コネクト~閉ざされた刻~
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お城の中は茨で覆われていて、その上空には暗雲が立ち込めていた。
王様の言うように、かつてはとても素敵な国だったに違いない。
今じゃその面影さえもあまり感じられないけれど。
「……そういえば、みんなはどうしてここに?」
ふと、疑問に思ったことを訊いてみた。
船を手に入れて旅に出る前に忘れ物でも取りにきたのかな。
「城の図書室の文献に何か船の事が書いてないかと思って立ち寄ったんだよ」
「そうだったんだ……」
やっぱり流石のエイト達でもあの船をそう簡単にどうにかする事はできなかったか。
そんな事を考えつつ、エイトの案内で図書室を目指す。
城の外側から直接図書室へ入ろうとしたけれど、鍵がかかっていて入れなかったから、私たちはお城の中を通って図書室へと向かう。
城内はすっかり魔物の巣窟になっていた。
予想以上に荒らされていて、それを目にする度に王様達の表情も険しいものへと変わっていく。
お城に住んでいた人たちは呪いで茨の一部に変えられてしまっていた。
魔物を退治しつつ、私たちは図書室へと行き着く。
ここは幸いなことに、魔物の気配はあまりしなかった。
巨大な茨によって建物は崩れてしまっているけれど、書物はどれもきちんと棚に収まっていて、これまで見てきた広間よりかは全然綺麗な状態だった。
みんなで本棚から文献を抜き取って荒野の船についての記載がないかを調べ出す。
私はまだこちらの字が読めないから、なんとなくそれっぽいものを探して適当な本を手に取っては棚に戻していく。
あの荒野の辺りは遠い昔は海だった、という事以外、有益な手掛かりを得られないまま私達は夜を迎えていた。
「……駄目ね、何も分からないわ……」
ゼシカが本を閉じながらため息を吐いた。
一向に進まない事態を前にみんな頭を抱えてしまう。
と、その時だった。
月明かりが差し込んでいたかと思いきや、朽ちた窓枠の影を通じてまたあの窓が出現していた。
「な、なんじゃこれは!?」
「でかした!あいつなら何か知ってるかもしてない。行ってみようぜ!」
驚く王様を差し置いてククールがさっさと窓を開けて中へと入っていく。
他のみんなもその後に続いた。
奥へと進んでいくと、以前のようにイシュマウリさんが佇んでいた。
私たちの二度目の訪問に向こうも多少なりとも驚いている様だった。
エイトがイシュマウリさんに事情を
説明すると、彼は再び私達に力を貸してくれる事になり、アスカンタの時のように太古の記憶を呼び覚まして船を海に還してくれる、筈だったのだけれど。
イシュマウリさんが竪琴を奏で始めて程なくして、弦が弾け飛ぶ音がした。
早くもその音色に聞き入り始めていた私たちは思わず動揺してしまう。
「……これほどの大きな仕事となるとこの竪琴では力が足りない様だ」
「じゃあ、やっぱりあの船を動かすのは無理だって事?」
ゼシカが悔しそうに吐き捨てた。
そんな彼女を見てイシュマウリさんは少し考え込んだ後、顔を上げる。
「……そうか、月影のハープならあの船を動かすこともできるだろう」
「月影のハープ……?」
みんな耳にしたことのない名前に顔を見合わせて首を傾げる。
イシュマウリさんが言うには今まで私達の歩いてきた途に、それに関わりを持つ者がいると言うのだけれど。
私には皆目見当もつかなかった。