コネクト~希望の光~
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「……んー……寒い」
外気にあてられて、私は思わず毛布を手繰り寄せた。
やっぱり山で迎える朝は寒い。
でも、そろそろ起きないと。
そんな風に思っていても、なかなか瞼が開いてくれない。
「この暴れ馬め!」
「……ん?」
微睡んでいる中に怒号が交じり、私は一気に現実へ引き戻された。
身体を起こして辺りを見回してみると、事もあろうにチャゴス王子がミーティア姫の背に乗り込み、ムチを撓らせていた。
エイトも目を覚ましたらしく、メタルスライム並みの速さで現場へ向かっていくのが見えた。
チャゴス王子、朝から何やってるの……。
「あらルシア、起きたのね」
既に起きていたらしいゼシカが未だに朦朧としている私を見下ろしている。
「早く目が覚めたから、そこら辺を散歩してきたのよ。で、戻ってみたら……」
ゼシカが呆れたようにチャゴス王子の方へ目を向ける。
ミーティア姫に振り落とされて憤る王子をエイトが諫めていた。
「こりゃ破談確定だな」
ククールも起きていたみたいで、苦笑しながらエイト達を見守っていた。
って言うか二人とも、先に起きてたなら見てないで助けてあげれば良いのに……。
なんだか収拾がつかなくなりそうなので助太刀に入ろうと私が立ち上がると、急に地響きが起こる。
「なっ、何……!?」
よろめくゼシカの肩をククールがごく自然に支えていた。
それを当然の様に払いながらゼシカが体勢を立て直し、辺りの様子を伺っていた。
と、何処からか咆哮の様な物が聴こえてくる。
明らかにヒトのものではないそれを耳に捉えて、一行に困惑の色が見て取れた。
この咆哮……まさか、トカゲの巣にレグナードが紛れてました!なんて事はないよね?
確かにアルゴンハートも綺麗だけど、レグナライトを持ち帰れたら
チャゴス王子も、国はおろか世界の人が彼を一人前だと認めるんだろうなぁ。
……倒せたら、の話だけど。
私が一人そんなどうでも良い事を考えている間に、他のみんなは声の主を確かめに先に行ってしまった。
チャゴス王子の事もあるし、私も急いでみんなの後を追いかける。
すると、少し離れた所に深紅の巨大な尻尾をうねらせながら、貫禄たっぷりに歩いているアルゴリザードを発見した。
「見ろ!アイツを倒せばきっと巨大なアルゴンハートが手に入るに違いない!」
「……レグナードじゃなくて良かった」
「レグナード?」
「あ、ごめん!独り言!」
つい口をついて出てしまった言葉をゼシカに聞かれてしまい、ツッコミを入れられてしまう。
適当に笑ってその場をやり過ごすと、私は昨日倒していた個体よりも大分大きいアルゴリザードを観察する。
うん、大きさ的にもリザードファッツの色違いって所かな。
攻撃力が高そうだけど、きっとそんなに素早くないだろうし。
炎とか雄叫びにさえ気を付けていればそこまで苦戦はしなさそう……かも。
「世話係!アイツを狩るぞ!」
「ええっ!?もう!また!」
真っ先に飛び出して行くチャゴス王子に呆れつつ、私は彼の後に続く。
「危ないですから、迂闊に近寄らないで下さい!腸を食い破られますよ!」
「ふん!そうならない様にお前たちがいるのであろう?」
「そうですけど、あまり無茶をされると護り切れません!」
大きく尻尾を振りかぶって私達を薙ぎ払おうとしてくるのを感知した私は、自分の身を盾にして攻撃を受ける。
思った以上に吹き飛ばされた私を見て怯んでしまったのか、王子はその場から動けなくなってしまったみたいだ。
「いけない……!」
このままじゃ本当に腸を食い破られる!
でも、この距離じゃ間に合わない!
敵の牙が王子に迫る。
「メラミっ!」
ゼシカの放った魔法が顔に命中し、敵が一瞬そちらに気を取られる。
「ルシア、手伝うよ!」
エイトが一緒に王子の元へ駆けつけてくれた。
二人で王子の身体を運びながら、安全な場所まで避難させる。
それにしても、この人本当に重い!エイトが居てくれなかったら絶対運べなかったよ……。
「ルシア、大丈夫だった?」
「平気だよ!頑丈なだけが取り柄だからね!」
「……無理しないでね」
他にも何か言いたそうだったけれど、エイトは武器を取り出して戦場へと戻っていった。
私も本当は一緒に赴きたかったけれど、ここで王子に付いてないといけないし。
なんか昨日から無駄に傷を受けて撤退を繰り返してる気がする。
いや、王子を護るのが今のお仕事だし、無駄ではないのかな?
まだ呆然と腰を抜かしている王子を見て、なんとなくだけど自分が駆け出しの頃を思い出し、少しだけ笑ってしまう。
「な、なんだ貴様!このぼくを笑うのか!?」
「いえ、そうじゃなくて。……私もこんな時期があったなぁ、なんて思ってみたりして」
「お前みたいな下賤な者と一緒にするな!」
「はいはい、そうですね。失礼致しました」
いつもの調子を取り戻したらしい王子を宥めている間に戦闘が終わったらしく、エイトの手の中には昨日手に入れたものの数倍大きなアルゴンハートがあった。
王子はそれを見るなり瞳を輝かせて、それを即座に奪い取る。
「おお!これだ!僕が求めていたものは!……これなら父上も大臣もぼくを見直す筈だ!」
嬉しそうにしているチャゴス王子を見ていると、こっちも苦労させられたかいがある、と不思議な事に思ってしまった。
やだ、こんな風に思っちゃうなんていつの間にか洗脳でもされちゃったのかな……。