コネクト~希望の光~
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「ルシア、あの人と何を話してたの?……っていうか、なんでそんな端っこにいるのよ?」
泉への入り口付近で佇んでいる私を見つけて、ゼシカが声をかけてきた。
「え?いや、あの……なんていうか、邪魔しちゃいけないかなーって思って」
「邪魔?邪魔って……ああ、そういう事」
ゼシカは再び泉の水を口にしているミーティア姫様に付き添っているエイトに目を向け、直ぐに此方へ視線を戻す。
「なーんだ、ヤキモチ妬いてるの?」
「はぁ?なんで私が?」
「ったく、エイトも隅に置けないよなぁ」
面白そうなネタを嗅ぎ付けたと言わんばかりに、ククールが話に割って入ってきた。
この二人が揃うとちょっと厄介なんだよね……。
どうやってこの場をやり過ごそう?
他に話を振れる人、今はいないし。
「昨夜だって王家の山でエイトとイチャイチャしてたじゃない?」
「い、イチャイチャ!?してない!全然してない!」
「そう言えば二人きりで何か話してたな?」
「……いや、だからその……星が綺麗だなぁ、って言ってただけで……」
「遠目から見た感じ、手を握り合ってなかったかしら?」
「……え」
「暗くてどうせ視えないとでも思ったか?昨夜は月が綺麗な夜だったしな」
少しずつ後退る私を追い詰める様にして、ゼシカとククールがにじり寄って来る。
「さぁ、ルシア!白状して貰うわよ?」
「白状って、何を?」
「そりゃ勿論、エイトとデキてるのかデキてないのか白黒ハッキリしてもらうって事だな。中途半端だと却ってこっちも気を遣うだろ?」
「デキてるなんてそんな!……エイトはただの旅の仲間だから……」
「そうなのか?エイトの方は満更でもない感じだけどな」
「それわかるー。エイトは絶対ルシアに気があるわよ」
「そんなわけないよ!だって、エイトにはミーティア姫様が……」
再び人の姿に戻り、エイトと会話を楽しんでいる姿が目に入る。
ミーティア姫様はとても幸せそうに笑っていて、エイトも心なしかいつもより楽しそうに見えた。
「ほ、ほら!エイト、凄く楽しそうだよ!」
エイト達の方指さしてそう主張する。
二人は一瞬だけエイトとミーティア姫様の方を見てから、満面の笑みを私に向けてくる。
二人の顔はエイト以上に楽しそうに見えた。
「これは……三角関係ってやつね」
「面白くなってきたな」
「三角関係!?誰と誰と誰が!?」
「この話の流れだとエイトとルシアとお姫様以外に誰がいるんだ?」
「いやいやいや!ないない!絶対ない!こんな何処から来たのか分からない如何にも怪しい旅人と一国のお姫様だよ!?選ぶまでもないじゃない!トロルだってそれくらいわかるよ!」
あー、なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
何なのこの夢も希望もない世界は。
早く帰りたい……!!
今までで一番帰りたいって思う、そりゃもう切実に!
「……何してるの」
「あらエイト、もう用事は済んだの?」
いつの間にかエイトが此方へやってきていた。
どうやらミーティア姫様の気も済んだようなので、すっかり聞き損なっていた魔法の鏡の事を聞きに先ほど通りかかった小屋へ行くみたい。
「エイト!鏡の事聞きに行くんだよね?さぁ行きましょ!すぐ行こう!今すぐに!さぁ!」
足早に泉を立ち去ろうとする私の腕をゼシカが掴んだ。
「そんなに焦らなくても良いんじゃないかしら?」
「小屋まで少し距離がある事だし、歩きながら話しの続きでもしてようぜ?」
「もう良いって!しつこいよ二人とも!そろそろ怒るよ!?」
「そんなにムキになるなって」
普段は喧嘩ばっかりしてる癖に、こういう時のゼシカとククールの連携は抜群だ。
……ホント、無駄な連携だよ……。
変な合体技を編み出さないで貰いたい……。
「そうだ!エイトからも何か言ってよ!この二人ったらね……あー、えっと……」
私達、三角関係とか言われてるよ!……とは流石に言えなかった。
言葉を詰まらせる私を見て、ククールとゼシカの笑みが深まる。
「あのその、えっと……そ、そう!私、虐められてるの!助けて!」
「苛めって、俺たちとルシアとじゃレベル差がこーんなにあるのにか?」
「別に誰も虐めてなんかないわよ。ルシアが面白いからつい構いたくなるのよね」
「エイトも戻ってきた事だし、俺たちはそろそろ退散しようぜ?」
「そうね、邪魔しちゃ悪いし!」
そそくさといつもの定位置に戻る二人に若干殺意が芽生える。
不思議そうに首を傾げるエイトと私だけがこの場に取り残された。
そうだ、ヤンガスは……ヤンガスは空いてる?
そう思って視線を少し後ろに向けてみるけれど、ヤンガスはトロデ王と何やら言い合いをしていた。
こういう状態を八方塞がりって言うのね……。
「なんかよく分からないけど……大丈夫?凄く疲れた顔してる」
「平気平気!そんな事より鏡!今一番大事なのは鏡なんだから!」
ククゼシコンビに圧倒されて疲労感を覚えているのは確かだけど、肉体的疲労は全くない。
出来るだけ話しかけにくく、尚且つ離れ過ぎない距離を意識して私は先行した。
っていうかゼシカ、今度覚えてなさいよ!
今日受けた辱めは忘れないから!今後はククールとの仲を冷やかしまくってやるんだから!
そのままさっさとくっついて、結婚でもなんでもしちゃえばいいのよ!全く!
……って、それってただの恋のキューピットじゃない?
仕返しにも何にもなってないよね。
一体私は何を考えているんだろう……。
なんだか急に虚しくなって、小さくため息を吐いた。