コネクト~希望の光~
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暫く歩いて行くと大きなお城が見えてきた。
多分、ここがサザンビークなんだと思う。
トロデ王様とエイトが話しているのが聴こえちゃったんだけど、ここにミーティア姫の婚約者がいるらしい。
どんな人なんだろう。
お城へ行けば会えたりするのかな?
っていうか、ミーティア姫に婚約者なんて居たんだね。
全然知らなかった。
いつも通り、トロデ王達には町の外で待機していてもらい、私達は町中へ入っていく。
なかなか賑わいのある街だった。
なんだか商人みたいな人の出入りが多いような?
近いうちに何かあるのかな?
そんな事を思いつつ、私達はお城を目指した。
城門へ辿り着くと、すんなりと中へ入れて貰えた。
この国の王子が行方不明だったとかでつい最近までお城は封鎖されていたらしい。
このタイミングで発見されてくれて良かった。
お城に入れなくてまた八方塞がりなんて、そんな事態になったらみんな暴れ出してしまいそうだもの。
王座を目指している途中、使用人達の話を小耳に挟んだのだけど。
この国の王子、チャゴス王子はあまり評判が良くないみたい。
行方不明事件の時はタルの中から発見されたとか。
隠れんぼでもしてて開かなくなっちゃったのかな?
玉座へと続く扉の前に立つと、足取りが重くなるのを感じる。
「はぁ、王族との謁見は緊張するな……」
「ルシアはそういうのも慣れてそうなのに」
「うーん……なんていうか、あの雰囲気が苦手っていうか……」
さっき、お城の中を歩いている時に王家の人達の肖像画が飾ってあったのを見かけた。
そこにとても厳格そうな人が描かれていたからちょっとだけ緊張しちゃってる。
「トロデ王とは普通に接してるじゃない?」
「トロデ王様はとても優しい方だと思うし、ずっと一緒にいるから慣れたんだと思う」
ゼシカとお話しているとエイトが扉に手を添えて此方を見ていた。
私は慌てて会話を止めて、コクコクと頷く。
エイトは僅かに笑みを見せるとゆっくりと扉を開けた。
(あの人がサザンビークの王様……怖そう……)
大臣と思わしき人物と何かを話し込んでいた王様が私達に気付くなり、急に椅子から立ち上がると驚いた様に目を見開いた。
エイトの事をじっと見ているみたいだけど……もしかして、知り合い?
「そんな筈がない……よく見れば全然似ていないではないか」
王様はぶつぶつと独り言を口にすると、再び王座に腰かける。
エイトが事情を説明し、魔法の鏡を借りられないかと交渉に出たけれど、やっぱりというか断られてしまった。
凡その返事は予想出来ていたせいか、みんな悔しそうに俯くだけだった。
「サーベルト兄さんの仇を討つには魔法の鏡が必要なのに……!」
ゼシカがぽつりと呟くと、王様は少し考えた後に条件を提示してきた。
この城は今、王子チャゴス様の事で頭を抱えているらしい。
王者の品格を示す為に行われているという王者の儀式を、王子様が拒み続けているのだとか。
その手伝いをすれば、魔法の鏡は借してもらえるみたい。
私達はその条件を呑むしかなかった。
エイトが承諾したのを確認すると、王様が王子を呼んでくる様に使いの人に命令する。
「チャゴス王子って、どんな人なのかしら?」
「噂を聞いた限りだとろくでもなさそうだけどね」
ゼシカと小声で話していたのにも関わらず、話が聴こえてしまったのか大臣が咳ばらいをした。
私はバツが悪そうに笑うと、大人しく王子が来るのを待つ。
けれど、待てど暮らせど王子は一向に姿を見せなかった。
と、外からバタバタと足音が聴こえてくる。
程なくして玉座の間に先ほどの使いの人が息を切らして飛び込んできた。
「大変です!チャゴス王子が!此方へお連れする途中、逃げられてしまい……見失ってしまいました」
「バカ者が!……チャゴスがいないと話にならんというのに」
疲れた様な王様になんだか同情してしまい、私はチャゴス王子を探す手伝いを申し出た。
このままここで待っているのもどうかと思うし、結局皆で手分けして探すことになった。
広いお城を歩き回り、チャゴス王子を探す。
でも、チャゴス王子ってどんな人なんだろう?
会った事ない人を探すなんて、ちょっと無謀だったかな。
私は一度立ち止まって辺りを見回していると、急に背後にある部屋から悲鳴が聞こえてきた。
何事かと振り返ると、中から小太りの男の人が飛び出してきて、勢いよく私とぶつかる。
「きゃああっ!?」
流石にびっくりして悲鳴を上げてしまい、私はそのまま男の人に押し倒される形で倒れ込んでしまった。
「うぅっ……いったぁっ……」
「全く、何をぼやっとしているんだ!危ないだろう!……お?おおっ!?」
「あっ、ちょっ……!」
相手の人がちょうど私の胸の上に手を付いていたらしく、その事に気付いた私は顔が熱くなるのがわかる。
「こ、この水風船のような感触……!手の内から零れ出る質量!」
「あ、あの……!失礼ですけど、退いてください!」
見ず知らずの人に突然セクハラを受けて動揺する私に気付いたのか、その人は漸く我に返り私の上から退いた。
「いた!チャゴス王子だ!」
「チャゴス……王子?」
「いかにも!この僕が……」
座ったまま王子を見上げている私に偉そうな自己紹介を始めようとしていたチャゴス王子はお城の人に取り囲まれて玉座の間へと連れていかれた。
「ルシアも大変だな」
「……見てたなら助けてよ!」
事の一部始終を見ていたらしいククールがひょっこり姿を見せた。
座り込んだままの私に手を差し伸べてくるので、素直にその手を借りて立ち上がる。
「思いっきり揉まれたな」
ククールが私の胸元に目線を落としながら笑う。
私はククールに背中を向けて、小さくため息を吐いた。
「……忘れようとしてるんだから言わないで……」
「羞恥心に塗れたイイ顔してたぜ?思い出すとゾクゾクするな」
「もう!いい加減にしないと怒るよ!」
からかってくるククールを置き去りにして、私は玉座の間の扉の前で他の皆を待つことにした。
チャゴス王子が発見されたと聞いたみたいで、エイトやゼシカ、ヤンガスとも合流する。