コネクト~希望の光~
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いよいよ闇の遺跡に乗り込んでドルマゲスと決戦だというのに、私と来たら熱があるだなんて。
なんて不甲斐ないんだろう。
情けなくて泣いてしまいそうになる私に気付いたエイトが柔らかな笑みを見せてくれる。
「大丈夫だよ、明日は一日お休みになったから。決戦に向けてしっかり休息をとって調子を整えておかないとね」
「ごめんなさい……私のせいで……」
「ううん、ルシアは悪くないよ。最初からそのつもりでいたから。」
先を急ぐだけじゃなくてちゃんと休息を入れられるだけの心の余裕があるところも流石エイトだなぁ、って思う。
私は後先考えずに突っ走っちゃうから、そういう所は見習わないと。
ゼシカにも怒られちゃった事だしね。
「謝らないといけないのは僕の方。……無理させちゃってごめん。危険な目に遭わせちゃったね」
「危険な目に遭ったのはお互い様だよ?……エイトに何かあったら悲しむ人が沢山いるんだから。」
「……ルシア……僕………」
「……ん?」
急に目を伏せるエイトが妙に気になってしまい、私はゆっくりと上体を起こした。
何か言いにくい事でもあるのかな?
あ、そう言えば船で何か言ってて、後で話すとか何とか言ってたような……。
私はじっと彼を見つめて、言葉の続きを待った。
「……君と、行きたい……」
「……え?」
「もし、全部終わって……ルシアが自分の世界に帰れるようになった時……僕も一緒に行きたい」
「それって……アストルティアに、行くって事?」
「僕達の今の旅に付き合ってくれたでしょう?だから今度は僕も……ルシアの事を手伝いたい。一緒にお姉さんを探そう?」
「エイト……」
真っ直ぐなエイトの目を見れば、これが冗談じゃないって事はわかる。気持ちは凄く嬉しい。
嬉しいけど……私と一緒にいるとろくな目に遭わないのもまた事実で。
それに……。
「……エイト、ありがとう。だけど……それは、ダメ。アストルティアはしょっちゅう侵略されそうになってるし、血塗られた歴史も沢山あるところなの。いつも安全でいられる保証なんてないの」
束の間の平和が訪れる事もあるけれど、その間に次の闇が蠢いていて。
招集がかかれば私は行かなくてはならない。
そこにエイトを連れて行くなんて、したくない。
「エイトはエイトの世界で、エイトだけの人生を生きて?私は大丈夫!お姉ちゃんを取り戻すまでは死ぬに死ねないからね!」
「生きて、また会える?」
「……うん、大丈夫」
「ルシアはいつもそうだよね。大丈夫、大丈夫って……全然大丈夫にみえないよ!」
いつもは冷静なエイトが珍しく少しだけ声を荒げる。
「僕はまだ全然ルシアの事知らないけど……分かってないけど、だけど……」
ベッドに上に添えられたエイトの拳が微かに震えている。
私はどうしたらいいものか、必死に頭を巡らせていた。
何が彼をこんな気持ちにさせているの?
狼狽える私を前にエイトは何か、意を決した様子で再び真っ直ぐな眼差しを向けてくる。
今度は何を言い出すのだろうと、私は内心ヒヤヒヤしていた。
「ルシアの事が好きだから、生きていて欲しい。無事で居て欲しい。でも、君が帰ってしまったら……それすら分からなくなる。だから……一緒に生きて、君の無事を確かめていたい」
「え?」
一瞬、時が止まった気がした。
今なんて言ったの……?
ううん、ちゃんと聴こえてた。
私が受け止め切れていないから、混乱してるだけ。
「……それでも、ダメかな?」
「だ、だだっ、ダメっていうか……!」
気持ちは本当に嬉しい。普通の女の子ならきっと舞い上がって即答してる筈だもの。
けれどそれが出来ないのは、自分に課せられた使命が途轍もなく重いものだから。
私だって、エイトの事が好きなんだよ!
好きだから、生きて欲しい。
私もエイトと居られたらどんなに良いかって思う。
でもやっぱり、アストルティアへ連れて行くなんて出来ない。
そうじゃなくてもナドラガ神が復活して攻め滅ぼしに来るかもしれないのに。
その中で彼を護れるだけの力を奮える自信なんてない。
「……ごめん、困らせちゃったね」
何も答えられない私に、エイトが些か申し訳なさそうな様子で目を閉じる。
私は慌てて弁解しようと、何度も顔を左右に振った。
「別に困ってない!ただ……私、アストルティアで貴方を護れる自信がないの。向こうは魔物も強いし、なんかよく分からないけど、私よく高いところから落っこちるし……」
あ、落っこちるのはあんまり関係なかったかな?
私だって好きで何度も自由落下してるワケじゃないからね!
エイトは少し考え込んだ後、再び真摯な瞳を向けて来た。
「……じゃあ、こうしよう。次に僕がルシアと戦って、僕が勝てたら君が何を言おうと一緒に行く。僕が負けたら、潔く諦める」
「ちょっと待って!それって……」
「今の僕じゃまだまだルシアには遠く及ばないから……もう少し先の話になっちゃうけど」
「先って……その間に私が帰ったらどうするの?」
「その時は一緒に行くよ」
「結局ついて来るんじゃない!……ふふふっ……」
「あ、どうせ倒される訳ないって思った?僕、本気で――」
エイトの頬に手を添えて、彼の唇にキスをする。
突然の事に少しむくれ気味だったエイトが硬直しているのがわかる。
「これが、貴方の気持ちに対する私の答えだよ」
「えっと……ルシア……じゃあ……!」
「ごめん、少し寝るね!……おやすみ」
エイトの言葉を遮る様にして私は再び身体を横たえ、頭から布団を被った。
うん、案の定自分のした事に後悔してる。
私の答えだよ☆じゃなーーーい!
柄にもなく何ちょっと大人の余裕みたいの見せちゃってるの??
エイトが好きって気持ちはしまっておくとか言ってたのどこの誰よ?
ぎゃーー!!思い出すと色々恥ずかしい!!!
だけど、その気持ちに嘘はないんだから。
これで……良かったんだよね?