コネクト~閉ざされた刻~
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早速お城へ足を運んで、王様に事情を説明する。
前の一件があったからか、王様は快く私達を迎え入れてくれた。
月影のハープもあっさり譲ってもらえる事になってみんなで安堵したのも束の間。
案内された宝物庫はもぬけの殻になっていた。
愕然と立ち尽くす王様に苦笑しつつ、私達は何があったのか部屋の中を調べて回ってみた。
……って言っても、壁に大きな穴が空いていて手口はもう明白なのだけど。
王様は兵隊を用意して月影のハープを取り戻してくれるから、このまま待っていてくれと言っていたけど……
じっといている私達じゃない。
王様が部屋を出ると同時に私達は颯爽と壁に空いていた大穴の中へ入っていった。
「結構広いわね……」
「魔物まで出やがるなんて、さっさとこの穴埋めないとそのうちアスカンタは攻め滅ぼされるかもな」
「あの王様はどこか頼りないでげすからねぇ」
「王様の悪口はそれくらいにして……ちゃんと周りみて歩いてね」
エイトの牽制を受けてククールもヤンガスも口を閉じた。
洞窟を抜けると、外に出た。
てっきりこのまま盗賊のアジトまでたどり着けると思っていた私は一人で拍子抜けしていた。
自分のアジトをそのまま繋げちゃう盗賊なんて普通に考えたらいないよね……。
こんな事ばっかり思っちゃうから間抜けとか言われるのかも……。
暫く外を歩いて行くと洞窟が見えた。
きっとここが盗賊のアジトに違いないと確信した私達は用心しつつ、中へと入っていく。
「土臭いし、じめじめしてるし最悪ね……ああもう!なんでよりによって月影のハープを盗むのよ!」
「それは同意見だな。洞窟探検する為に旅してるワケじゃないんだけどな」
時折戦闘になりながら凹凸の激しい道を歩いて行くと、モグラの魔物が哀愁を漂わせて蹲っていた。
私は思わず近づいて声をかける。
「あの……どうしたの?」
「ああ、人間か……って人間!?」
「ルシア!」
急にこちらを向く魔物に心配してくれたらしいエイトが声を張る。
私は大丈夫とエイトに合図を送ると再びモグラに向き合った。
「ええい!この際なんでもいい!頼む!ボスを止めてくれ!このままじゃみんな死んでしまう!」
「ボス……?」
よくわからないけど、凄く困っている様だったから助けてあげる事にした。
モグラに案内されるまま奥へと進んでいくと何やら酷い音が耳に響いてきた。
「何なんだ?この音」
「耳がキンキンする……」
ゼシカとククールが不快を顕にする。
私も頭が痛くなってきたけれど……なんだろう。どこかで聴いたことがあるような……。
「ここだ、後は頼んだ!」
逃げるようにその場から走り去っていくモグラを見送った後、私達が広間に入っていくと……。
「う、嘘……あれって……」
目を回しているモグラの子分達の中に
一際大きなモグラの大将がご機嫌にハープをかき鳴らしていた。
見覚えがありまくるその魔物に私は慌てて指輪を付け替えた。
「お前ら、月影のハープを奪いにきたモグか!モグググググ……!許さん!!!」
「みんな!行くよ!」
エイトの合図でみんなが戦闘態勢に入る。
「ワシの歌を聴けモグ!」
開幕からハープをかき鳴らされる。
気が狂いそうになるその音にみんな耳を塞いで凌いでいたけれど、耐えきれなかったのかククールとゼシカがその場に膝を着いた。
とてつもなく、嫌な予感がした。
「二人とも、だいじょっ……」
駆け寄っていったエイトの頬をククールの剣が掠める。
あの大きいモグラの音のせいで正気を失ってしまっていた。
「気を付けて!二人とも正気じゃない!」
私の声を掻き消し、更に追い打ちをかけるようにモグラの超音波が響き渡る。
必死に音を耐えていたヤンガスが崩れ落ちたのが見えた。
混乱しているのはこちらだけじゃない。
モグラの子分達も大分参っているようで、次々と正気を失い無差別攻撃が繰り広げられている。
私は戦闘になる前に咄嗟に混乱耐性の装備を付け替えたからなんともないけど……これじゃあ埒が明かない。
「あんまり使いたくなかったけど……ええい!仕方ない!みんな!しっかりして!」
ちょっと恥ずかしいからあんまりやりたくなかったんだけど……
私は旅芸人の奥義・エンドオブシーンを見舞う。
みんなの頭上にたらいが発現し、軽快な音を立てて降り注ぐ。
「いってぇ!……あれ?俺何してたんだ?」
「今、何かが頭に降ってきたような……」
「悪い夢から醒めた気分でげす……」
「ルシア、今のは……」
混乱していた面々が正気を取り戻す。
この技、何もかかっていない人にもたらいが降っちゃうのよね。
エイトが何か言いたそうにしてたけど、気づかないフリをした。