コネクト~希望の光~
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北へ向かって船を動かしていくと、やがて小さな島が見えてきた。
枯れ木と岩だけしかない殺風景なその島はどこか寂しくて、とても不気味に見えた。
と、私達の他にも船が着いていた。
きっとベルガラックのオーナーの子供たちが放った追っ手の人達なのかな。
彼等は遺跡の中へ入るのを躊躇っている様だったけど、私達は構わず進んだ。
朽ち果てた石の砦を潜ると、小さな建物が見えた。
そこに道化師が……ドルマゲスの姿があった。
「ドルマゲス!漸く見付けたわ!」
ゼシカがそう叫ぶと、ドルマゲス此方を少しだけ振り返り、嫌な笑みを浮かべて遺跡の中へと消えて行く。
その時、ドルマゲスが手にしていた杖が怪しく輝いているのが見えた。
みんなで頷き合い、私達も後を追いかける。
遺跡の中は真っ暗だった。
「みんな、はぐれないように気を付けて」
エイトの声に返事をすると、出来るだけ纏まって中を歩く。
少し行くと、光が見えてきた。
あそこにドルマゲスが!
みんなで光を目指して駆けていく。
けれど、そこは先ほどまでいた入り口だった。
「どういう事?どうして先へ進めないのよ!」
「さっき、あの杖が光ってた……もしかすると何か術をかけたのかも」
エイトの冷静な解釈にみんな納得した。
ゼシカとヤンガスが悔しそうに建物を見つめている。
「何処までも嫌な奴でげす!」
「それで?どうするんだ?このまま放っておくってワケにもいかないよな?」
「この中にいるってわかってるのに、手も足も出せないなんて……」
この手の罠には遭遇した事がないから私は何も助言出来なかった。
すると、先程出会った討伐隊の人達がやって来た。
私達が遺跡に入っていくのを見て、後を追いかけてきたらしい。
立ち往生している私達を不思議に思ったのか、訳を訊かれたので、エイトが簡潔に事情を説明する。
「サザンビークの秘宝に光を放つ魔法の鏡があるらしい。それを使えば、或いは……」
「暗闇を払うには光を、って事か」
「他に手掛かりもないし……行ってみよう」
そうと決まれば早速向かおうと、私達は島を後にした。
ドルマゲスはあの遺跡の中で何をしているんだろう?
私には皆目見当もつかない。
「あら、ここに居たのね」
甲板で海を眺めていた私の元へゼシカがやってきた。
「魔法の鏡、手に入ると良いね」
「一筋縄ではいかないでしょうね。月影のハープでさえ遠回りする事になった訳だし……なんていうか、絶対邪魔が入るのよ」
「そうかも。なんか上手くいかないよね」
ゼシカとそんな話をしていると、突然船が停止した。
どうやら魔物が襲い掛かってきたらしい。
武器を手にし、魔物の姿を捉えるなり呪文を放つ。
やっと追い詰めたと思ったのに、遺跡の中に入れなくてみんなストレスが溜まっていたのかいつもより派手に戦っていた。
「ったく、めんどくせーな!」
ククールが剣で敵を薙ぎ払いながら悪態をつく。
「つべこべ言わずにさっさと倒しちゃいなさいよ!はい、バイキルト!」
ゼシカから補助魔法をもらうと、ククールは先ほどまでの不機嫌そうな顔は何処へ行ったの?ってくらい上機嫌になった。
「サンキュー!」
「単純で扱いやすいわ。流石ケーハクね!」
「それ、褒めてるの?」
「まさかっ」
「二人とも、お喋りはそれくらいにしてね」
ゼシカと話していると、エイトから注意が入る。
私は素直に謝罪すると、いつもの様に暴走魔法陣を展開した。
「ガンガン行くわよ!」
「頑張ろうね!」
魔法陣を重ね置きし、その上でゼシカと二人呪文を唱える。
荒々しく発動される呪文が容赦なく魔物に命中していく。
「これ、本当に気持ちいいわね!……メラミ!」
「ドルモーア!」
消えていく魔物を確認すると、ここは任せて私は剣に持ち替える。
あんなに怠かった腕はすっかり良くなっていて、エイトに心底感謝した。
前線に出てきた私を見て、ククールが後退し補助に入ってくれる。
「怪我すんなよ?スクルト!」
「ルシア、やっちゃいなさい!バイキルト!」
「うん、ありがとう!」
エイトは安定した戦いぶりを見せていたので、動きの速い敵に苦戦していたヤンガスの補佐に入る事にした。
「すまねぇでげす」
「無理しないで、ベホイミ!」
負傷していたヤンガスを癒し、私達を翻弄しようと動き回る魔物を追いかける。
私に追いつかれると思っていなかったらしく、一瞬動揺したような素振りを見せた。
それを躊躇なく切り伏せて、ふと周りを見ると粗方の敵は片付いている様だった。
「今ので最後?……お疲れ様」
刀身に付着した血を払い、私は剣を鞘に納める。
魔物の気配が消えて、みんなも武器をしまっていた。
「やれやれ、本当だったら今頃ドルマゲスの奴を叩きのめしていた筈だったんだけどな」
「全くだわ。さっさと魔法の鏡とやらを手に入れて今度こそアイツを追い詰めてやりましょ」
私達は一度ベルガラックへ戻り、其処から陸路を辿ってサザンビークを目指す事になった。
地図を見ながら先頭を歩くエイトの後ろをみんなでついて行く。
「今日はエイトとお喋りしないのか?」
私がぼんやり歩いていると、ククールが話しかけてきた。
っていうか、そんな言われる程エイトと話してるかな、私。
ゼシカとはいっぱい喋ってる気がするけど。
「エイト、今道考えてるみたいだから……邪魔しちゃいけないし」
「じゃあ、俺が代わりにお相手しよう」
「……間に合ってます」
ククールを振り切り、私はトロデ王と会話をしていたゼシカの横に並ぶ。
「あら、どうしたのルシア?」
「ククールがセクハラしてくるの!」
「なんですって?」
ゼシカが後ろを向き、ククールを睨む。
「いや、まだ何もしてないだろ?」
「まだって事はこれからするって事?最低ね!」
ゼシカが手の中に炎を生み出す。
それを目にしたらしいエイトが慌てて此方へ駆け寄り、ゼシカを止める。
「魔力の無駄遣いは禁止!……ククールも、余計な事しないようにして」
「なんで俺まで怒られるんだよ?まだ何にもしてないのに」
「だから!そのまだって何なのよ!」
「あーもうっ!うるさい!分かったから二人とも仲良くして!」
「なんか……ごめんね」
私がゼシカに余計な事を言ったせいで、揉めだしちゃった。
そうだよね、今はみんなピリピリしてるんだもん。
もっと配慮するべきだった。
まぁ、セクハラは嫌だけど……。