コネクト~希望の光~
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「みんな、好きなところで好きに過ごしてたんじゃないの!?」
「いやー、実はルシアが寝ている間に色々あってだな……」
「色々って何!?分かる様に説明してっ!」
私は気力を振り絞って立ち上がると、ニヤニヤ笑っているククールに詰め寄る。
寝ている間という事は、エイトを助け出して気を失っている間にって事だよね?
「エイトが困ってるみたいだったから力添えをしただけなんだけどな?」
「困ってる……?」
「ルシアがあまりに鈍感だから、どうしたら良いの~ってね!」
「だ、だって!エイトはミーティア姫様の将来を憂いていたんじゃないの!?」
「それはルシアの思い込みよ」
「思い込み!?……そんなぁ……」
再びへたり込む私をみんなが見下ろす。
「本当は王家の山で一泊した時に想いを伝えたかったみたいなんだけどね~。手まで握ったのに全然気づいてもらえなかったって落胆してたのよ?」
エイトの真意を確かめようと、私は力なく彼の顔を見る。
当の本人はどこか困った様に苦笑していた。
「いや……はっきり言わなかった僕が悪いんだけど。でもなんか、ルシア泣いてそうな感じしたし、なんか言えなくなっちゃって」
「お姉ちゃんの代わりって、言ってたじゃない!」
「苦し紛れに言い訳したんだ、ごめん……」
知らなかったのは私だけって事?
なんだか酷くない?とっても仲間外れにされた感じがする!
「だからって、普通みんなに言う!?」
「自分から言った訳じゃなくて……」
エイトが少し視線を泳がせた後、ククールの方へ行き着く。
なるほど、いつもの調子で半ば強引に聞き出したって事ね。
「まぁ、良かったじゃないの!その様子だとやっぱりいいお返事をしたんでしょ?これから部屋割りもエイトとセットでも良いのよ?あ、ウッカリ様子見に行っちゃったらごめんね?」
「何言ってるのーー!!そんな変な事しません!……もう頭来た!今から日が暮れるまで外で特訓ね!目標はレベルカンスト!分かった!?」
「明日決戦なのに特訓するのか?」
「人の事そうやってからかう元気があるならいける!さぁ、行きましょ!」
私は立ちあがると、杖を横にして4人の背中をグイグイと押す。
「おいおい、マジかよ!」
「アッシら昼飯がまだでがす!」
「ルシア、落ち着いて!冷静になるのよ!」
「お話は特訓の後に聞いてあげるね」
この後、私の憂さ晴らしも兼ねて日が暮れるまで延々と戦闘を繰り返した。
レベルカンストは流石に無理だったけど、取り敢えず自信をもってドルマゲスと戦えるくらいには強くなれたんじゃないかな?
宿に帰り着く頃にはみんなもうヘトヘトで、食事もそこそこに早々と寝床へと向かって行った。
「ルシア、なんであなたはそんなに元気なのよ……?」
疲れ果ててしまって髪の毛を乾かす気力もないらしいゼシカが椅子にもたれ掛かっている。
「甘い!その程度の事でバテてたら、明日命を落とすことになるぞ!……返事は?」
「……イエッサー!っていうかずっと聴こうと思ってたんだけど……それ、誰の真似なの?」
特訓をしている間、私はグレン城で鬼教官と名高いランババさんの真似をしていた。
最初のうちは面白がってみんなちゃんと大きな声で返事をしてくれていたけれど、疲労が重なっていく度に段々と声量が落ちて行った。
勿論それを許す筈もなく、みんなを奮い立たせてたんだけどね。
「前にお世話になった鬼教官だよ。ご本人様に比べたら全然優しいと思うけどね」
いきなりネクロバルサを倒して来い!だなんて言ってないし。
あの時は何度も全滅しかけたっけ。
しかもなかなか目当てのアイテムが取れなくて、幾度も戦わざるを得なくて。
魔力も体力も尽きて町に戻って、また向かって。
そんな時期が私にもありました……。
でもそうやって力をつけていくんだよね。
私だって、あの時に比べたら格段に強くなれてるって思えるもの。
だからみんなもいつか、今日という日の特訓をふと思い出した時、ああ、強くなったなぁってしみじみ感じちゃったりするんだよ。
寝落ちしてしまいそうなゼシカの所へ行って、濡れたままの彼女の髪をタオルで包み込む。
「……でも、本当にエイトと相部屋じゃなくて良かったの?」
「え?何?もっと特訓したいって?」
「なんでもございません、鬼教官殿!」
大人しく口を噤んだゼシカの髪が乾く頃には私にも睡魔が襲い掛かってきていた。
すっかり寝入ってしまっているゼシカの肩を揺らし、起こすとベッドへ移動するよう促す。
少し寝ぼけながらもちゃんとベッドの中へ潜り込んだゼシカを見送ったあと、私も自分のベッドへ入り、部屋の灯りを落とした。