コネクト~閉ざされた刻~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もう!ルシアったら、こんなところで寝て……ほら、背負ってあげるからおいで?」
「お姉ちゃん……ありがとう」
小さな背中を差し出して、姉は外で転寝していた私を家へ連れ帰ってくれた。
あまり歳の離れていない姉妹だった私達だから、体格差もそこまでなくて、いつもはどこか頼りなく見えていた背中もこの時だけは広くて暖かくて、とても心地よかった事ははっきりと覚えてる。
お姉ちゃんが錬金の素材を集めたいっていうから、私は頑張ってそれを取りに外へ出て、その帰り道に疲れ果てて眠りこけてしまった。
錬金術は使えているけど失敗も多くて、その努力は無駄になる事も多かったけど。
今思うと……全てはこの瞬間に繋がっていたんだって。無駄な事なんか一つもなかった。
お姉ちゃんが錬金術師としての腕を上げて人助けをしていた事を聞いた時、とっても嬉しかった。
今は離れ離れだけど……
またいつか、こんな風に……
「……んっ……」
「起きたわね!全く、折角宿に泊まれるのにどうして外で寝てるのよ」
「あれ……私……どうして?」
まだどこか朧気な意識の中、必死に頭を回転させて私は周りを見渡す。
あれ、なんかいつもよりゼシカが小さく見えるような……。
「流石にこんな所で放っておくわけにはいかないと思って、エイトを呼んできたの。ククールに任せたら変な事しかねないでしょ?」
そこまで言われて、私は漸く今の状況を理解した。
「あ、もう大丈夫!起きた!私起きたから!」
エイトに背負われている事に気づいて私は慌てて降りようとするけれど、ゼシカに止められてしまった。
「折角だから運んで貰えば良いのよ。それにルシア、すっごく幸せそうな顔して寝てたわよ?」
「そういう事だから、寝てて良いんだよ」
表情は伺えないけれど、エイトの優しい声色が聴こえてくる。
有難いやら恥ずかしいやらで今すぐこの場から逃げ去りたいと思ったけれど、どうやらそれは叶わぬ様なのでこのままお言葉に甘える事にした。
「こっちに来たばかりの頃はうなされてる事の方が多かったのに、最近やっと落ち着いてきたかしら?」
少し前を歩いていたゼシカがふとこちらに振り返り、私の顔色を覗き込んできた。
確かに、言われてみれば酷い夢はあまり見なくなった……ような気がする。
アストルティアに居た時は常に世界を駆けまわっていたから、疲れ果てていたのもあって夢なんて滅多に見なかった。
それが不思議な事に、こちらに来てからはよく夢を見るようになった。
精神的にゆとりができた、って事なのかな……。
「ゼシカのお陰ね。いつもいっぱい話聞いてくれてありがとう」
素直に感謝の気持ちを伝えると、ゼシカはどこか照れくさそうに笑みを返してきた。
なんだか不思議だなぁって思う。
こちらに来てから、精神的に脆くなったというか。そんな気がする。
戦いに身を置く事で塞き止めていたものが溢れ出て来たのかな。
それでも常に死と隣り合わせの生活を送っている事にはあまり変わらないけれども。
姉に会いたい、囚われた仲間達を助けたいという気持ちを忘れた事はない。
でも、こちらの世界での時間を大切にしたい。
そんな気持ちもいつからか芽生えていた。