたまま動かなくなったエイトにゼシカが駆け寄る。
「悲しい……悲しいわ……貴方達を殺さないといけなくなるなんて……」
「……ルシア?その口調、まるで……」
「さようなら」
ドルマゲスとの戦いで消耗していたせいもあり、一瞬で決着が着いた。
……というより、何が起きているのか分からずに動揺したかつての仲間達を一方的になぶり殺しただけなのだけど。
「これで邪魔者はいなく……な、った……」
止めどなく涙が溢れる。
全身の力が抜けたらしく、杖が手から滑り落ちた。
「………みんな……。」
私はみんなの亡骸に駆け寄る。
身体の一部を欠損してしまっているメンバーもいる。
蘇生魔法はもう意味を成さないのは明白だった。
こんな筈じゃなかった……
どうして……?何がいけなかったの?
何処で歯車が狂ってしまったの……?
「……わたし、私………!」
真っ赤に染まった自分の両手が、取り返しのつかない事をしてしまった事実を突きつけて来る。
どんなに願っても、祈っても。
この事実は覆らない。
「ああっ……ああああああぁぁあっ!!!!」
ただただ、感情のままに泣き叫ぶ。
この絶望を、この哀しみを……どう言葉にしたら良いのだろう?
思考する間もなく、身体が限界に及んだらしくそのまま意識を失った。
これが夢なら……どんなに良かったか………。
「おい、ルシア?大丈夫か?」
「…………!?」
「さっきからボーッとしてないか?」
ククールの声が聴こえて、私は驚きのあまり2、3歩後退る。
「く、ククール!?どうしてっ……だって……あの時……!」
回復魔法を施そうと掲げられたククールの腕を、私は……。
「まさか……寝不足か?俺達の見てない所でエイトと宜しくやってたのかよ」
「…………。」
「何だよ……図星か?」
一体何が起きてるの……?
さっきまで私が視ていたものは何?
夢?幻?
……そんな訳ない。だって、この手には確かに感覚が残っている。
みんなを死へと追いやった感覚が、ハッキリと。
「顔色が悪いな。本当に大丈夫か?」
「うん……ごめんなさい……」
ククールとの会話が聴こえたのか、先頭を歩いていたエイトが此方へやって来た。
「ルシア、体調が悪いなら引き返しても良いんだよ?……あれ。それ、どうしたの?」
エイトに言われて自分の手首を見てみると、うっすらと痣の様なものが浮き上がっていた。
先程の光景は夢ではないと確信させるには十分だった。
「おいエイト……お前、どんなプレイしたんだよ……そういう趣味があったんだな」
「なっ……!何にもしてないよ!昨夜はずっと部屋にいたしね」
まさか……私……。
自分の中に眠るエテーネの力を……
時渡りの力を使って、戻ってきてしまった……?
扱いこなせていない未熟な力で、こんなに都合よく戻って来れるものなの?
「……本当に、エイト……だよね?」
今見ているものの方が非現実的に感じられてしまって、思わずエイトにそう言葉を投げかけた。
「え?……そう、だけど……?」
「……何でもないの、気にしないで」
大事な時にみんなを不安にさせたらいけないと、これ以上は伏せておく事にした。
それに、まだ記憶が鮮明なうちにあの場所へ辿り着いておきたい。
同じ過ちを繰り返さない為にも。
「……みんな、準備はいい?」
先刻と同じように、ドルマゲスがいる部屋の前に立つ。
エイトの呼びかけにみんなが答えて、その後部屋に入って……。
怖いくらい同じように進行していく中、ついにその瞬間が訪れた。
そう、私が囚われてしまったばかりに起こった悲劇が先ほどのものだ。
あの悲劇を回避するには……。
「……おや、そう言えば貴女には借りがありましたね」
「……。」
何も言い返さない私をどこかつまらなそうに眺めた後、ドルマゲスは手にしていた杖を少しだけ動かす。
あの時は言動の方に気を取られていて気付かなかったけれど、微かに何かが忍び寄って来る音が聴こえた。
「……今だっ!」
タイミングを見計らって、私は横へ飛びのく。
先程まで私がいた場所には杖の力で放出された茨が這っていた。
「おやおや、気づかれてしまいましたか。貴女だけは特別に後でじっくりと愉しませて頂こうと思ったのだが……まぁ良いでしょう」
「もう……同じ失敗はしないわ……それよりも!」
杖を地面に突き立てて、魔法陣を展開する。
これ以上おかしなことが起こる前に、この戦いを終わらせてしまいたい。
「……ゼシカっ!行こう!」
「……ええ!」
ゼシカも杖を手にして、魔法陣の中に足を踏み入れる。
「……メラゾーマ!」
ゼシカが昨日の特訓で習得したらしいメラゾーマを唱える。
生み出された巨大な炎がドルマゲスを包み込む。
この一撃で終わる筈がない。
呪文の暴走をより激しく起こそうと、私はもう一つ魔法陣を重ねて敷いた。