コネクト~希望の光~
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翌朝、各々支度を整えた後みんなで宿のエントランスに集合した。
「……みんな、覚悟はいい?」
エイトの問い掛けにみんな力強く頷く。
ついにこの日が来た。
長いようで、短い旅路だった。
「散々遠回りさせられたけど、漸く兄さんの仇が討てるのね」
「俺もさっさとアイツを倒して本格的に自由の身になってやるさ」
「これで馬姫様とおっさんも元通りでげすね」
「……それじゃあ、行くよ!」
エイトのルーラで一気に遺跡へと向かう。
敵の潜伏先に乗り込むのだから、勿論戦闘は避けては通れないと思う。
遺跡の中がどういう構造になっているのか分からないし、何よりドルマゲスとの決戦が待っているのだから極力魔力の消費は抑えたい。
石柱の窪みにエイトが太陽の鏡を嵌めると、その輝きがまやかしを解き、遺跡の入り口を暴き出す。
「……この先にドルマゲスが……ついにたどり着いた……」
気味の悪い入り口を見ながらエイトが呟く。
「行きましょう!」
ゼシカが背中を押すように声をかけると、薄暗い遺跡の中へと足を踏み入れた。
元からなのかドルマゲスが居着いたからかは分からないけれど、中は魔物の巣窟になっていた。
……何でだろう、この遺跡に入ってから胸がざわつく。
「ルシア、大丈夫か?」
「あ……うん、何でもないの」
少しだけボーッとしてしまった私に気がついたらしいククールが声を掛けてくれた。
流石ヒーラーなだけあって、よく見てるね。
大丈夫、みんな今日まであんなに頑張って来たのだから。
きっと全員生きて帰れる。
ううん、生きて帰らなくちゃ。
時折襲い掛かってくる魔物を退けつつ、遺跡に施された仕掛けを解いて行きながら奥へ奥へと進んでいく。
やがて、大きな壁画がある部屋へとたどり着いた。
ここが最深部なの?……だけど行き止まり。
「本当に、手の込んだ事をしてくれるわね」
「この壁画……」
エイトが壁画を見上げていると、付近を彷徨っていた亡霊が語り掛けて来た。
暗黒神ラプソーン、そしてレティス……
亡霊曰くレティスの翼を奪ったものだけがラプソーンに近づけるらしい。
壁画の前には二体の像が設置されていて、そこからは不思議な赤い光が発せられている。
もしかして、この光を壁画にあてれば……。
みんなで手分けして像を動かし、大きく翼を拡げた鳥に光を照射してみると、壁画の前に地下へと続く階段が現れた。
「この先にきっと……」
エイトを先頭にして階段を降りていく。
細い通路を抜けていくと、魔物を象った不気味な像が4体設置された祭壇の様なものがあった。
その奥に更に扉があるのだけど、そこからは禍々しい気配が溢れ出ていた。
「みんな、準備はいい?」
「いつでも行けるわ」
「アッシは問題ないでげす!」
「さっさと終わらせて帰ろうぜ」
「……。」
「ルシア?」
「あ、うん!私も大丈夫よ!」
みんなお互いの状態を入念に確認した後、エイトがゆっくりと扉を開けた。
「何、この部屋……」
部屋の奥に設置されたひな壇には無数の石造が並べられていた。
石造の間には蝋燭が立っており、微かに周囲を照らしている。
天井には水面の様な物が揺らめいており、水を圧縮して出来たような大きな球体が太い管を通じて垂れ下がっている。
その中に身を縮めて、ドルマゲスは静かに目を閉じていた。
「やっと追い詰めたでがす!ここで会ったが百年目。覚悟するでがすよ、ドルマゲス!」
「もう逃がさねぇぞ。てめえは袋のネズミ同然だぜ」
「……兄さんの仇。絶対に、ここでケリをつけてみせる!」
みんなの声が聴こえた様で屈めていた身体を伸ばし、ドルマゲスが目を開けた。
「……おやおや。こんな所まで追ってくる者がいようとは……。確かあなたがたは以前マイエラ修道院で出会ったトロデ王の従者たちでしたね。」
正確にはトロデ王の従者はエイトだけなんだけどね!
ドルマゲスは薄気味悪い笑みを浮かべながら、言葉を続ける。
「なるほど、この私を倒し主の呪いを解こうというわけですが。見上げた忠誠心だ。しかし……今の私には迷惑極まりない!」
「ごちゃごちゃうるさいわ!さっさとそこから出てきて大人しく私達に倒されなさい!」
「身に余る魔力に身体が耐えきれなくなったのでここでこうして癒していたというのに……まぁ、いいでしょう」
ドルマゲスが球体の中から出で来る。
「……おや、そう言えば貴女には借りがありましたね」
ドルマゲスの目線が此方に向けられる。
借り?何の事かしら。
「マイエラ修道院で貴女の一撃が肩を掠めたのを引き金にしてこの身は崩れて行ったのですよ。あの時は大した事ないと思っていたんですがねぇ……」
「そんな事言ってる割に、随分と元気そうに見えるけど?」
私は杖を構えてドルマゲスを見上げる。
すると、ドルマゲスの方も手にしていた杖を少しだけ動かした。
けれど、特に何も起きる気配はない。
「……あっ!」
急に片足に茨が絡みついて来る。
抵抗する間もなく捕らえられた私は、そのままドルマゲスの方へと引きずられて行く。
「ルシアっ……!」
部屋の中にエイトの声が響き渡った。
空中を漂っていたドルマゲスがゆっくりと降下してきて、私の前に立ちはだかる。
「他の連中と違って貴女は少々手強そうだ。あいつらを皆殺しにした後にじっくりと遊んであげますからね」
ドルマゲスの指先が頬に触れたかと思いきや、そのまま首筋を伝い、下へと降りていく。
「くっ……ふざけないでっ!」
咄嗟に片手剣を取り出して茨を断ち切ろうとすると、振り上げた手にも茨が絡みつく。
「そんなに焦らなくても……まずは共に余興を楽しみましょう」
乾いた音を立てて床に落ちた剣を満足気に眺めながら、ドルマゲスは耳障りな笑い声を上げた。