コネクト~希望の光~
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「良かった、まだ起きてた」
「あら、エイト。何かあった?」
「ルシア、腕大丈夫かなって思って」
エイトが私の事を気にかけて、様子を見に来てくれたみたいだった。
ゼシカがエイトを部屋へ招き入れると、彼が私の方へやってくる。
「まだ痺れてる?」
「ちょっとだけ。でも、寝れば治るから!」
「ダメだよ。これが元で二度と剣を扱えなくなったりするんだよ?ちゃんとケアしておいた方が良いよ」
ごく自然の動作でエイトが私の手を取り、治癒魔法をかけてくれる。
エイトの魔法はとても優しくて、暖かだった。
「……貴方達、こうして見てると恋人同士みたいよね」
「ちょっ……ゼシカ、何言ってるの!?」
ゼシカの何気ない一言に顔が熱くなる。
エイトは気を悪くしていないだろうかと思い、恐る恐る彼の方を見てみると
魔法に集中しているらしく、真剣な顔をしていた。
そんなエイトを前に、私の鼓動は更に早まる。
「もう、変な事言わないで……恥ずかしくなっちゃうよ」
「なになに?ルシアったら、照れてるの?」
楽しそうに此方を眺めているゼシカを恨めしく思う。
もしも部屋に来てくれたのがククールだったらもっと罵声が飛び交っていたんだろうなぁ、とか考えて、気を紛らわそうとするけれど、一度意識してしまうともうそこから思考が離れられない。
「あ……エイト、あの……」
「ごめん、痛かったかな」
「そうじゃなくて、えっと……もう、大丈夫だから……」
エイトに触れられている腕が妙にくすぐったくて、恥ずかしくて。
魔法の光が収まるのを見て、私は密かに胸を撫で下ろす。
「後は軽くマッサージしておくね」
「え?」
てっきり終わった物とばかり思っていたので、素っ頓狂な声が出てしまった。
ますます顔が熱くなる私を見て、ゼシカがニヤニヤ笑っているのが嫌でもわかる。
「い、いいよ!エイトだって疲れてるんだから、もう……大丈夫……だから……」
「城にいた頃よく調理場のおばちゃんにやってあげてたんだよ。フライパンが重くて腕が怠いって言っててさ」
「そ、そうなんだ……」
調理場のおばちゃん、ね。
なんだか複雑な心境になりつつ、今のエイトの発言のお陰で大分緊張が解けた。
「あ……結構気持ちいいかも……」
「もー!エイト!もっと色気のある事言えないワケ!?」
折角面白かったのにと、ゼシカが肩を落としているのが視えた。
そんな彼女に私は内心ざまぁみろと思いつつ、エイトに身を委ねる。
「ルシア、寝ちゃっても平気だよ?」
「う、うん……ありがとう……」
エイトに見上げられて、また鼓動が早まる。
なんでこんなにドキドキしちゃうの?
そう言えば、男の人に肌を触られるのって初めてだった気がする。
って、また緊張してきちゃった……どうしよう!
「……ルシア」
「は、はいっ!」
エイトに声を掛けられて、緊張のあまり変な返事をしてしまう。
「そんな顔されると……何か照れちゃうから、リラックスしてて欲しいなぁ、って……」
「あ、あの……えっと……!」
エイトが困った様に頬を赤くして笑う。
もう私は堪らなくなって、その場から離脱した。
というか、逃げ出した。
何も考えずに走っていたら、いつの間にか町を出てきてしまっていた。
夜風が気持ちいい。
あんなに眠かったのに、すっかり目が覚めちゃった。
胸に手を当てると、まだドキドキしてた。
無駄に全力疾走したせいかもしれないけど。
「……やだ、ダメだよ、こんなの……」
なんとなくだけど、自分の気持ちに気付いてしまった。
私、エイトの事が好きになっちゃったのかもしれない。
どうか勘違いであって欲しいけど、そうもいかないみたいで。
先程までエイトに触れられていた場所がとても熱くて、心地よくて。
「エイト……」
名前を口にするだけで、胸が痛くなった。
それと同時に行き場のない愛おしさが込み上げてくる。
ゼシカのせいだ、ゼシカが変な事言うから……。
彼女を責めてもどうにもならないのは知ってる。
だけど、誰かのせいにしたかった。
そうじゃなきゃ、私は初めて湧き上がる感情に耐えられそうになかった。
少し頭を冷やした後、私は町の方へと踵を返した。
うん、もう大丈夫。
エイトの顔を見ても普通でいられる。
いつも通りに接すれば良い。
町の入り口に人影が浮かんで見える。
街灯に照らされて、その姿は徐々に明らかになっていく。
「ルシア、良かった!」
「エイト?」
向こうが先に私を認識した様で、名前を呼ばれた。
なんでよりによってエイトが!?
ああ、突然飛び出したから心配して追いかけてきてくれてんだ。
でも正直追ってきて欲しくなかった。
心の準備がまだできてないのに!
ちゃんと顔、見れるかな。