コネクト~希望の光~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「突然どうしたの?」
「ごめんなさい……ちょっと、ね」
「困ったことがあるなら言って。力になるから」
貴方が好きです、なんて言ったらエイトはどんな顔をするのかな。
やっぱりと言うか、恥ずかしくてエイトの顔を見る事が出来なかった。
俯いたまま、無言でエイトの隣を歩く。
また面倒かけさせちゃってごめんなさい、とか
色々言葉は浮かんでくるけどすぐに消えて行ってしまう。
恋ってこんなにもどかしくて、苦しいものなのね……。
「ルシア……あの、さ……」
「な……何?」
何を言おうとしてるんだろう?
なんとなく言葉の続きを訊くのが怖くて、また逃げ出してしまいそうになる。
「ルシアは……なんていうか……」
何かエイトが言いにくそうにしてる。
もう、言いたいことがあるなら早く言って!もどかしいよ!
彼の一言で私は天国にも地獄にも逝けるなんて、よく考えると凄い事だよね。
「……僕の事、嫌い?」
「……え?」
「さっき、ダッシュで外出て行ったのって、ゼシカに冷やかされて怒ったのかなって……」
「そんなことない!嫌いだなんてあり得ない!エイトの事はちゃんと好きだよ!」
「ルシア……」
あれ、なんか私、今サラッと恐ろしい事口走らなかった?
エイトが驚いた様な顔でこっちを見てる。
これは別に愛の告白とかじゃなくて、そう!仲間としてって意味!
訂正しなくても、エイトならわかるよね……?
「良かった、安心した」
「そ、そう?それなら……良いの……」
にっこり笑うエイトにこっちも安堵した。
多分、エイトより私の方がとっても安心してる。
この反応は仲間として、って捉えてくれたんだよね?
まさか私がエイトの事好きだなんて、察知されてないよね?
「じゃあ、帰ろう?」
エイトが手を差し伸べてくる。
私はドキドキしながらその手を取った。
前にもこんな事があったような気がするけど、あの時と気持ちが全然違う。
嬉しいような、悲しいような、複雑な心境。
エイトと居られて嬉しい反面、ミーティア姫に申し訳なく思ってしまう。
それに、私はずっと此処には居られない。
いつかは離れ離れになるのだから。
エイトの手を、少しだけ強く握り返した。
今、感じている幸せを大切にしよう。
そして、この気持ちは心の奥底へ閉まっておこう。
私の中の優しい思い出として。
宿に帰り着くと、部屋の前でエイトと別れた。
「おやすみ、また明日ね」
「腕、治してくれてありがとう。おやすみなさい」
いつも通り挨拶を交わし、エイトの背中が部屋へ消えていくのをじっと見送っていた。
私は小さく息を吐くと、女子部屋の扉を開ける。
「あら、ルシア。おかえりー」
「もー!おかえりーじゃないよ!」
「だって、ルシアったら顔真っ赤にして照れてるんだもの。ついからかってみたくなっちゃった」
ベッドの上で寛いでるゼシカを見ながら、私はまた溜息を吐いてしまう。
なんか、凄く疲れた……。
今度こそ寝ちゃおう。
私も自分のベッドに上がり、身体を横たえる。
「で?で?エイトと何話したの?」
「何って……特に何も……」
「ルシアが突然出て行っちゃうから、エイト凄く心配してたのよ?何か悪い事しちゃったかってね」
エイトにまた要らぬ心労をかけちゃったんだね、私。
明日改めてお詫びしよう。
「ゼシカ、今後は冷やかし禁止ね!……私もククールとゼシカの仲を冷やかしまくっていいなら話は別だけど」
「ちょっと!なんで私があんな軽薄男とセットにされないといけないのよっ!冗談じゃないわ!」
「あれー?なんかゼシカも顔赤いよ?もしかして、ククールの事が……?」
「頭に血が上っただけよ!……もう今日は寝るわ、おやすみ!」
怒って布団を頭から被ってしまうゼシカに思わず笑みが零れてしまう。
この反応はもう、絶対ククールに気があるよね。
今後どんなふうに進展していくのかちょっと楽しみかもしれない。
ゼシカも寝てしまった様だから、部屋の明かりを消して私もベッドに潜り込んだ。
手の中にはまだエイトの温もりが微かに残っていて、私はそれを胸に当てて目を閉じた。
翌朝、身支度を整えて軽く朝食を済ませた私達は闇の遺跡へと向かって出発した。