コネクト~希望の光~
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ベッドの中で一人で葛藤している間に眠ってしまったらしく、気づいたらもう夜が明けていた。
どれだけ長い間寝てたんだろう、私。
そんな事を考えながらベッドから起き上がり、シャワーを浴びに浴室へ向かう。
向かっている途中、いつもどこかしらに置いてあるゼシカの荷物が無くて、一人でこの部屋を使っている事に気が付いた。
そっか、今日はお休みって言ってたから……みんな各々行動してるって事ね。
家に帰ったり大切な人に会ったりしてるのかな。
取り敢えずシャワーを浴びながら、今日一日をどうやって過ごすのか考えてみる。
美味しいものでも食べに行く?綺麗な景色を見るのも良いかな。
そこまで考えて、ふと思った。
(……私、ルーラ出来ないんだった)
万が一遠出して明日に間に合わなかったら?
だとしたらやれる事なんて限られてくる。
身体にタオルを巻いて浴室を後にする。
髪を乾かしながらふとテーブルを見ると、装飾が施された何かの羽根が二枚置かれていた。
「……何コレ?」
何となく手に取ってみたけれど、それが羽根であるという事以外は何も分からなかったので、取り敢えず置いておこうと軽く放り投げた次の瞬間。
「え?え?えぇっ!?」
身体がふわりと宙に浮き上がったかと思いきや、そのまま上昇していく。
勿論室内にいるのでそのまま高く飛び上がる事はなく、天井に激突した。
「うぅ……いったぁ!なんなのこれ!意味わかんない!」
突然痛い思いをして腹が立ったのと、とにかく何が起こったのか訳が分からなくて頭部を抑えながら悪態をついていると、勢いよく部屋の扉が開いた。
「ルシア!?今の音、何!?」
「あ、エイト……」
「あ……」
エイトが私を見るなり言葉を失う。
今の衝撃で身体に巻かれたタオルは明後日の方向へ飛んで行ってしまった。
つまり……。
私はあられもない姿をエイトに晒してしまっている。
「ご、ごめん!何か凄い音がしたから……」
「ああ、えっと……良いの!分かってる!分かってるから!」
慌てて此方に背中を向けるエイトになんだか悪い事をしてしまった。
私を心配して駆けつけてくれたのに、到着してみたら変な格好で蹲ってるし。
時々こういう場面に出くわして引っ叩かれたりする展開あるけど、私はちょっと裸見られたくらいじゃ怒らないから安心して!
寧ろこの羽根の方がよっぽど頭にくる!
悪質な嫌がらせにも程があるよ!一体なんだっていうの!
「なんか……この羽根触ったら、急に身体が浮いちゃって……」
衣服に袖を通しながら今起きたことをそのまま話す。
するとエイトは少しの間黙り込んだ後、やってしまったと頭を抱えていた。
「……ルシア、キメラの翼知らないんだっけ?」
「キメラの翼?」
「ルーラと同じ効果があるアイテムなんだけど……そっちの世界には無いんだね……」
「そんな便利なアイテムだったの、これ……」
お招きの翼の上位版って事?なにそれ凄い。
これがあれば一々バシルーラ屋に行かなくても良いのよね?
この世界にこんなハイテクアイテムがあったなんて……!
1000個くらい買い込んでおきたいかも!
「……もうこっち向いて大丈夫だよ」
「あ、うん……」
着替えが済んだので声を掛けると、エイトが恐る恐る此方へ振り向く。
「つまり……今の音はルーラで天井に頭をぶつけた音だったんだね」
「なんか、紛らわしい事してごめんね」
気を付けてるつもりなんだけど、時々やっちゃうのよね。
人の出入りが多いメギストリスの酒場前とかでこの事故が起こると、結構恥ずかしい。
「ルシアもどこか行きたいかなって思って一応往復分置いておいたんだけど……」
「ありがとう、エイト」
まさかエイトも私がキメラの翼を知らないだなんて、想定外だものね。
よくよく見たらお招きの翼にそれとなく形似てるし、どうして気付かなかったんだろう。
羽根系のアイテムは使うと飛ぶ、これ、人生の教訓ね!
「……エイトはどこか出かけるの?」
「トロデ王とミーティア姫と泉に行こうかと思ったんだけど、ドルマゲスを倒せばどうせ元の姿に戻れるから、その時まで楽しみはとっておくって言われて……」
「そうなんだ……エイトは他に会いたい人とかいないの?」
「うーん……僕ね、家族とかよく分からないんだ。物心ついた時にはもうトロデーンにいて家臣としての訓練受けてたから」
「あ……そうだったの。ごめんなさい、私ったら余計な事を……」
そう言えば、あんまりエイトの話って聞いたことなかったかもしれない。
折角いい機会だし聞いてみたい気もするけど、嫌な思い出とかもあるだろうし、詮索は控えた方が良いのかな。
「でも、ミーティア姫もトロデ王も余所者の僕に対してとても善くしてくれたし、感謝してるよ」
二コリと笑みを見せるエイトを見て、私は胸の奥で密かに決意を固める。
この人をこの世界から連れ出しちゃいけない。
いざ帰れる時が来たらそれとなく置いて行こう、って。