コネクト~希望の光~
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人にはそれぞれ役割がある。
私の役割は盟友として、勇者と共にアストルティアを護っていく事なのだと思う。
……私の中でそれはあくまでついでであって、本当はただ姉を取り戻したいだけ。
盟友として活躍すれば色々コネもできるし、アストルティアを巡りやすくなる。
更には賢者様達とも顔見知りになれるから、様々な情報が耳に入って来る。
もしかしたらその中に、お姉ちゃんへと繋がるヒントが紛れているかもしれない。
こんな事、アンルシアの前では口が裂けても言えないけれど。
手を抜いてる訳じゃない。死なない程度に頑張っているだけ。
だから多分、この気持ちは彼女に対する裏切りにはなっていない筈。
だって死んでしまったら、今度こそ二度とお姉ちゃんに会えなくなってしまうから……。
「ルシア?」
「……はい!何でしょう?」
「また考え事してたの?……スープ、冷めちゃうよ」
「えっと……ごめんなさい」
結局やりたいことが思いつかなかった私はエイトとサザンビークの町へ出てきていた。
食事をまだ済ませていなかったから適当なお店に入って、前菜が運ばれてきた……くらいまでは記憶にある。
その後はどうやってエイトを欺いて自分だけが故郷へ帰れるか、そんな事ばかり考えていた。
エイトを騙す事で生まれる罪悪感を、使命を言い訳にして無理矢理抑えようとしていたら……この有り様。
「……ルシア、僕の事置いて行こうって考えてない?」
「ま、まさかっ!そんな事、全然考えてないよ!?」
何この人!!心が読めるの!!??
それとも勇者の眼???エイトって真実を見通す系の人だったっけ?
私は図星を突かれて焦りが顔に出てしまったのか、エイトが溜息を吐く。
「やっぱりね、そんな気がしてた。そんなに嫌がらなくても良いじゃないか……」
「嫌じゃないよ!……昨日も言ったけど、自信がないだけで……」
「……まぁ、そうだよね。アストルティアで僕はきっと足手纏いになるだろうし」
落ち込んでしまうエイトが可哀想に見えてしまう。
彼は私を手伝おうとしてくれているのに、置いてけぼりはやっぱり失礼だよね……。
一先ずここは前向きな話に切り替えようと、アストルティアに行った後の話をしてみる事にした。
「じゃあ、アストルティアへ行ったら、一緒にレグナードを周回して貰うから覚悟してね?」
「レグナード?周回って……?」
「でも、まずは装備品から見直さないとね。耐性装備揃えて、アクセサリーも取りに行かないと!レベルは……向こうでメタル迷宮でも試練の門でも行けばなんとかなるかな!」
「……よくわからないけど、それはルシアがお姉さんを探すのに必要な事なんだよね?」
「勿論!どんな強敵が現れても良いように力をつけておかないと!お姉ちゃんを目前にして退散なんて絶対嫌だからね!」
「うん、そうだよね。……でも、アストルティアの装備品って凄く高いんでしょう?」
「武器一本でエイトが今使ってる剣が500本は買えるかな?物によるけどね」
「そんなにするの!?」
「大丈夫!頑張って稼げば良いの!」
さっきまでスープが冷めるとかなんとか言っていたのに、エイトは食事の手を止めて
すっかり話に夢中になってる。未知の世界に瞳をキラキラさせちゃって。
エイトって、こんな子供みたいな所もあるんだね。
いつもみんなのまとめ役ってイメージしかなかったから、ちょっと意外かも。
食事を終えると、エイトと二人で町中を散策する。
バザーもそろそろ終わってしまうのか、大分賑わいも落ち着き始めた様に感じられた。
「……なんかさ」
「ん?」
何か必要なものはないか見ながら歩いていると、エイトが話を振ってきた。
私はお店に向けていた視線を彼の方へ向ける。
「こうやって歩いてると……デートしてるみたいだなぁ、って」
「えっ……ええええええぇっ!?」
急にエイトが変な事を言い出すから、私は仰天して思わずお腹の底から声を上げてしまった。
周囲の視線を受けて、大慌てで自分の口を塞ぐ。
「そんなに驚かなくても……」
「だ、だってっ……で、でーと?」
「変……かな?」
変っていうか……いきなりデートとか……。
ああ、そっか。エイトは私の事、好きって言ってくれたんだ。
私も一応返事をした訳だから、これはつまり……デートしてる、って事になるの……?
「顔、真っ赤だよ?」
「エイトが変な事言うから驚いちゃったの!」
「手でも繋ぐ?」
「は、はぁ!?繋がないっ!」
「……こないだは手を握っても怒らなかったのに」
「こんな街中で……おかしいでしょ!?」
エイトがふと、前から歩いてくる若いカップルに目を向ける。
私もつられる様にしてそちらに目をやると、二人は互いの腰に腕を回して必要以上に密着して歩いていた。
……あれを私にやれと?
無理無理無理無理無理無理無理!!!
「ほら、さっさと行こう?こんな所で立ち止まってても意味ないんだから!」
「あ、待ってよルシア!」
エイトを置いてズカズカと歩みを進めると、彼は小走りで横に並ぶ。
エイトの事は好きなんだけど、ただ好きってだけでその先は特に何も考えて無いんだよね……。
でも、エイトは違うのかな?
恋人らしく居たいのかな?
手を繋いだり、キスしたり……したいのかな……?