コネクト~希望の光~
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外のみんなはずっと歩き通しだったので、一旦休憩を取る事になった。
さっさとこの依頼を終わらせて目当てのものを手に入れたいのか些か険悪な雰囲気が漂っているように感じた。
気持ちはよく分かる。
その鏡があれば漸くドルマゲスに追い詰める事が出来るのだから。
不憫な想いをしている王様もお姫様も元に戻って、ゼシカはお兄さんの仇を討つことが出来て、ククールに与えられた任務も終わって。
ドルマゲスの討伐はみんなの旅の終着点。
その時、私はどうなるのかな?
……ちゃんとアストルティアに帰れるのかな。
私はお姉ちゃんを取り戻せるまでは、きっと何処へでも行くのだと思う。
でも、ここにお姉ちゃんはいない。
だから本当はこんな所で油を売ってる余裕はない筈なのに。
「ルシア、ごめんね。疲れたでしょう?」
適当な場所で休んでいると、エイトが心配そうに覗き込んできた。
私は首を左右に振って、大丈夫、と答える。
「戦闘繰り返してるエイト達の方が大変でしょう?」
「あの王子の相手してるくらいなら、戦ってた方が疲れないんじゃないかなって思うんだけど」
「……それは、そうかも」
少し離れた所でヤンガスやトロデ王を前に自慢話をしているチャゴス王子が視界に入ると、思わず苦笑してしまう。
ヤンガスはともかく、トロデ王にあんな態度取るって……。
同行している御者が婚約者の父親だなんて微塵も思ってもみないんだろうな。
あの王子様は世界情勢とかあんまり知ら無さそうだしね。
「……そうだ、これ」
自分はチャゴス王子のお守りがあるから、戦闘に参加できない代わりにエイトに魔法の聖水を大量に手渡しておく。
「こんなに沢山……良いの?」
「エイトは攻撃に回復にって忙しいからあっても困らないでしょう?MPがあれば……って後悔する場面に立ち会わないように持っておいて損はないと思うの」
「だってこれ、貴重なものじゃないの?」
確かにこの世界に来てから魔法の聖水が店売りされてる所は見てないかもしれない。
「私の世界は武技とか魔法ばっかり使って戦うから、冒険者は大量に持ち歩いてるのが普通なの。だから別に貴重なものじゃないよ」
他にも賢者の聖水とか、妖精の霊薬とかも持ってるしね。
遠慮がちにアイテムを受け取るエイトに笑顔を向けると、彼はどこか申し訳なさそうにしながらも笑み返してくれた。
チャゴス王子の気も済んだようなので、私達は再び歩みを進めた。
少し経ってついに目的地の王家の山へ辿り着いた。
チャゴス王子は馬車から降りるなり、みんなにトカゲエキス、っていう変な粉を振りかけてくる。
「なによこれっ……クサッ!」
ゼシカが明らかに嫌そうな顔をしながら粉塗れになった服を軽く叩いていた。
「アルゴリザードは人間の匂いに敏感で近づくだけでも逃げ出してしまう。この粉で匂いを消して戦えるようになるという寸法だ」
「悪知恵だけはちゃんと働くんでがすね」
「何か言ったか?」
「さっさと行って終わらせようぜ」
睨み合うチャゴス王子とヤンガスの間に入ったククールが石で出来た鳥居の様なものを潜って山の中へと入っていく。
私達もその後に続くと、赤いからだと白くて丸いお腹が特徴的なトカゲが此方を見据えていた。
「いたぞ!あれがアルゴリザードだ!」
「そんなに大きな声を出すと……あーあ」
チャゴス王子の声に驚いてアルゴリザードは即座に逃げ出してしまう。
折角くさいエキスを浴びたのに、これじゃあ意味ないじゃない……。
幸いな事にアルゴリザードはそんなに遠くへは行っておらず、少し離れた場所でじっとしていた。
不意をつくみたいでちょっと卑怯な気もするけど、今度はそっと背後から近づく。
「……今だ!」
エイトが合図を送ると、みんなそれぞれ戦闘態勢に入る。
此方に気付いたアルゴリザードも今度は逃げ出さずに襲い掛かってきた。
「忌々しいトカゲめ!!覚悟しろ!」
「えぇっ!?ちょっと、王子!」
短剣を手にアルゴリザードに斬りかかっていくチャゴス王子を見て、私も一緒に駆けだす。
怪我でもされたらそれこそ魔法の鏡どころじゃなくなっちゃう!
アルゴリザードがチャゴス王子に一早く気が付いて、爪を振り下ろそうとしている。
地面を強く蹴って、なんとかチャゴス王子の前に出ると私は代わりに攻撃を受けた。
「ルシア!?大丈夫!?」
「大丈夫!掠り傷だから!……もう、無茶しないで下さい!」
心配して声をかけてくれたゼシカに返事をすると、強引にチャゴス王子の腕を掴んで安全な場所まで引きずっていく。
「大丈夫、なのか……?」
私の肩から胸にかけて刻まれた引っ搔き傷を見て、王子の顔色が変わる。
痛いけど、見た目ほど大した傷じゃない。
私は傷をさっと癒してみせると、出来るだけ柔らかな表情を心がけて王子を見た。
「ご無事で何よりでした」
「……ふ、ふん!あんなトカゲ、このぼくにかかれば……」
傷が消えてどうやらいつもの調子を取り戻したらしい王子を見て、私は胸中で安堵した。
変なトラウマ植え付けても良くないし、ね。
王族は王族らしく、お城で民の為に働いていて下さいな!
少し経ってアルゴリザードを倒したらしいエイト達が真っ赤な宝石を手に此方へやって来た。