コネクト~閉ざされた刻~
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月影のハープ、か。
ハープと言えば、炎の領界での冒険で汚された魔鳥を正気に戻す時に奏でていた人がいたな。
その演奏に添ってエステラが歌をうたっていて。
まだ慣れない土地での戦闘はきつかったけど、その疲れを忘れてしまうくらい、綺麗なものだった。
私たちが探している月影のハープはどんな音色なんだろう。
楽しみだけど、今の所手掛かりは何もない。
「……もう一度情報屋に頼ってみるっていうのはどうかしら?」
「情報屋のダンナなら何か知ってるかもしれないでげす!」
「そうだね……こうしていても仕方ないし、行ってみようか」
みんなゼシカの提案に乗って、早速
エイトのルーラでパルミドへと移動する。
まだここを発ってそんなに時間は流れていないと思うのに、随分久しぶりに感じた。
「この町の連中は相変わらずね」
道端で酔っ払って眠りこけている男を見てゼシカが呆れたように言った。
「私も酔っ払ってその辺で居眠りしてみたいわ……」
「……え?」
「え?」
唐突な私の発言にゼシカが正気?と言いたげに私を見てきた。
「そんな事言ってるとまた誘拐されるわよ?」
「そうしたらまた家に穴空けて脱出するから大丈夫!」
まぁ、半分くらいは奇跡的に脱出できたようなものなんだけどね……。
今まで歩んできた道程を思い返してみると、私は運に生かされているような気がした。
こんな会話をしているうちに情報屋さんの居る建物にたどり着く。
エイトとヤンガスだけ中に入って行って、私とゼシカとククールは外で待機。
みんなでぞろぞろ入って行ったら相手の人びっくりしちゃうだろうしね。
「そういえば……ルシアは恋人とかいるの?」
「え?こ、恋人?」
「お、それ俺も興味あるな」
いくら退屈だからって、なんで恋バナ振って来るかなぁ……。
普段はしっかり者のゼシカだけど、彼女は時々こうして年相応の会話をしてくる。
可愛いとは思うけど、唐突に言われても返答に困っちゃう。
ククールも興味深々といった感じでこっちを見てるし。
「あっちこっち行ってたら運命の人の一人や二人、巡り会ってそうなモンだけどなぁ?」
運命の人ってそんなに何人もいるものなの?
ゼシカよりククールの方がこの話題に積極的に見えるのは気のせい、じゃないよね。
「恋人か……考えたこともなかったかも」
確かにこれまで沢山の出会いはあったけど。
結局いつも何かしらの問題に巻き込まれてそれどころじゃなかった、と言った方が良いのかな。
「ルシアはモテそうなのに、勿体ないわね」
「そ、そうかな?……間抜けそうな顔してるって、よく言われるんだけど……」
「はぁ!?どんだけ見る目ないのよそいつ!ルシアはとっても素敵よ!自信持った方が良いわ!」
「あ、ありがとう……」
なんだか妙に持ち上げられてちょっと気恥ずかしかったけど、素直にお礼を言っておいた。
「全部片付いたらゆっくり買い物でも行きましょう!その後美味しいご飯を食べて、温泉に入って……」
「それ、とっても楽しそう!でも……」
全部片付いたら、というのはドルマゲスを倒したら、って事だよね。
いつも厄介事が終わった後は必ず帰れていたわけだけど、今回はどうなんだろう。
ちゃんと帰れるのかな。
ルーラストーンが使えないから移動だって全部徒歩になっちゃうし。
ドルボードがあるけど、この世界に燃料のドルセリンが売られているのは見たことないから無限じゃない。
いくら戦えたって、この世界で私にできる事は限られている。
「もうこの際だから、この世界の住人になったって良いんだぜ?なんなら俺が一生かけて養ってやろうか?」
ククールが私の内側を見透かして、なんだか気を遣ってくれたのが凄く伝わってきた。
「ククールはゼシカが好きなんじゃないの?」
「ちょ、ちょっとルシア!何言ってるのよ!」
「ゼシカも好きだぜ?」
「もって何よ!このケーハク男!」
あー、ゼシカを怒らせちゃったかな。
取り敢えずククールは女の人が好きなのはよくわかった。
「……なんだか賑やかだね」
「あ、お帰り!」
一方的にゼシカがククールに文句を言っているのをぼんやり眺めていたらエイトとヤンガスが戻ってきた。
「どうだった?月影のハープの事、何かわかった?」
「アスカンタにあるみたいだから、行ってみようと思う」
「まさかあんな所にあるとは思ってもみなかったでげす」
未だにククールを罵っているゼシカをエイトがすっかり慣れた様子で宥めると、早速ルーラでアスカンタへと向かう。
久しぶりにやってきたこの町は、以前訪れた時とは違ってとても賑わっているように見えた。