コネクト~希望の光~
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目的も果たした事だし、さっさと城へ戻ろうとエイトのルーラで一気にサザンビークへと帰る。
町へ入ると、先日訪れた時よりも一層の賑わいを見せていた。
チャゴス王子曰く、バザーが始まっているらしい。
王子はバザーを見学してから城へ戻るとかなんとか言って、勝手にいなくなってしまった。
「……私、王子について行った方が良かったのかな?」
念の為エイトに訊いてみると、彼は首を左右に大きく振った。
「町中なら魔物もいないだろうし、お城の警備の人もいるし大丈夫だよ。お世話係は解任って事で」
「やった!やっと自由の身になれた!」
漸く面倒……じゃなくて、大事な任務から解放されて伸びをする私にみんなが労わりの言葉をかけてくれた。
「王子もああ言ってたし、私達も適当に買い物して回りましょ」
「それもそうだな。俺たちだけで城へ行っても意味ないし」
「アッシらも自由行動にするでがす!」
「じゃあ、一度解散で」
エイトの許可が下りると直ぐに、みんな町中へと散っていく。
こうやって町中に色んなお店が集まって賑わっているのが何だか物珍しくて、私ものんびり散策してみる事にした。
見たこともない小物や雑貨、様々なジャンルのお店が出店していて、思わずあれこれ買ってしまいそうになる。
武器や防具なんかも売っていたのだけど、今持っている以上の性能のものは置いてなさそうだった。
逆に、私が愛用している杖を珍しがって買い取りたいと言ってきたのだけど、勿論丁重にお断りした。
バザーを訪れていた貴族の様な人も私の杖をコレクションしたいから売ってくれ、とか言って来たので
この杖を買った時の値段を伝えてあげたら大人しく退散していった。
アストルティアの物価を思い知れ!……なんてね。
一通りお店を回って歩き疲れたから、一休みしようと思って人気のなさそうな場所を探していると、ふと見覚えのある服装が目に入った。
「あれって……チャゴス王子?」
「何してるのかしら……」
「気になるね……って、ゼシカ!?」
いつの間にか隣にいたゼシカに驚きつつ、一緒にチャゴス王子の側へ行ってみる事にする。
エイトとヤンガスも近くにいたみたいで先に王子の元へたどり着いていた。
王子の背後には、痩せ細った商人が立っていてその手には分厚い紙幣の束があった。
「おお、お前達か。ちょうどいいところに来た。これが何だかわかるか?」
そう言うと、チャゴス王子は手の中にあった大きな赤い宝石を見せ付けてくる。
「それ……アルゴンハート?」
エイトが訊くとチャゴス王子はウンウン、と大袈裟に頷いて見せる。
「実物を目にして来たお前達なら、これがニセモノでない事くらいわかるだろう?」
「……チャゴス王子……でも、それは……」
いけない事をしている、という自覚は無さそうだね。
正直ここまでとは思わなかった。
周りに認められたくて嫌々ながらも頑張ってアルゴリザードと戦って、アルゴンハートを手に入れて。
その苦労を簡単に捨ててしまうんだね。
「今まで手に入れたアルゴンハートはお前達にくれてやる。この事はくれぐれも内密にな」
怪しい商人と取引をして手にしたアルゴンハートを誇らしげに持ち帰って行くチャゴス王子の背中を見送る。
チャゴス王子から大金を受け取った商人はご満悦な様子でこの場を去って行った。
「あーあ、ありゃもう完全に性根が腐ってやがるな」
少し離れた場所から様子を見ていたらしいククールが呆れ顔でこちらへ歩いて来た。
「チャゴス王子も城に戻ったんだろ?俺達もさっさと城へ行って魔法の鏡とやらを拝借しようぜ」
「そうだね……」
珍しくエイトが疲れたような、何処か浮かない表情を見せた。
私達にとってはチャゴス王子の性格がクズだろうとゴミ以下だろうとどうでも良いことだけれど、エイトにとってはあの人は大切な人の婚約者だものね。
あんなところを見せられて、将来を悲観してしまっても仕方ない。
王様の元へ行くと、チャゴス王子が手に入れてきたアルゴンハートを早速お披露目していた。
周囲からは驚嘆する声や宝石の美しさに魅入られて感嘆する声が漏れていた。
けれど、王様だけは目の前に差し出されたアルゴンハートを目にしても表情一つ変えなかった。
それどころかどこか落胆したような様子でチャゴス王子を下がらせた。
玉座の入り口で待機していた私達の姿を目にするなり、呼びつけられる。
「一体どういう事か説明しろ。わしは屋上から見ておったのだぞ」
王様は表情こそ変えないものの、その声からは怒りの感情が伝わって来る。
さっきの事、見てたんだね。
あんなの見せられたらショックだよね……。
私でさえ落胆したのだから、王様の受けた心の傷は計り知れない。