コネクト~異世界へ~
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エイトは王様に食事の差し入れをしながら明日の事を伝えていた。
私はそれをぼんやりと眺めつつ、王様の傍にいた綺麗な白馬に近づき挨拶をする。
「えっと……お姫様、ですよね?」
呪われても尚、こんなに美しい馬の姿をしているのだから
ヒトの姿に戻ったらそれはもうとびきりの美女なんだろうなぁ。
「私、彼等に手を貸す事にしましたから……もうしばらく、辛抱してて下さいね」
優しい瞳をこちらに向けていた姫君がコクリ、と頷くように頭を下に下げた。
手を貸すって、まだエイト本人には伝えてないけど……。
王様とのお話が終わったらしいエイトがこちらにやってきた。
お姫様の鬣を優しく撫でて少し言葉を交わした後、一礼してその場を離れる。
「……じゃあ、行こうか」
少し楽しそうなエイトの後に私は黙ってついていく。
比較的魔物の気配が薄く、開けた場所を見つけた私たちは互いに武器を携えて対峙した。
「遠慮しないでいいからね」
「……でも……」
やっぱりと言うか気乗りしないけれど、付き合うと言ってしまった以上はやるしかない。
私が迷っている間にエイトは仕掛けてきた。
けれど、彼の動きがまるで手に取るように見えてしまう。
振りかざされる剣を受け流し続けているだけなのに、すでに向こうは息が上がってきていた。
「……どうしたのっ?そっちからは来ないの?」
強気な言葉で挑発してくるけれど、私が一撃でも当ててしまえばきっとエイトを戦闘不能にできてしまう。
だけどこの躊躇いは本気で手合わせを願い出ている相手に対してとてつもなく失礼だ。
意を決した私は剣を握りしめて素早くエイトの間合いに入り込む。
案の定、エイトは全く私の動きが見えていなかった様で呆気なく決着がついてしまった。
私に弾き飛ばされたエイトの剣が虚しく宙を舞い、地面に突き刺さる。
「すごいね……全く歯が立たなかったよ」
「大丈夫?怪我してない?」
直接的なダメージは与えていない筈だから大丈夫だとは思ったけど一応確認。
彼はバツが悪そうに笑いながら大丈夫、とだけ言って剣を回収しに行った。
「……そういえば、全然魔物と遭遇しないね?……君がいるから?」
辺りを見回しながらそんなことを問いかけてくる彼。
はい、そうですなんて言える訳もなく
夜だから寝てるのよ、なんて適当に誤魔化しておいた。
道中、幾度か襲撃を仕掛けようとしてきた魔物は確かにいた。
けれど、私が断然格上だとわかるとそのまま何もせずに逃げ帰っていた。
これじゃだめだよね……
レベルって下げられないのかなぁ。
「そろそろ戻ろうか」
そう声を掛けられて我に返る。
先を行くエイトはどこか疲れているように見えた。
そうだよね、結構がんばってたもんね……。
「ねぇ……エイト。歩いて帰るの、大変じゃない?」
「え?」
私は煉獄天馬仕様のドルボードを展開させると、後ろを指さした。
「良かったら乗っていかない?」
「……何それ、馬?」
驚いたようなエイトの反応を見る限り
この世界でドルボードは失われた文明、もしくはまだ見ぬ未来ってワケね。
くれぐれも彼以外の人には見つからないようにしようって決意を固めた。