コネクト~閉ざされた刻~
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「もうこの話は良いから……少し、寝かせて……」
急激な睡魔に襲われて目を開けていられなくなる。
いつも過酷な旅をしていたから大丈夫、そう思っていたけれど私もちゃんと疲れていたんだ。
そんな事を思いながら眠りに落ちていった。
遠ざかっていく意識が切れる前に、身体に誰かの温もりを感じた気がした。
『全く、無茶ばっかりするんだから』
『おやすみなさい、ルシア……』
懐かしい声が聞こえる。
寝る前にいつも頭を撫でてくれる優しい手。
たった一人の家族。
こんなに幸せな夢を見るのは何時ぶりかな……。
「……んっ……」
「あ、ごめん……起こしちゃった?まだ寝てても大丈夫だよ」
目を開けると優しく笑うエイトが見えた。
っていうか私、完全にエイトに寄りかかっちゃってる……?
「ご、ごめんね!邪魔だったよね!退かしてくれて良かったのに……」
慌ててエイトから離れると、もう面倒なのでその場で身体を横たえた。
荒れているとはいえ、お城の一室だから思ったより寝心地は悪くない。
「言いたくなければ言わなくて良いけど……何の夢見てたの?」
「夢……?」
「泣いてたよ」
そう言われて自分の頬に手を当ててみると確かに少し湿っていた。
「涙が零れてたから……その、拭っていたら君が目を覚ましちゃって……」
「……ありがとう」
ダメだな、私、
なんでこんなに仲間に気を遣わせちゃうんだろう。
「私ね、物心ついた時にはもう姉と二人だったの……周りの大人たちも私達姉妹を気にかけてくれていたけど、それでも肉親と呼べる人は姉だけだったの」
気さくで明るい姉はいつも問題を引き起こして周りを困らせていたけれど、その明るさに私がどんなに救われていたか。
姉のお陰であまり寂しいと思った事は無かった。
「村の外に初めて出た時……魔物と遭遇しちゃって、戦闘になって……なんとか倒せたんだけど、私が怪我しちゃって……」
姉は付きっきりで私を看病してくれた。
こんなに心配をかけてしまうのなら、もっと強くなろうと心に決めた。
「……お姉ちゃんがいなくなったのは私のせいだから……私が……見つけ出して……また、いつかみたいに……」
姉の夢を見ていた、そう言いたかっただけなのに気付いたら昔話を始めていた。
けれど、程なくしてまた睡魔に襲われる。
それからどれくらいの時間が経ったのか、次に目が覚めた時、辺りはすっかり暗くなっていた。
窓辺から月明かりが差し込みだしている。
もう少しで月影の窓が開きそうだ。
すぐ近くでエイトが寝入っているのが見えた。
っていうか、さっきの場所から殆ど動いていない。
きっとこの中で一番疲れているのはエイトなんだろうな……。
こんな個性的な面子を纏めて旅してるのだから、さぞかし大変だろう。
私もあまり心労をかけないようにしないと。
そんな事を思いつつ、マジマジと彼の寝顔に見入っていると後ろから急に声を掛けられて思わず飛び上がりそうになってしまう。
「ルシア?何してるの?」
「おっ、男の人の寝顔ってあんまり見たことないから……珍しいなって思って……」
なんとか平静を装いながらゼシカの問いかけに応えた。
少し眠ったせいか、彼女はどこかスッキリとした顔をしていた。
「そろそろ窓が出来そうね……エイト、起きて!」
「あ……」
折角ぐっすり寝入っているのだからこのままにしておきたかったけれど、ゼシカは容赦なくエイトの身体を揺さぶった。
「今、ヤンガスとククールがトロデ王達を呼びに行ってるわ。その間に私達も支度しないとね」
「う、ん……痛いよゼシカ、首がおかしくなりそう……」
首元を抑えながらエイトが目を覚ました。
寝ぼけ顔がちょっと可愛く見える。
エイトが起きるとほぼ同時にヤンガスとククールが王様達を連れて戻ってきた。
「兄貴!起きたでげすね!」
全員揃ったところで、室内に月明かりが満ちる。
みんなで月の世界の門を潜り、イシュマウリさんの元へと向かった。
彼は嬉々として私達を出迎えてくれた。
月影のハープが手元に戻るのを首を長くして待ちわびていたみたい。
ハープがエイトの手を離れて、イシュマウリさんの元へ受け渡される。
次の瞬間にはもう私達はあの船の前にいた。
トロデ王が突然の出来事に戸惑い混乱しているのをヤンガスが宥める。
イシュマウリさんがハープをかき鳴らすと、足元に急に水が湧き上がってきた。
辺りに見たこともない魚が漂い始める。