コネクト~希望の光~
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「あやつは山へは行かなかったのか?」
「チャゴス王子はちゃんと山へ行って、アルゴリザードを何体も倒されてました」
王様の真摯な問いかけに対しエイトが事情を説明する。
チャゴス王子が最後に手に入れたアルゴンハートを取り出すと、王様に手渡した。
「そうだったのか……自分一人の力ではなくても己で戦ってこれを手にしたか」
厳格な王様の表情が哀に染まっていく。
なんて言葉を掛けたら良いのか分からなくて黙っていると、王様は大きくため息を吐いた後に手にしていたアルゴンハートを自分の懐に収めた。
「そなた達は見事に依頼を果たしてくれた。約束通り魔法の鏡はくれてやろう。魔法の鏡は4階の宝物庫にしまってある。話はつけてあるから好きな時に持っていくがいい」
「ありがとうございます」
「その代わりチャゴスが取ったこのアルゴンハートは貰っておくぞ。チャゴスが忘れた頃にこれをネタにして叱ってやるのだよ。いつになるか分からんがな……」
すっかり疲弊してしまった様子の王様に一礼し、私達は早速宝物庫へと向かった。
これで漸く魔法の鏡が手に入る。
ドルマゲスと対峙する日も目前に迫っている。
「これが魔法の鏡?……どう見ても普通の鏡にしか見えないわね」
丁重に飾られていた鏡を眺めながらゼシカが言った。
うん、私も普通の鏡にしか見えない。
「こんなただの鏡で本当に闇を払えるのか?」
「怪しいでがすな」
「王家の宝ってくらいだし……偽物って事はないと思うけど」
みんなで鏡を眺めながら宝物庫を後にすると、通りかかった学者さん?に呼び止められる。
鏡を見せて欲しいと言われて、エイトがそれを差し出した。
「この鏡からは魔力を感じられないぞ!これではただの鏡と同じではないか!」
「はぁ!?どういう事よ!」
「そんな……折角苦労して鏡を手に入れたのに……エルフの飲み薬で磨いてみたら魔力戻るかしら……」
「流石にそれじゃ戻らないだろ……」
「じゃあエルフの飲み薬に浸す?」
「ちょっとルシア、漬物じゃないんだからね?」
「そうだよね……ごめんなさい」
私達が困っていると、この人の師にあたる人物が魔力の戻し方を知っているかもしれない、という事だった。
ただ、その人はもうお城にはいなくて、森の奥で隠居生活をしているらしい。
こうしていても仕方ないから、取り敢えず森を目指してみる事になった。
さっきの人に教えてもらった通りに西へと進んで行く。
「また遠回りかよ……このままじゃドルマゲスが逃げちまうんじゃないか?」
「それはないんじゃないかしら。あんな大掛かりな仕掛けをして遺跡に籠るくらいだもの。きっとあの場所で何かやらないといけないのよ」
「邪魔をされたくないから結界を張ったってワケか」
「とにかく鏡は手に入れたんだし、またドルマゲスに一歩近づけたのは確かだわ。焦らなくても近いうちにきっと……」
ゼシカの言葉の先は誰もがわかっていた。
ドルマゲスとの決戦の日は近い。
緊張感が高まったのか、みんな黙り込んでしまった。
「……ゼシカはドルマゲスを倒したら何をするの?」
沈黙に耐えきれなくなった私は何となく気になっていた事をゼシカに訊いてみた。
「そうね……まずは兄さんに報告しに行くわ。ちゃんと仇を討てたわって。……そういえば、ルシアの方こそどうするの?」
「え?私?……うーん、ドルマゲスを倒す事でアストルティアに帰れたら良いんだけど……」
そもそもどうしてこっちの世界に来てしまったのかさえ分からないのに、帰る方法なんてあるのかな。
倒せる倒せないより、そっちの方が心配になってしまう。
「ルシアなら大丈夫よ!きっと何とかなるわ!エイトもそう思うわよね?」
「……え?ごめん、聞いてなかった」
「エイト、なんかさっきからぼーっとしてるわね?大丈夫?」
熱でもあるのかと、ゼシカがエイトの額に手を当てる。
特に異常はなかった様で、怪訝そうに彼の顔を見ていた。
「ちょっと、考え事してて……で、何の話?」
「ドルマゲスを倒した後にルシアがちゃんと帰れるかって話してたのよ」
「私は大丈夫だから、今は目の前の事に集中しよう?」
さっきまで不安を感じていたのに、急に前向きに振舞う私にゼシカが少し不満そうな視線を送って来る。
だって、これ以上エイトに心労かけられないもの。
きっとミーティア姫の未来を案じているのだろうに、私の事まで押し付けたらもっと大変になっちゃう。
早く帰らなきゃって焦りがないと言ったら嘘になるけど、でも今はここでやるべきことを果たさないとね。
遭遇した魔物を倒しつつ、暫く歩いているといつの間にか森の中へ来ていた。
道中小屋を見つけたのでそこを訪ねてみたのだけれど、どうやら私達が探している人は留守の様だ。
自称あまのじゃくなスライムは家主が何処へ行ったのか全く教えてくれなかったから、仕方なく私達は小屋を後にしてさらに森の奥へと進んで行く。